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  戯れに
  たまを投げ
  くれないの崖
  に、蜥蜴たちが{ルビ円=まる}
  い、女らから、嵩張る
  ち、をさそわれ、しらないまちの
  下水管にしたたっている師走の月の ....
  私は死にます
  毛羽立った蜘蛛猿を
  折りたたみ、鞄に詰め
  雨降りの後の細い小路を
  私は気軽に駆けていきます
  お元気で
  どうか、お元気で。
  おまえの
  黒い頭蓋のなかで
  やわらかい緑色の犬が湿っていく
  (今、それは
   事実だ)
  ながい階段が その夜
  わたしの内に滑らかに延び
  喉の辺りで途切れていた


  笑えるほどにせせこましい
  悲しみなど疾うの昔に
  桃色の床で何者かに
  踏み ....
  小さな島に移り住み
  満たされたひとたちは
  くだらない寓話を書いた


  虫を殺した
  テレビを観た
  風邪をひいた
  支払いを渋った
  過ちを悔いた
 ....
  壁に穿たれた
  美しい釘のそばで
  うしなった言葉を私たちは捜す
  古臭い絵には茂みが描かれている
  垂れ耳の犬のながす 白く長いよだれ
  かれらが、一体なにを
  言いたいのかちっともわからず
  ことばのなかにひらめく暗闇をさがした
  目を凝らして 耳を澄ませて 鼻をとがらせ



  けれども本当はかれら ....
  驚くに値しない
  あなたの指のなかに
  古い町がひとつ埋まっていようが


  青い部屋でわたしは 静かなチーズを齧る
  散らばっていた 丸い 悲しみの粒を
  一列に ....
  硬い建物は
  不躾な質問に似ている


  夏の朝、
  青い樹がそよぎ
  世界から こぼれ落ちそうになると
  わたしは動けなくなるのだ
  かつては二つ並んでいたが ....
  赤い皿に
  老夫婦が座っている
  男の穿くすててこは膝が破け
  女の手に握られた琥珀色の数珠には
  結び直したあとがみえる
  うつむいて目を閉じ、かれらは
  眠って ....
  緋色の籠は いつも
  夜がくるまで あなたの
  六畳の寝室に置かれていた
  房をなした影をひとつひとつ掻き分け
  大なり小なりの
  扉がついたところでしか
  きくこ ....
  冷えた三角形がピアノ線で
  夜に吊るされ 波打っている
  白いチョークで昼のうちに引かれた
  いびつな線路をたどり その女は
  むかつくほどきらいな男に会いに行くところだ
 ....
  あの後、わたしたちは
  ふたりで 雨の骨をひろった
  萎れたすみれの花に似せて
  造られたかのような
  蒼い 夕暮れ
  きみに
  話しかけることができない
  脈をうつこめかみに手をふれて
  ひとつめの言葉をさがしているのに
  どうしても話しかけることができない
  うまれて初めての夜がきた ....
  左脳のなかに
  右脳が休んでいる
  縁石に腰かけ、私たちは
  玉砂利をつかった遊びに耽る


  あとほんの少し風向きが変われば
  瞼の暗闇にともされた炎のかたちがわ ....
  夕立のなかを
  わたしたちはとおり過ぎる
  云うことがなくなって
  胸のなかをおよいでいた
  魚たちはさっきいなくなって
  あなたの透明な顔がかなしい
  あなたの息 ....
  なめくじは あなたの頸に似ていた
  固い紙袋から ぶどうパンをかじって
  わたしは こっそり あなたの頸をみつめた
  どこにも ふってはいない 雨の音
  どこにも たどり着 ....
  わたしたちは煉瓦をみつめていた
  通りの人がみな風邪のようなものをひき
  草色の貌をして 汗をかいているとき
  わたしたちは煉瓦をみつめた
  話をしながら
  煙草をすい ....
  わたしにはあなたの手首が
  細ながい棺にみえる
  柔らかいなにかに火をともし、
  それを投げいれずにいられない
  だが燃された闇の何処かで
  ひとしれず花をつける
  ....
  橋の上に
  貴方以外の人が居ない
  只、雪と泥ばかりが撒かれ
  汚れているところを引摺っていく
  ながく、頑是ない、貴方の靴



