あいうえんどれす
岡村明子

あきらかな
あたたかな
あなたとわたしの
いっときの
うんどう

えんどれす

おともたてずに

かなしいよる
かたつむりがはう



きりのなか

ください
ください
こえが
さかなのように
しずんでいく
すう
せなかにみみを
そばだてる

そんなよる



そとにでる

たかいところからわたるかぜが
たちまち
ちいさなわたしに
ちからでないものをおしえてくれる
つみでもなく
つくろうことでもないものを

つながろうとすること
てをつなぐ
とおくをみつめる
とんでもなく
はかないものが
ひかりのつぶとなって
ふたりにふりそそぐ

ふと
ふつうにしていることが
へいきでなくなって
ほてったほほを
ほしのせいにする

まあるいひかりに
みたされる


むずかしいことはだれかにまかせる
めんどうなことも

もっと
やりたいことがある

ゆっくりとあるいていくこと
よごれずに
よりみちせずに

「らしく」あること
りっぱでなくてよいから
りかいされなくてもおそれることはない
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのように


れうれうとなく
ろぼうのむしが
わたるかぜにふかれて
をり

あきのよるに


あきらかな
あたたかな
あなたとわたしの
いっときの
うんどう

えんどれす


自由詩 あいうえんどれす Copyright 岡村明子 2004-09-18 00:21:30
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