{引用=
春風ときみの匂いがYシャツに はじけてはぜた朝です (おはよ。)
明け方の郵便受けでぼくを待つ群青の文字「What can I do?」
便利という言 ....
わたしたち
言葉を確かなものとして笑う
あなたは泣く
わたしの唇を滑り落ち
プリントアウトしたような顔で
あなたとわたし
美しいドット柄になって
声をぼかす
張り付いた色彩と沈 ....
友からの嬉しいはずの電話で
性懲りもなく皮肉を口走りそうになって
心にもない綺麗事を並べ
いたしかたなく流行りの冗句で取り繕う
苛立ちを持て余していたのは
何も自分ばかりじゃない
本当 ....
少女の飴缶の中には
大小の安全ピンが無造作に入っている
色とりどりの錠剤に紛れ込み
それは笑っている
そして時々見え隠れして光る
虹を裂く蜻蛉のように
カラカラと音の鳴る鞄を引っ提 ....
{引用=
1
そして
と
呼ばれている接続詞に
つかの間
休息を与えられ
安堵して
母親の洗った
布団に
潜り込み
今日1日の艶やかさを
昨日と
比べるこ ....
{引用=
もうこの海から月は見えずに
溶けきってるわたしのりんかくは掴めずに
今日の、その感覚が
痛いって 知ったの、知ったの
痛いって。
(たべたい)
中指 ....
{引用=
海の
低く濡れた海の
あなたの声より低く濡れた海の
さよならなんて言い出したあなたの声より低く濡れた海の
掠れた海の波の
途方もないたくさんの囁きたちが
あした、砂浜に降っ ....
わたしが今まで付き合ってきた人、ひと
みんなやさしい人だった
だからわたしはいつも
好きなタイプを訊かれると
「優しい人」と答える
きみはとても意地悪です
わたしの手が冷たいと ....
{引用=
呼吸をしていた
それなのに産声じゃなかった
あなたを呼んでいた
それでも求めてるわけじゃなかった
願いが響くなら
言葉の海に声を沈めて
それがあぶくになれば今すぐになれ ....
{引用=
*指先をソーダ水に浸しては 「なんで今日も消えてしまうの?」*
きみの傷んだ香りを吸い込んで透明になる
ぽつり ぽつりと
夜を揺らして泡がはじける
指を
小さ ....
箱の中の彼女を見つけてしまい
(彼女は彼女の理性の為に生きるだろう)
僕は少し間違えた気がした
(いつも足りない何か)
君が左手ひっぱった日から ....
選べないのは分かっているのです
でも、もしも許されるなら
別な日であったら
それが難しいというのではないのですから、
三百もの日と夜があるのなら
どうしてこの日でなければなりませんか ....
{引用=
*ちりちりと揺れてる空の片隅へ 帰るきみは恋も知らない*
イヤフォンをして
黒板に鼓膜の言葉を連ねていた
うっすらと覆い被さる、夕焼けは恋人の色だった
....
{引用=
*降りしきるきみの海のまなざしが わたしの中へ流れ込めよと*
右手の小指いっぽんから
左手の人差し指いっぽんへ
さざんかのかきねを散らしていく君の振動が伝わる
....
{引用=
*夢で君にくちづけをしてしまった*
わたしの身体はしなやかに発熱していたので
玄関で横たわり熱を果てしなく放出した
可哀想な傷たちが肌を走り回る
扉の向こうでしとやかに雨が ....
のぼせたわけじゃないんだよ
つい沸かしすぎた湯が
総毛立って縮こまる私を
ひとときたりと忘れぬよう
きつく抱いて締め上げるから
ほんの少し恥ずかしかっただけ
少女の頃に見たきり ....
ハワイは1年に3cmずつ
日本に近づいてるんだって
と君がいう
うん、いいね
とぼくたちは笑う
9才の君が
どんなに長生きしても
せいぜい3mか、そこら
それでも
いいね、とぼく ....
{引用=
なんでだろうかものすごくかなしくなって
デスクトップをじぃっとみつめているうちに
呼吸するように当たり前だとなみだが零れて
わたしの鼓動がものすごく頭に響く
しっかりと ....
{引用=
私はいっつも赤いマフラーして
私はいっつも赤いヘッドフォンして
そんで黒い服ばっか着とるんやけど
それはなんでかってきかれても困ってしまう
赤はずっときみの色やし
....
{引用=
繋いだ指を
震えさせたきみをぼくはどうして抱き締めよう
愛し方がわからないなんてそんな青さが
空に溶ければ柔い雨
ぼくを見上げる二つの黒い瞳が
濡れてしまうなこんな日 ....
{引用=月の無い空に踏み出した
僕らの星が降る
綺羅星よ、名も無い僕のカタルシス 溢れるきみの瞳を舐めれば
吐く息が溶けてきらめくこの町の 空を見上げるまなざしのおと ....
「ゴミ捨て頼んだよ。」
そう言い残し、君は着ぐるみを着て出て行った。
かわいいクマの着ぐるみ…
でも君はそんなのを被らなくったってかわいい
でも会社の上司がクマ好きだか ....
わたしの好きなあなたの匂いに
あなたはずっと気付くこともなく生きてきて
あなたが好きだと言ってくれたわたしの匂いに
わたしはずっと気付くことなく生きている
これからもずっとわからないままに
....
自分は間違っちゃいないんだと
そんなことを言うのは難しくて
そういう感覚の儘
腕の傷は消えないな
わたしの肌の下に埋まった青い言葉たちが
解読出来るほどに器用じゃない頭で
恋してる、世界中 ....
不自由なペンが
真っ白い紙の上を暴れるとき
あなたは
見たこともない景色を見るだろう
インクを調整しやすい
それだけのひと
わたしは
それだけのひとになった
利かないものは ....
{引用=
滑るあなたの感触を憶えている夜に
赤い爪へ哀しみを載せれば
空に刺さった月の破片が名前を欲しがっていた
ささくれた薬指の皮を切ろうと鋏を探すんだけど
探すんだけど
部 ....
{引用=
飲まなかった眠剤を
ひとつぶ ひとつぶ
湿った土に埋めて
紫がかった芽が見えてきた朝から
八年間くびをそのままに待ち続けたら
柿がなる
たわわに実る柿の実は
わた ....
こめかみで飲んだ弾丸
胃の中で溶けるのを待っている
ナンセンスな朝
知らない爺さんとキスした日曜の
けだるい舌
チョコレートにシガー
鈍痛の肚裏でわたしは何度も死んだ
二 ....
セーラー服の袖から猫が出て行った
私は体温が低いから寒さに耐えられなかったのだろう
足下の雑草に霜 しゃくりと踏んで猫を追う
路地裏を右に左に見失い
しまいには何を追いかけていたのか分から ....
「間違いは誰にでもある」だとか
「罪を憎んで人を憎まず」だとか
そういう免罪符のような言葉は きっと
過失のない過ちに対して使われるべきだろう
いつも 気付くのは 傷つ ....
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