 
  あまい針を舐めながら あなたは
  世界の骨に温かな肉がともされるのを見ていた
  だれかがあなたの内側に積もった雪を道の傍に退ける
  そしてもう一人のだれかがその雪をさらに傍に退 ....
  つまづいた
  冬のバケツの
  かたちをしたわたしたち
  は、先のとがった言葉がいくつも
  しろい雪にうまっているのをみたんだ
  わかりあうことの嘘をしっているから
  血 ....
  ずっと、
  戸は開いていたが
  入ってくる者はない
  おまえの魂が、刻一刻と
  アケビの形に変わっていくのが
  ここから見えているだけだ
  夜以外の時間を少しでも
 ....
  半刻ほど前から
  組んでいた指をほどいて
  あなたが落とす銀箔に似た笑み
  ガソリンじみた水溜まりにひとつ、
  爛れたショパンがしゅんと跳ねた
  科せられた罰もないので
  皿の芋をとって齧る
  女より甘い肉のないことを知りつつ
  透明な箱の戸をあけしまいこんだ一輪のすみれ
  壁をうつ夕立ちのつめたさだけで
  すぐ ....
  日もくれているのに
  女の子たちが鬼と遊んでいる
  鬼はわらっているようにみえるが
  ほんとうはぜんぜん笑ってはいない
  むらさきいろの心がわけもなく歯ぎしりをする
   ....
  敷布に押しこまれた
  あなたのからだは私が
  思ったよりはるかに固かった
  きたない床をつま先でやりすごす
  垢のういた日々が私たちの居場所だから
  言葉のなかにかくさ ....
  ボンネットに
  縞模様の葉と夕日がはずむ
  萌えゆく色のストッキングに
  つつまれた腿をにらむ
  どんな味がするのか
  あなたとの愛は
  歓びはなかった
  とはいえ哀しみもなかった
  わたしたちはベンチを分け合って座り
  冬の始まり、辺りに人影はなかった
  言葉はさっきまで……あった
  今は沈黙さえ、ない ....
  せめて、
  あなたには桃を食べていてほしい
  朝のかなしい光のなか 窓のあたりに椅子を置いて



  それ以外なにも望まない
  古い歌があなたの心に絶えず降ってくる
 ....
はるなさんの草野春心さんおすすめリスト(362)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
tama- 草野春心自由詩216-2-26
kumozaru- 草野春心自由詩115-11-8
zugai- 草野春心自由詩215-10-27
ながい階段- 草野春心自由詩415-9-22
満たされたひとたち- 草野春心自由詩115-6-27
美しい釘- 草野春心自由詩215-6-20
かれら- 草野春心自由詩415-5-24
並べる- 草野春心自由詩15*15-5-23
不躾な建物- 草野春心自由詩515-5-17
赤い皿- 草野春心自由詩215-5-5
緋色の籠- 草野春心自由詩315-5-4
冷えた三角形- 草野春心自由詩315-4-30
雨の骨- 草野春心自由詩315-4-25
話しかけることができない- 草野春心自由詩515-4-3
- 草野春心自由詩415-4-3
夕立のなかを- 草野春心自由詩415-3-28
なめくじ- 草野春心自由詩415-3-22
煉瓦をみつめていたとき- 草野春心自由詩315-1-24
- 草野春心自由詩415-1-12
- 草野春心自由詩314-12-31
あまい針- 草野春心自由詩514-12-21
フユノバケツ- 草野春心自由詩314-12-6
- 草野春心自由詩614-11-18
爛れたショパン- 草野春心自由詩814-10-29
- 草野春心自由詩214-10-26
鬼と遊ぶ- 草野春心自由詩514-10-23
雑巾- 草野春心自由詩514-10-13
ボンネット- 草野春心自由詩214-10-4
街路樹- 草野春心自由詩614-9-28
望み- 草野春心自由詩514-9-28

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