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縄跳び遊びをしていると
友だちの山村さんがやってきて
それ、ヘビだよ、と
声をあげて笑う
よく見るとわたしの握っているのは
ヘビの頭と尻尾
地面に何度も打ちつけられたヘビは
....
あさおきて、かおをあらって、ごはんをたべて、それからがっこうへいきました……
そこでもう、ただ鉛筆を舐めている。その先へは進めない。
楽しかったことや、辛かったことも書いたらいい、と先生。
やす ....
それはあなたですか
{引用= いいえ、それは麦藁帽です
それはかぶることができます
それは夏の人々に好まれています
いいえ、それはすみれです
....
月曜日
の
昼休み
コンビニで
メンチカツ
入りの
パンを買い
公園で
前向きに
食らう
いつもと
同じ光景
昨日と
違う蝉
財布の小銭は
明日あたり
....
このよに
おばけがいるとしたら
それはにんげんだ
だから
ほうっておきなさい
ひとたび
たすけたならば
そのひとは
あそびほうけていた
だから
ほうっておきなさ ....
何も無いところに
雨が降り始めている
父はもう誰とも
目を合わさなくなった
僕は今日、やっと
台所の隅でテレビになれた
独り言のように
延々と番組を流し続けた
す ....
図鑑で見たことのない名前が
見覚えのない恐竜についている
たかだが十数年で何が起きたのか
サウルスは何ら変わっていないはずだが
人類は何を発見したのだろう
化石になりたい
化石のように ....
いつも躓く丘の上の
崖の縁に私を積み上げていく
こんな季節でも不思議と崩れないもので
いつしか、
見上げるほどの、わたしになっている
いつからこんなことを、と
通りすがる誰かに聞い ....
私たちは
おりがみのくに
二次元を
小さくたたんで
つるになって
おなかの隙間から
ふう、って
息を吹き込めば
祈りを宿した
強い記号だ
メレンゲを
淡く
....
いつものように夜を歩いている
星の瞬きをながめながら高台からくだってゆく
車や帰り道のひとと二三すれちがう
街のあかりは傾いている
最初の信号に出くわすと
すっかり道を歩 ....
小さなものたちが
それぞれに
自らの場所で躓いている
その中に僕も君もいて
むすうの僕と君が
それぞれに
自らの小さく見える
けれどもほんとうはもっと大きい場所で
同じように躓いている ....
若かったころひとりで
たいていひとりで
ひとりはひまなので
余計なことばかり気になって
寝転んで涙
耳に入ったまま起き上がって
肌がきれいな
童顔男子にひとめぼれ
それから
....
花はどこへ行った
なんて問い続けるよりも大切なものが私たちにはあった
それが今の生活であることは否定できないし
ひとの望むものなんて目に見えるものに他ならないのだから
ありふれた結婚生 ....
長い間、咲かなかった
植木鉢のクンシランが数年ぶりに
草の両腕をひろげ
橙色の花々を、開き始めた。
レースのカーテン越しに注がれる
日のひかりの内に、今はもういない
在りし日 ....
ブルーレットおくだけが落とす
ブルーレットみたいな色の汚れが
必死にこびりついている
待っている次の人が
お母さんも含まれている列
お父さんも含まれている列
お母さんにたく ....
殺される前に殺せ
ほんとにやるのか
やわらかい生活
はねっかえるからむずかしいんだよ
敷布団は固めがよい
腰によい
君が隣に寝ているはずなのに
ちがう人の顔に見える
友 ....
命がひとつあった
命なんていらないと
思ったときもあった
命がふたつあった
どちらかの命が
残ればいいと
思った恋もあった
命がみっつになった
みっつすべて
残ら ....
まいにち 階段の数をかぞえる
それが 母の日課だった
増えたり減ったりするので とても疲れる
と母はぼやく
階段のある家には 住みたくないと言った
階段がなくなったら ぼくの駅がなくなってし ....
季節外れの神社に
十歳の僕と親父が歩いてゆく
親父は何もしゃべらない
僕も黙ってついて行く
参道の階段には銀杏の葉
黄色い黄色い石の道
段々を上って一息入れる
親父の肺は一つしかない。
....
まっすぐ流れる川の向こうに
大きな病院はある
窓の灯りはみな消えて
無言のままそびえたつ
月あかりがわずかにもれてくる病室で
眠れない乳がん患者が
隣のベッドの寝息を数えてい ....
みんな多分物事の先端がすきなんだ
ほら
叡智の先端
流行の先端
あの娘のポニーテールの生え際
サヤカの黒くて真っ直ぐな髪の毛先
きみのかわいい指先
ツンと尖った白い生意気な鼻先も僕は慕う ....
おーい、と言った
おーい、と返ってきた
そっちはどんなあんばいですかあ、
と聞いたら
そっちはどんなあんばいだあ、
と聞かれた
それじゃ、意味ないです
お義父さん ....
犬しか飼った事のない人間が
虫を飼うというのもなかなか無謀な事で
友好の証にピカピカ光る虫をくれた
友人の旦那も彼女に劣らず変人かも知れない
友人が自分の好きな画家にちなんで
虫あるまじ ....
・
私の本当の名前はスマコというらしいです
だけど父も母も兄弟もみんなスマと呼ぶので
いつの間にか私はスマになってしまいました
ときどき本当の名前について考えます
コというのはどういう漢字な ....
星の写真を燃やす朝焼け
太陽が
世界でたった一人の友達のように
わたしに朝の挨拶をする
金曜日の新聞はおもい
そこにいた
それだけの理由で
人は殺せる
すてきな目をしてるの ....
朝起きて具合が悪いといったら
「休みなさい」
と母がいう
ぼくよりいつも遅く出かける父は
今日は会社に行ってすでにいない
うまくいった
とぼくはおもった
普段なら熱をはかられて
「 ....
どこかの国の学者さんが
音符の組み合わせを計算して
私達があといくつ
歌を作れるのか発表した
なるほど
人類はそうやって
段々と終わっていくのか
新しい歌の生まれぬ世界で
人々 ....
海より遠い、
安曇野を思う
穂高の山々を
わさび田の清流を
あるいは
ただその空を思う
閉め切った窓の硝子に反射する、
ピアノ曲に誘われ
ふっと解けた封印は
気付けばとっくに ....
このような詩を書き続けていくのは大変でも言葉を書き続けたい
書いていこうと思った びっちりとしたこの音楽をできるだけ奏でていこうと思うのだ
血の言葉になったみたいだった そして誰にもわからないであ ....
さざなみは
優しい顔して
ぼくらをつかまえる
数え足りるくらいしか
ぼくらは夏を
めぐっていない
それなのに、
ぼくらは
もう
夏のなかでしか
生きられないような
生 ....
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