会いに行く
ゆえづ


友からの嬉しいはずの電話で
性懲りもなく皮肉を口走りそうになって
心にもない綺麗事を並べ
いたしかたなく流行りの冗句で取り繕う
苛立ちを持て余していたのは
何も自分ばかりじゃない
本当は見破ってほしかった
独りを決め込むも僕ら
誰かをあてにしないではいられない



『。。。しんどすぎて生えそう』


意味不明のメールに起こされて
君の強がりさえ愛せそうな午前二時
僕は型遅れのスニーカーで
突然国道沿いを走りだしたけれど
「…あ」
息を切らしたところで軽く揺らいじゃう
歴然なのは世界と僕の時間差で
思わずブラボーと指笛を鳴らした
返信はしなかった
おぼろげに掴んでいた答えだって
やっぱりすぐには言ってやらないんだ


「大丈夫だよ」

再び僕は走りだした
情報が錯綜しすぎた部屋から
今度は君を連れ出すつもりでいるよ



自由詩 会いに行く Copyright ゆえづ 2010-03-11 19:00:20
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