融け合わない哀しみは
幸せを幻のように遠ざける
歩道にこぼれている優しい光に
薄い肉のような影が散っている
あなたからのメールに
意地になって返信している
僕のわが ....
伝えたくて
伝え切れないもの
捨てたくて
捨て切れないもの
慌てふためいて
掴み損ねたもの
握り締め過ぎて
壊してしまったもの
煩わしいものたちを
もう一度抱き寄 ....
髪にふれる
みしらぬ風の 秋
始まりは、いつものたおやかに
あるかなしかの ボレロのよう
音符さえもなぞれぬ 穏やかな
休止符だらけの
ゆるやかに ながれくる空
....
石楠花がきれいに咲いている庭園で
俺は募金箱を抱き皆様方の善意を募る
流山の自宅に妻子を待たせているんだ
乳飲み子が二人腹を空かしているんだ
だから俺は石楠花の咲いた庭園に立つ
そうして皆様 ....
テレパシーが使えるなら誰も苦労しない、だなんて
痛烈な意見にお腹が痛くなっても
やり場のなさはだいぶ楽になった
初めは鑑賞で良かったのになと
泡がどんどん膨れ上がっていく様を自嘲する
....
その路地ふと折れると銀河
上向いて銀河の下で眠る
銀河三丁目十一の四 我が家あり
目瞑れば銀河の中で暮らしていて
銀河の土地を踏みしめている
レモン絞 ....
山の裾を ていねいに
両手でならしていた おばあさんの
あれからまた
小さな山が ひとつふえた
新しい山は ひとの形をしている
足のしたで 山は
お腹のように やわらかかった
....
そらの高いところから
ひとひら
落ちてきそうなよる
くらくしたへやで
ひらこうとする花だ
気づく、気づかない
しかくの、四角の、視覚の、詩、書くの
そらの奥から
針はの ....
夕方の風をたぐりよせれば
ほんの少し 冬が見えたようなきがして
全身が震えるような歓喜に
わたしはせいいっぱい秋を
枯葉を踏みながら追いかけて
冬を呼んだ
孤独でもないのに
孤独のふりをして
俺いまカフェで暖められています
○○さん、裏切られましたね、あいつら○○さんに、感謝ってないんですかね、
そんなんないやろ、でも、裏切ら ....
{引用=うずくまる。
からだの表面積をちいさくして
世の中の37%を遮断する。
わたしのまるいふくらみと
わたしのしろいふとももをくっつけて
ひとつ。にすると
やわらかな鼓動を感じ ....
夕立/突然の豪雨と雷鳴が轟いた
それは子宮の中で聴いた母の心音のような気がした
時折、去来する淋しさは冥府からの呼び声に思え
無言で空を見上げると、大きな穴が開いていた
依りかかって生きて ....
広葉樹に秋陽 輝き濡れている
世 離れて 遠くから持って帰る
空想に空想 重ねる秋日和
富士山の裾 色めき撫で肩だ
富士おんな山なれば火口に欲情す
己 ....
さやかで悲しい朝なのに
夏の匂いをかぎました
感謝でむせぶ朝なのに
黒いこころもありました
ひとのこころはどうも遠くて
応酬ばかりのありさまでした
さやかで ....
・
エスカレーターに乗れば段を踏み外す
券売機のタッチ・パネルはいくら押しても反応しない
施錠をすれば鍵を無くす
自動ドアには挟まれる
わたしは
文明というものに適応するように
生まれつ ....
■秋
すべての色を飲み込んで
ただ透明である、秋
■チャイム
夕陽が窓ガラスに映ったとき
風がいつも置き去りにするもの
■図書館
古びた新築の匂いがする
■デジャヴ
....
私の体は
とても小さい
両腕をいっぱい広げて
君を抱きしめる
君の広い背中
君の大きな手
君の優しい声
君の暖かい心
全てが好きで
とてもいとおしくて
私の小さな胸からは
....
傾斜20度の下り坂に彼女は被写体を見つけ
あわてて焦点を黒点に合わせたのだった
気道を塞ぐカルキ臭の
真白い
欺き
を
見抜けない
寒空
かがやくものを産み落としたくて
少女は磨 ....
{引用=
思えばまるで体全体が鼓膜で包まれているかのように敏感で危うくて響
きすぎだったのだから詰め寄るとなると耳かきなんてもってのほかでせ
めて綿 ....
目を瞑れば世界 あれが地球
心像を凝視して 風景が見える
内向するベクトルが外界を貫く
あなたによく似たひとだった
人違いと戸惑うわたしの顔を覗き込み
どうかしたのと気遣ってくれた
これを落としたひとをずっと探しているのと
あなたの落しものを目の前に差し出した
その ....
偶然見付けた奇跡を
大事にとっておいたけれど
奇跡は重ねれば薄くなるもの
そうして消えるのにはたいして
時間はかからなかった
森羅万象とは全てのことを言うらしい
理 ....
小鳥たち華やぐ喫茶 食器わらう
万事整えながら仏霊降り来るをじっと待つ
魂は餓えて水物ばかり欲しがる我
誰かが言った
真っ赤な夕焼け空を見上げて
すごいなこりゃ
天変地異でも来るのかな
明日は地球滅亡するね
子供は走って家へと急ぐ
筆箱カタカタすっ飛んでいく体操着袋
慌てて拾ってまた駆 ....
心待った家路の果てに
ゴールデン・プラムの たわわな枝の
くちびるを這わす 実は あまく
ちっぽけなあたしを待っていて くれる
鳥たちを 楽しませないために
そう ジャムにしよ ....
赤い月が見てる
私の背中を
じっと見てる
後ろめたさの滲む背中を
突き抜けて
隠した本音を
見透かしている
君たちの笑顔を飲み込んで
今日も私は
死んでいきます
真実はいつ ....
ふざけてるニャン
逃げ出したシャムが見上げる 四角いそらの路地裏に
もこもこ綿菓子ぐもは、午後のにわか雨のふる
おおきな雨粒は、天のしうち
だれもが 足をはやめる わらわ ....
溶接の火花とぶほど推敲す
また一つ霧中に荼毘 灯りゆく
雲割れて百条の光 降り降る
雨が降る
軒を打つ
窓をたたく
雨が降る
音楽が始まる
雨が降る
煙りが揺らぐ
雨が降る
長くてしなやかな
指先に恋したとしたら
蔦のはうよ ....
昔から
隅に居るような子供だったので
かくれんぼでは
何時も鬼をやらされた
両腕で眼を覆って
だけど
じゅう数えるまでは
どうしても待てない
いち、に、もういいかい
すぐ振り返ってしまう
隠れ ....
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