僕は夢想する
雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を
僕は夢想する
鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を
僕は夢想する
ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
めにみえないほど
ちいさなつぶだったのに
かぜにふかれて
まいあがるきりゅうにみちびかれて
のぼっていくと
だんだんなかまがあつまって
いつのまにか
かたまりになり
とてもたかいところ ....
ギュヤーンと街中にある飛行場から
飛行機が飛んでいくのを見ていた
僕たちはまだ子供で世界にコミットできない
大人になってもコミットできないことはまだ知らない
途中コンビにではない雑貨屋に立 ....
わたしがうさぎだった頃
この世は赤いもやがかかっていた
花びら一枚にも手が届かないので
うつむいてありの行列を眺めるしかなかった
わたしがひなどりだった頃
飛び立ちたくて仕方がなかっ ....
まだぼくが幼かったころ
不倫あいてに
星野道夫の旅をする木を読んであげていたことがある
あいてはそのまま眠りたかったに違いない
まだぼくは幼かったから
からだをいたわるふりをして
あいてに ....
マッチ売りの少女にでもなった気分で
その鍵穴を覗くのがわたしの日課となってしまった
この街へ引っ越してきた当時はタバコ屋さんだったトタン屋根の並び
ちょっとしたお屋敷風の黒塀に
その鍵穴は ....
きみの言葉を聴いていなかった
ぼくによろめいたきみの寂しさを
聴いていなかったからごめん
サイゼリヤの駐車場で
ホテルにいくまでの時間を過ごした
きみはお父さんのことや
....
臼田雅代の財布に金はなかった
財布に金がなくても日常は消し込まれてゆく
アルバイトを終えて車で帰宅する
ふたりの恋人が今日も職場に遊びにきた
高田篤は同い年の不倫相手だ
篠木康太は六つ上の、 ....
ありふれたおはなしが
ささやかに座っています
テーブルの上
紅茶が入ったカップの横
読みかけのおはなしは
トコトコ歩きます
誰かの声をとおって
誰かの頭の中へ
沈黙を守って
....
ぼくらはねむい ふりをしながら
つくりたての
ゆめのつづきを 思いだそうとする
モノメズラシサで気を惹きたいんじゃない
それは、結果だ
はるやがいない隙に
どれだけ
パンで ....
葉擦れの音を君と
芝生に座って聴いていた
かなしみは悲しみの密度で
虚空を舞う飛行船のように
愛されたいと誰かが言った
僕たちは鼻先で笑った
ここにいるそのことの偉大さを
認めない愚 ....
テイブルの下に
ひきっぱなしの布団
みかん転がり落ちてるよ
段ボールから猫
なんもないのはわかってるんだ
ポンコツ話も聞き飽きただろ
こっちもうんざりしてるから
冷蔵庫にはたまご ....
ニコライ堂の鐘が鳴る
聖橋から小川町
緩くカーブのその坂の
底にあるのが小川町
小川町から靖国通
だらだら歩き神保町
三省堂か東京堂
なぜ行かないのか書泉の角を
曲がってうれし吉本 ....
あどけないズルさや
さやかな正義感が
生まれては消え
生まれては消えしていた
ぼくらの気持ちは
さらにどこへと消えてゆくのだろう
友よ
永遠など
な ....
Y字路にこだまする轍
夜と本気で向き合っていた
暗闇のなかの標
どこかはどこに在るのだろうか
ふたり達が消えてゆく
ひとり達が生まれてゆく
夜に糸が弾いている
....
アスファルトのうえに
足が浮いているのは
木枯らしに吹かれるままの
影のないわたしだからだろうか
思考はしゃべると渇いてゆく
目もしばしばと痛かったりする
わた ....
最近朝早く目が覚めてしまう?なぜ??
僕が朝早く目が覚めるのは
顔を洗い歯を磨き、朝飯をたらふく食べるためです。
僕が朝早く目が覚めるのは
黒猫のトイレの砂を換え、黒猫に食事 ....
言葉は時々嘘になる 
心は時々嘘をつく 
優しい嘘であって欲しい 
悲しい嘘は不安になるから 
君の癖 
嘘をつくときの癖 
....
千年くらい前に
君とここであった
君はまだ動けなかった
大地に根を張っていたから
四百年くらい前に
君とここであった
言葉は交わさなかった
水の中にいたから
五十年くらい前に
....
誰かといっしょは
めんどくせー
誰かの言葉は
うそくせー
ぼくのせいは
一度きりだよ
君がどこに行っても
探さないよ
ぼくのせいは
一度きりだよ
出来合いの嘘ほど
よ ....
もうおれは
めんどくさくて
なにもできねーよ
さむいけどあるいてる
眠くはない
つかれてるだけ
眠くはない
負けてるだけ
ひとにあいたくて
ここまできたけど
ぼろいじぶ ....
くるしいと口にするとき
「くる」という音の流れがキレイ
やわらかい弧を描いて
昨日あなたが吸った舌が舞う
コスモス咲き乱れる公園を
ふたりで歩いた午後のように
夜を上っていく長い長いエ ....
あたしは都会に行ったことがない
友達のえりあしは屈託がなく、溜息は山並みに同化する
おんぼろな校舎の3階からは特に何も見えない
はるか彼方に水平線が5cmほど臨めるが、
手垢だらけの教室内のほ ....
地平線がかぎざぎに囲われた東京を
中央線のガラス窓からのぞいて
ビルたちの壁面は薄黄緑に光る
水の色をしたいろんな影が長くのびて
フラットな装置のように空が広がる
鳥の群れがばらまかれ
ペ ....
かばんには レニーブルーズの自伝と
上座仏教の指南書とくしゃくしゃのプリント類が入っている
2冊はだいぶ違う本どうしだが どちらも好きだ
でもレニーのほうが好きだ
....
漁村の朝は早い
6時にもなると御丁寧に
町の中心に置かれているスピーカーが
朝を知らせるサイレンを叫ぶ
二階の窓から見える風景は
殺風景な野原の向こうに
海が見える
野原と海が半 ....
僕と君とが引かれあった
その引力は
桜散るほどのちからで
電車の踏み切りで
隔てられた思いは
初恋の思い出
春の訪れを教えてくれた
ひとひらの桜の花びらを
失くしてしまわないよ ....
過去ほど遠くない未来を
日傘越しに目にうつしていた
声はきっと涙よりも早く
乾いて消えていってしまうだろう
僕はこの体に閉じこもって
もう外の世界には触れない
緑ばかりの部屋のベランダ ....
カウンターでひとり飲んでいると
電車に乗っているような気分になる
電車はどこに向かっているのか
この鉄路を引き裂いているのは
焼鳥の香りと酔客の話しごえ
テレビでは米中首脳会談の様子 ....
昨日より冷たい君の
手を引いて
坂道を上る
君の腕が肩から
肩から抜けてしまわないように
そっと引いて上る
途中、誰がつくったのか知らないけれど
昔からある赤茶けた工業地帯が
....
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