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一人の人間の内の
最も奥深い処に
遥かな昔
全ての大事な人が流された
あの大洪水の悲劇がある
全てが流れ去った
広い空の下の荒地に
たった一人取り遺された
遠いあの ....
アスファルトは不意に
思いつめたように体を丸めた
巻かれてゆく坂道
自ら傾斜に耐えられず
すまなかったね、と仕事を終える
かつて裏切った砂利道が
傍から後ろから現れ
雑草を添えて ....
ひざ小僧
どこの小僧か知らないけれど
みんなが知ってるひざ小僧
スカートの下でかくれんぼしてる
いやらしいなぁ
だけどね
転んだときに一番傷つく
ひざ小僧
私を助けてくれるから
....
見分けのつかない昨日と今日の間に
安物の叫びをはさんで
思いっきり口に押し込むのが
朝の儀式
律義なレタスと陽気なマスタードの間に
上品に叫びをはさんで
耳まで残さずに食べるのが
....
かぜさん飛びます
ヒュー ヒュー ヒュー
落ちばが散ります
くる くる くる
かわいいあの子が笑います
そっと 可笑しく 楽しげに
空いたベンチにそっと座り
あちら こちらで 目を きょ ....
僕がすう、と
酸素を吸う、と
少し薄くなった空気は
首を傾げているような
色なんて無いなんて
どなたが云ったか解らないが
ずいぶん怪しからんことを
思うものだな
はじめからドレ ....
30、29、28、息を切らした
駆け巡るは時か我か
さらにスピード、増して
25、24、23、諦めている
絵札無きポーカーだね
有り金出しても逃げ出す
それは美談さ、我が身振り切り ....
誰かの悲鳴が聞こえてくる
そろそろ終わりにしようじゃないか
世界に中指立てんのは
映っているのはブラウン管じゃなく
俺らの瞳
パンクな奴らが叫んでる
アメリカは馬鹿だと叫んでる
俺は ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる
太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている
....
大切にしてきた心
ホラーは見ない
汚い言葉は使わない
嫌な人とは話さない
美しいものを見て
正しい食事
正しい考え
正しい人間関係
愛は出しおしみをせず
いつも笑顔で
今日 ....
生きることは
漂流することだ
海路は
はっきりと見えるものではなくて
だから時々迷ってしまったり
沈んでしまいそうになる
大波にさらわれたら
口からぷくぷくと細かな泡を吐き出し
....
甘く匂う古本の
時代向こう
激しく過ぎ去って行った
原爆という言葉の詩を聞き
その言葉
黒い人の群れを蘇らせる
海は今
青白い朝日の中
平和への邂逅に向かっていっ ....
可愛いいワンピースを着た黒いマネキンは、スカートの中で溶けてはいたが悲しい程に溢れる事はなかった。水を張った床には流木が目立つ。歩く人は皆、無言だ。うるさいのは鳥だけで、格子の向こうは涼しそう。
....
鉄棒に細い両腕とあごを重ねて
校庭の向こう岸に
風が波になって集まるのを
見ていた
帰り道の友達は
黒い袖をはためかせ
くるくると帽子を回しながら
林の陰へ消えていった
頼りな ....
―――仮定1
詩はながくなればなるほど
自己弁護になって
だから失恋や絶望や
怒りや哀しみを表現するのにむいてない
―――仮定2
詩はことばのつらなりで
人はことばによって生きている ....
干からびた冨を聴いている
背の高い真夜中の
影しかない影を知っている
どこへ向かうのか
右も左も無数にある
何も映らない鏡のプラカード
夜の目をした巨人 ....
ほの暗い井戸の底から
ずうっと見上げていた
ずうっとずうっと上にある
澄んだ空は
わたしの憧れだった
いつかここから抜け出して
もっと体いっぱいに
太陽の光や空の色や雨を浴びたかった ....
流れゆく
新緑
にじんだ面影
塩小路のかどを左へ
はらりと
撒いたなら
清められます
鎮められます
手を浸せば
まだ冷たさの残る水に
ふいに緩んだ
五月晴れを
折り重ね
....
080504
戦争すると儲かるのです
弱い人は、ほっといてもすぐに死ぬのです
お金をかけるのは無駄なことです
老人は、65歳を過ぎたら
乳 ....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
....
天井から吊るされた
木彫りの人が
諸手を上げたまま
宙に浮いている
それは
あまりの苦しみに悶え
背を反らすように
それは
大きな歓びに
飛び込んでゆくよう ....
都とは いとしい場所だ。
私にとってなくてはならない
大量の糞と尿の在りか。
大量の吐瀉物の臭う場所が都だ。
私もまた多く排泄し
多く飲み込むのだ。
....
いつかの電車の中
きみの隣にいる
窓から見える
もののすべてが
きみとつながっている
薄れゆく意識の中
いつまでもここにいたい
ふたり同じ景色になって
....
海の向こうから
一両編成の
列車がやって来る
線路の上を
走り続けることを
あの日諦めてなければ
というような顔をしてるけど
僕はそのことについて
何一つ触れない
他 ....
今夜生きる意味なんて知らない
綺麗な水を求めて泳ぐ魚
綺麗な空を求めて飛ぶ鳥
むなしき想いが泣き叫んでる
心がつぶれて進めない
君が君であるように
私は私なのか
人に生まれたら
人 ....
昔、呟いたことのある
「キミの右側を歩きたい」。
3年経って思い出したら
本当に大切なのは場所じゃない、
やっと、そう、思えたんだ。
中央に描かれた
炸裂するものは
かつて
人だった
彼は 自らを剥き出しにして
語った
その言葉が
四辺に行き渡り
極彩色の 悲劇が上映される
しかし枠から零れ出 ....
太陽が燃え尽きて 辺り一面闇に覆われて
手の平の中の明かりを自ら消してしまったんだ
遠い空に祈りを込めて 流れ星は砕け散って
涙が育てた優しさの花を自ら摘み取ってしまったんだ
平和な世 ....
日焼けしたひざ小僧が
クスクス笑ってる
行かなくちゃ
もうじきに
太陽にお辞儀した向日葵や
キラキラ光る海煌めき
命燃やすような
蝉の歌が 聞こえる
....
シャボン玉
悲しい歌とお母さんが教えてくれた
風々吹くな壊れるな
虹色に揺れながら
くるりと回って
弾けて消えた
洗濯のりを入れると壊れないよと
お父さんが教えてくれた
だからね
....
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