会いに行く
ゆえづ
友からの嬉しいはずの電話で
性懲りもなく皮肉を口走りそうになって
心にもない綺麗事を並べ
いたしかたなく流行りの冗句で取り繕う
苛立ちを持て余していたのは
何も自分ばかりじゃない
本当は見破ってほしかった
独りを決め込むも僕ら
誰かをあてにしないではいられない
『。。。しんどすぎて生えそう』
意味不明のメールに起こされて
君の強がりさえ愛せそうな午前二時
僕は型遅れのスニーカーで
突然国道沿いを走りだしたけれど
「…あ」
息を切らしたところで軽く揺らいじゃう
歴然なのは世界と僕の時間差で
思わずブラボーと指笛を鳴らした
返信はしなかった
おぼろげに掴んでいた答えだって
やっぱりすぐには言ってやらないんだ
「大丈夫だよ」
再び僕は走りだした
情報が錯綜しすぎた部屋から
今度は君を連れ出すつもりでいるよ