言う男
たもつ



言う男 の 言う が
ぷかぷかと空に浮かんで
言う の 雲になり
言う の 雨を降らせる
言う男 は 言う の雨にうたれながら
言わない
言う男 の 言わない は
地面にこぼれて
言わない の芽を出す
どうして 言う の
どうして 言わない の
そのことについて 言う男 は
言ったり 言わなかったり で
そのとおりなのだけれど
言ったり も
言わなかったり も
小さな破片のようなものになるばかり
やがて 言わない の芽が
言わない の花を咲かせると
言う男 はそれを花束にして
聞く女 にプレゼントする
言う男 の 言う は雨になり
聞く女 の 聞く は傘になり
そのすべてを受け止める
目を閉じると
沈黙は二人のためにある



自由詩 言う男 Copyright たもつ 2005-06-13 17:49:19
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