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人の灯りが
山間に星空のようにまたたいている
地上の星という流行り歌があった
高台を走る田舎の高速道路から盆地を見下ろすと
それは星の吹き溜まりのように見えるのだった

星座には見えないが ....
いちょうのにおいをかぎわけるころに
どちらからともなく手をつないだゆうぐれ
言葉を待っているでもなく
色づいた葉が落ちていくのが
コマ送りのように目に焼きついて

図書館前の噴水は
夏を ....
あきらかな
あたたかな
あなたとわたしの
いっときの
うんどう

えんどれす

おともたてずに

かなしいよる
かたつむりがはう



きりのなか

ください
く ....
赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
なんだろう、風がすずしいのは
どこまでも突き抜けていくんだ
水色のベールに覆われているということを
空は気づかせない
視界良好
闇はまとわりつくが
空は遠くにあるだけだ
どんな風にあるの ....
夏の終わりを待つ
私の耳には
波の音も
大きな地面を渡る水の音とはついに聞こえない
砂浜を歩きながら
光がどこから来るのかもわからなくなっていた
手を伸ばすと空間がななめになって
空がぐ ....
冷ややかな朝に
渡る風の行方を見つめていると
どこかで古いレコードが回りだす
草原の朝もやの中から
湿った石の階段が現れる
五段ばかりで
他には何もないのだが
時を経て少し苔むしたまま
 ....
空に標識がないのに
飛行機がぶつからないのは不思議だ
と母がつぶやく

風のはじまりはどこなんだろうねえ
風はどこで終わるんだろうねえ

お母さん
あなたと同じように
私も
いつの ....
ときどき
おるごおるを ひきだしからだすと
ものがなしい おとがする

くらいなかから
ながれだすおと

ゆくえはみえず
かべにあたって
しみとなる

てんじょうの かお
を ....
私の方向音痴を笑いながら
手を引いて
東京タワーはあっち
六本木ヒルズはあっち
あれが皇居
お台場は向こう
新宿はあのあたり
晴れていたらあの辺に富士山が見えることもある
さて
あな ....
古い写真
同じ年の子供たちが
いっせいにポーズをとって
こちらを見ている
覗き返す
私と
唯一
目が合わなかった
十歳の私

偏屈な子供
いつもみんなが
ガラスの向こうにいるよ ....
壁中に
血痕
が散っている夢を見たとして
それが
結婚
のメタファーだと
言われたら
私の結婚は
壁に描かれた模様のようなものなのですね

言ってみたくなる
言ってみたあとで
 ....
長いこと沈黙していた
アスファルトの隅で
地面のざらざらの下にある
本当の地面を思って

空の底には
まだ底がある
底の底は
地球の裏側の
空の底

夕暮れ
ノアの箱舟に
オ ....
頭がしゅうしゅうする
曇り空に
赤い点
落下傘が流されていく
ごまつぶのような黒い人かげ
大きな指が
垂れこめた雲に
文字を描く
地上にひしめいている
誰もが
しゅうしゅうしている ....
ボートから転げ落ちて溺れた
一人目の男は
すぐに飛び込みすくい上げてくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
二人目の男は
携帯電話で助けを呼んでくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
三 ....
いい天気ですね
がはじめの言葉だった
G線上のアリアが流れていて
あんまりできすぎたシチュエーションに
笑いをこらえるために
コーヒーを一口すすってから
やっと私は
ええ
と答えたのだ ....
赤いセーターの女
ひっつめの髪
きみどり色の閃光
作業
眼鏡
作業

作業
反復
業務



複写機
吐き出される
モノクロ
ドット
三千枚の
「@」の顔
 ....
白い砂浜に続く足あとが
あなたの逡巡の時間だった
五月
私とあなたが確かめ合った
ただ
それだけ

