すべてのおすすめ
夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとし ....
空に舎に
秋光り
ほの暗き
回廊に
風立ちぬ
天高く馬肥ゆる
秋
をのこ生まれる
空に舎に
秋光り
ほの暗き
回廊に
風 ....
修善寺の源泉で
足湯に浸した
両足は
鬼の如く真っ赤に染め上がり
旅人は心に決める。
――この足で、日々を切り裂こう
娑婆の世を生きるには
時に…鬼と化さねばならぬ
が、赤い仮 ....
修善寺の蕎麦屋の座敷にて
{ルビ熱燗=あつかん}を啜り
天せいろを食した後の
油が浮いた器のつゆに
喰い千切られた、桜海老の顔
白い光の小さく宿る
黒い目玉
{ルビ茹=ゆ}で ....
ヒトの創造において、
花にも心は宿っている、という{ルビ仮定=たとえ}はされても
人にも心は宿っている、という{ルビ仮定=たとえ}はされない
同じ、いのち、なのに、なぜ。
家の敷居や襖の線や開閉ドアを隔てて 深い河が流れている
隣の部屋なのに、もう渡る舟の手掛かりはなくしたままだ
河の底から 十二年前に口を交わした孫の燥ぎ声が
時々聞こえてくるのが楽しみで ....
しにたい (モリマサ)
なんでこんなにみんなにあやまってばっか
つかれた
つかれた
つかれた
つかれた
詩をやめたい
てゆーか詩とかできない
コンセプト ....
アーティストの名前は覚えていない
確かブラジルの現代美術展にて
ささやかで嬉しい発見をした
ささやかな絵画だと
最初は思った
でもインスタレーションとの事
なぜこの絵画がインス ....
線描画のような街
おびただしい数の
妖精めいた小さなものが
家々の窓から
わらわらと現れては
空に溶けていく
遠くから煙の匂いが流れてくる
人が消えるのは
こんな夕暮れだ
背が伸 ....
知らないよ
こんなおじさん知らないよ
ぼくは目配せしかしてやんない
しぜんとこぼれる
スマイルしか見せてやんない
どこから来たのかなんて知らないよ
ぼくはおもしろい ....
スズや、スズ、と 呼べば白猫が一匹
呆けてしまった昭和の頭に 鈴の音だけでやってくる
年老いて逝く者の生きがいのために 孤独死を恐れてか
「アパート一室につき猫一匹飼育可能」、の高邁な ....
夜の粒が
とけだしてゆく
空の底は
うすむらさき色にゆるみ
未来が滴らした
おれんぢが
静かに攪拌されてゆく
ここは
宇宙の果てなのだ
あるいは
巨大なグラスに注がれた
....
築十八年になる
カステラハウスと呼ばれる
小さな三階建ての家に住んでいる
毎週日曜日になると
潔癖症の夫と二人で掃除をする
掃除機を抱えて 嬉々と
バトルスーツをきた戦士のように
家 ....
他人は全員他人なのに
世界の総人口-1人の他人がいて
それでも僕は自分だった
寂しい
他人になってしまいたい
でもきっと
そう感じるのは僕だけではないはずで
それが少し悲しいけれ ....
『戦場』
弟はベッドで戦っている
私も家で戦っている
主人は形は違えども戦っている
病院は戦場だ
弟から返信が来た
「もちろん、がんばろう!」
この短い文 ....
左手で書いた鏡文字 かたるしす
溶解して揺れる かくざとう
しっぽを振っているにもかかわらず
熱帯魚の水槽みたいな胃
汗まみれで凍結した手紙は私のために詩を唄わない
....
;" "ヾ; ; ; ゞ゛;ヾ:.y.ノヾ ; ;ヾ ; ;ヾ ;" "ヾ; ; ; ヾ゛; `
ヾ ;" " sakura pin ....
○
。 o
。
○ ポテトチップスをせがむ女はいないほうがいい
手を伸ばしてしまう
o . ○ うすしおでも o
. ○ ....
もう、疲れてしまった。
美しいものは、等しくコトバにできない、ことや、
瞼を瞑ることでしか、思い出せないと言うことを、
眠らない心が捉えてしまったのだ。
夕焼けすら 同じように見え ....
スクール水着にしてるのは 萌えるから燃えるから
o °
学生時代からスタイル変わってない
° ° ° ....
じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る
瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり
焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能
....
メガネをかけた店員が私を緑のサツマイモだと言った
もう一人の店員は私のことを赤いキュウリだと言った
どの棚にも私の居場所はなく、
北海道の男爵やクイーンが
同じ棚には並びたくない、と言 ....
{引用=たくらみを実らせた花はもう、少女ではない
女になれば脆弱な季節から嫉妬だけを学ぶ
かなしみ、は 夜を壊し牙をむく
いつも、淋しい姿で佇んではいない、と
教えてくれた あなたの沈黙は深く ....
古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている
古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
すくってもすくっても水溜まりにうつった虹をすくいとれず、ぽたぽたとおちるのは汗と涙ばかり。最近、元気のないかあさんに見せてあげたかったのにとぼくは途方にくれ高い空をみあげた。もちろん虹はとっく ....
名付けなさい
君を縛る暗闇を
君を閉じ込める闇の正体を見極め
君自身が
名付けるのです
例えば
「コウモリ」
と名付けたら
君の闇からコウモリが
切りとられた影絵のように
現れ ....
秋空には
はぐれ雲が多い
悠々と明るい
残骸のようでもある
切られても切りつけられても
青空があるからこそはぐれ雲
約束をしてもはぐれ雲
予定を告げてもは ....
キャンバスにぶちまけられた
黒い染みは
ロールシャッハテストの染みではなく
怒りの沸点を超えた悪意の染み出たものです
俯瞰して眺める自分の視点は
この惑星の遙か三萬キロ上空にある
季節 ....
パーティーには 有名な中華料理店が選ばれた
難しくて名前が覚えられないメニューたち
箸で触るだけで肉汁が溢れ出すシューマイ
自宅に独り私を待つ母に
到底食べさせてやれない、そのシューマイ
....
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ
....
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