きみのいっちゃん好きなとこ
あぐり



私はいっつも赤いマフラーして
私はいっつも赤いヘッドフォンして
そんで黒い服ばっか着とるんやけど
それはなんでかってきかれても困ってしまう
赤はずっときみの色やし
でもって黒は真っ直ぐな色やから言うて
せやけどそんなことが全部やないから
好きなことに理由なんかないねんて

そないなこと思ってたら
いつかきみになんできみんこと好きなんて
真顔できかれたこと思い出した
私はやっぱりうまいこと言えんくて
いつもが上手な口やのになんにも言えんくて
その沈黙がきみの目ぇからぽたぽた溢れ出して
あぁ私はほんまにあかん人間やって目を伏せるしかでけんかった
きみはよぉ泣くんやけども
ぜったい声はあげへんから
私はきみの声が死んでくんちゃうかって思ってる
それを殺してるんは
やっぱり私なんやってのもわかっとるんよ

好きなんや
ほんまに
そんな嘘言うほど私
さみしい人間とちゃうから
うまく説明とかでけへんのやけども
それでも信じてほしいんは勝手やろか
たまには白い服も着るし
夏にはマフラーもはずすんやけど
心はそないかんたんに着替えられへんから
ずぅっと私のまんなか、くるんどってほしいよ
好きな理由、
そない言うてほしいんやったら言うけど
どうかもう泣かんでな
呆れて、そないなことなん?って笑ってえぇから
どうかもう泣かんでな
きみのいろんなとこが好きやけど
いっちゃん好きなんは
きみの声やで
私の名前呼んでくれる声やで
まぶたのうらはじけて
私に明日をくれる、きみのそのまんまの声やで





自由詩 きみのいっちゃん好きなとこ Copyright あぐり 2009-12-16 23:33:53
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