テトラポットの陰で
立小便をしていた男の子が
唯一の愛の証人であったことなど
知 ....
雨の下にずぶ濡れていた
左手にワイン
右手にパン
行き場なく

真夜中のスーパーの駐車場
雨を吸い込んだ衣服が鎧のように私を固定する
じゃりじゃりした下着の中では
排泄物が雨と親密にな ....
夜はどこにあるのですか
しまってあるのですか
どこに
すぐそこに
見えませんか
そんなに澄んで見えますか
あなたの見ているあれは
実は
空ではないのです
あれは
ただのふろしき
 ....
赤やら黄やらだいだいの粉を撒き散らしたような
圧倒的な紅葉折り重なる奥羽の山々
夕陽に最後の輝きを放ってまもなく
稜線が青色のコントラストを描き出し
やがて灰色ににじんでいく
夜には黒色の厳 ....
お互いに歳をとったら
春の日の縁側で
あなたの膝枕で
眠るように死にたい
と言ったら
あなたは泣いた

六畳間の安いパイプベッドの上で
まだ社会にでることすら想像できなかった
若かっ ....
かにを飾っているのよ
私は自分のことを露出狂みたいに
何でも話して同情を乞うのが嫌いなの
けどかにを飾っているところは見せてあげてもいいわ
流しの排水口から毎朝ね
かにがでてくるの
小さい ....
「月と火星が何万年かぶりにデートしてる夜に
そんな話するの、やめようや」

都心から一時間半
駅前にコンビニは一軒
周りは畑というこの駅にも
タクシー乗り場があるのだが
終電まではほとん ....
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜

土管の外側は小さなタイルのモザ ....
書く端から
言葉がもろい陶器になって
ぱりんぱりん割れていくので
どんなに壁にしがみついても
もう書けないのです
コンクリートは湿ったにおい
かび臭い指先から滴るインクでは記号にならない
 ....
紺がすりのような夜を眺め
穏やかな一日を思ううち
心は幼年に浮遊して
小さな手から落としたごむまりを
おにいちゃんが思いっきり地面にたたきつける
ぽーん
ぽーん
空を見上げて
追いかけ ....
美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかっ ....
いまひとひらの蝶
ゆっくりと私の眼を奪って
流れ着いたのは何の彼方でもなく
オフィスの私のデスクだった

電話の喧騒の中
不意の来客は用件を語るでもなく悠然としている
よく見ると胸に社章 ....
ある冬の朝
公園で
撤去された箱型ブランコの支柱の真下に座り
砂に文字を書いている
星が消えようとしているうちに
あらゆるところで細胞が目を覚まし
孤独な宇宙は
太陽に凌駕されていく
 ....
ダーザインさんの岡村明子さんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
盆地- 岡村明子自由詩905-10-6
秋の日の感傷- 岡村明子自由詩7*04-10-4
あいうえんどれす- 岡村明子自由詩4*04-9-18
水蜜桃- 岡村明子自由詩9*04-9-17
- 岡村明子自由詩204-9-17
八月三十一日- 岡村明子自由詩304-9-16
階段- 岡村明子自由詩904-4-22
標識_2- 岡村明子自由詩8*04-4-19
おるごおる- 岡村明子自由詩604-2-10
標識- 岡村明子自由詩504-1-17
視線- 岡村明子自由詩704-1-15
うらない- 岡村明子自由詩204-1-11
球形の休憩- 岡村明子自由詩403-12-29
低気圧- 岡村明子自由詩403-12-26
溺れる- 岡村明子自由詩1103-12-6
Air- 岡村明子自由詩803-12-3
その女は派遣で時給千二百円だった- 岡村明子自由詩703-11-22
初恋- 岡村明子自由詩503-11-9
アスファルトの磔刑- 岡村明子自由詩403-11-8
ふろしき- 岡村明子自由詩703-11-8
COLORS_in_Fall- 岡村明子自由詩103-10-29
四月×日- 岡村明子自由詩503-10-21
かに- 岡村明子自由詩203-10-20
エッセイ・月と火星が出会う夜- 岡村明子散文(批評 ...203-10-15
土管- 岡村明子自由詩403-10-11
迷羊- 岡村明子自由詩603-10-9
ごむまりの月- 岡村明子自由詩703-9-30
- 岡村明子自由詩603-9-30
- 岡村明子自由詩703-9-28
メッセージ- 岡村明子自由詩103-9-23

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