教室でうずくまり光に焼かれた青みたいに小さくなって眠った子がいた
私は違う
学校が終わったら友達に黙って先生のところに行った
彼女の夢のなかで泣いていた女のひとはどうして泣いてい ....
白くもないぼくの首を 黒くもない少年の手で絞められた音は 霧のように散布した
青くもないぼくの眼を 赤くもない少女の靴で踏みつけられた味は 露のように甘かった
♯
(メー ....
君は暮れ果てた記号の森ふかくで永遠と出逢うだろう
僕は知っている 泳ぐのを止めてしまった魚 そして地獄を
君は目を醒ますことなく星を抱いている 月光を 浴びながら
甘い偽 ....
1
(記号が離れていく)
(この消失の先にある果ては海ではないと少女は言う。
あれはリベラだ)
近く、震える目蓋が幻影の旅団を打ち倒し俺はベネズエラへと旅に出る。
「 ....
わたしは消えてしまった光をのみこんでおちてゆくので
海へとかえってしまう
小さな夢が微笑みながらわたしのほうに歩いてきて
わたしは夢の続きへとはいっていかなくてはならない
(教 ....
(少女たちは 双子と あべこべに踊り回り
でんぐり返った星と星に微笑んだ)
♯
半日 闇のフリルに横たわった
瞳が金色に染まり 金平糖を摘んで食べながら 黒い刻を眺めていた
....
(もううんざり!!)
ほらほら、教室から飛び出した鳥、夢のなかの数学の授業で先生が言っていました、「死が我々の隣にないのであれば私たちは消えてしまうしかない!」って。――ねえ、先生、も ....
猥雑な人の群がりを かき分けて
もう黄昏も過ぎ 日の落ちた道を
母と歩き続ける
露店の賑わいに 目を奪われながら
境内を目指し 参道を歩き続ける
子供の頃は 参ることよりも
....
世界はいつも濡れていて 陽射しが人々を焼こうともすぐ隣では雨滴が垂れていました
四月 世界の中心 学校の工事は水の神様に赦される為
海へと続く道を狭めていた街路樹をまずは ....
ふらふら揺れていた 掴まるところが無くなったのだろうか まるで風見鶏のようにとみこうみ
♯
くるくる回っていた 目が回らないのだろうか まるでスケートのように四回転ジャンプ
....
通りをまっすぐ行ったところに置かれた忘れ物よりもむこう
右へ右へと使われなくなった線路を歩いていくと役目を終えて眠りについた人形がいます
そこには電車と同じで動かなくなった時にだけ優しくさ ....
この部屋が薄暗いのは
私の居場所として相応しくあってもらいたいから
曇ってくれてありがとう
ただ忘れられなかった
南風は強く吹き込んで
すっと紙を飛ばす
私はそれを拾い上げて
必 ....
草いきれと湿った地面の匂いがする
(夏だ)
こっそり張られた蜘蛛の巣を
黙って許すことにした
いのち、を
思ったわけではないのだが
今日はこの国や
内包する宇宙にも
とりわけ関心が ....
夕刻地平線 紙の切り傷
鼓動にあふれた静寂がふたつ
痛みをともなうのは
前世からの記憶のひとひら
秘めた焦燥は赤色に駆られて 涙をおとす
はりつく体温と
しお、鉄の味
....
ある夕方
妻が台所でエリンギを持って立っていた
しげしげとエリンギを眺めている
じっくりと観察しているようにも見える
よりによってエリンギだったので
エリンギを握っている妻 ....
{引用=
雨屋でちいさな雨をひとつ買いました
机の上においたビンのなかで
ちいさな雨雲が
元気に雨をふらせています
}
甘い息を吐いてあなたがわらう
雨をつれてくる雲が
窓ガラスからはみ出すほど
声と恋に似た響きで
名前の知らない鳥が
海のほうから逃げるように
今までが嘘だったとは
言いたくな ....
ちいさな腫瘍があった
おそらく、せかいというものから隔てられた朝
ぎこちなく、触れることで
ぼくらが確認していたのは
痛みだったのだろうか
{引用=
この詩は、きみの
平 ....
生まれ落ちた
性(さが)なれば
求めるその時は、
すべて
毒まで飲み干さずにはいられない
入口を探し当てた
斑(まだら)の蛇は、
男の耳にからそっと這い入り
女陰に巣くう蠍は、 ....
苦手ってわけじゃないんだけど
それでもやっぱし
う〜ん
苦手ってことなのかな
毎年この時期に行われるんだよね
以前は建物の裏口に横付けされた検診車のなかで行われていたんだけど
この ....
退屈にまみれていたあの日の昼前
ただ満たせるものを求めたわけでもなかった
止まった水流も偽りの角も
偶然に目があっただけだった
所詮私はチェシャ・ネコにはなれない
この場所が ....
春が死んでいた
花びらもない
あたたかな光もない
ゼニゴケの群生する
庭の片隅で
地軸の傾きと公転は
果てしなく続き
生きていく、ということは
傲慢な恥ずかしさの
小さな積 ....
ねむたくて ねむたくて
ほんのちょっとだけって
目をとじたら
夜のくぼみに
ポチャンと落ちてしまった
うす目をあけて まわりを見たら
そこはとろんとした 夜がみちていて
ぼくは ....
キコ、あの頃みたいに
カッターナイフ遊びがしたいよ
廃校の裏に捨てられた注射器に
ためた雨水を夕陽に透かせば
遠い異国へ運んでくれる
琥珀色のモルヒネになったね
キコ、無人 ....
1 両手を前に差し出します。
2 人差指と親指でかぎかっこを作ります。
3 なるべく今のあなたに
素直な言葉を挿入します。
4 そのまま両手を中心に向かって近付け
長方形 ....
きれいな名前をもらった
壊れないように
ちいさく口ずさむよ
動かない両足を
なげだしたまま
今夜も
きみは訪ねてこないね
夜のじかんは
やさしく騒がしくて
フラスコの中に ....
かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました
家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云え ....
わたしはよく
一度にたくさんのことをやりすぎるので
なんもかんも中途はんぱになってしまいます
なにせ不器用なものですから
今日も
はみがきをしながら
テレビをみて
ラジオをきき
時報を ....
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