わたしの中、唯一
開かれた小さな窓から
ぼうっと眺める
つながる点と、点たち
ペンシルが弧を描き
強弱をつけながら
行き先を定める
それは幾重にも覆われ
その鼓動さえも
....
あの光を見るためには
少なく見積もって三昼夜を
眠らずに過ごさねばならない
昼に見れば
赤い眼は赤く
白い冠羽は白く
くっきりと残像を残すのだが
それは光ではなく
単に赤い眼であり ....
おとーさんは海老を食べない
なので生野菜とアボガドだらけの
冷製カッペリーニになってしまう
文句もいわず食べているおとーさん
ほんとうは何が食べたかったのか知らない
....
この世の終わりのためにことばをえらぶ
宇宙に架かるブランコに乗って星くずを撒き散らしながら
ことばはひろがる
ドアをあける世界がまたひろがる宇宙のドアをあける
よく見れ ....
なつが好きなきみ
なつが好きなきみと
コカ・コーラを買って
はるの海に行く
あいにく雨模様で
なみは
テトラポッドを
ひっくり返そうと躍起
....
きみを解消するためにわたしは旅に出かけて
わたしは解消されずに
きみを見た
目を見た
髪を見た
口を見た
わたしは解消されずに
きみの足元を見た
足跡がないのを見た
もう一度
好きだと言わせてくれ
もう一度
好きだと言ってくれ
叶わぬ願いは
無表情にして
重く のしかかる
やがてまた
絶えがたきを知り
再び まやかしを求め
心 ....
さみー
オレンジジュース飲んだらさみー
そりゃ外でオレンジジュース飲んだらさみーかー
スーツを着た男たちが「誰にしようか誰にしようか」と悩んでたので僕が「じゃんけんで決めたらどうですか」 ....
石井が死んだ
石井が死んだ
あの夜 僕と石井と巻田と藤原と4人で
火を囲んで はしゃぎあった
深夜の公園
ごおごお 燃え盛る炎を囲んで
いろいろな話を した
グラビアア ....
とりになって
きえる
ら
く
え
ん
へ
あわく
はかなく
しんでいく
ぼくはそこで
つばさをすてた
月からの 乾いた風が
鉄とコンクリートの都市を吹き抜けて
切れるような触角のガラスに映ると
天界と砂漠のような大地が
暗い夢のように結ばれて
解くことができない
幻影が月の雫 ....
お祝いに
山羊をつぶした
生まれたときはとても可愛い
しろだった
誰ともなく唄い始めたのは
誰かを忘れないためかもしれない
誰かを忘れるためかもしれない
とても可愛い ....
抱き寄せて、
そうやって愛されたいの、
めちゃくちゃにして、しばって、
そうやって愛されたいの、あなたに、
人は信念とともに若く疑惑とともに老ゆる
すぐれた創造力たくまし ....
破壊の途上の
解体現場が
夜を迎えている
声のない断末魔
それは空虚な惨劇だ
肉体も精神も
過去も未来も
そんなの関係ねえ
物質化された
いま ....
窓際 春のはじめの陽に
鉢植えの花が咲いてゆく
緑の葉が孔雀のようだ
朝と昼と夜が流れている
その少し離れた台所の隅に
チューリップの造花がある
流し台のガスコンロの近く
ひそりと赤 ....
雨が降る
重く沈む大地
佇む電柱のむこうに
荒れた風景がひそんでいる
降り続く雨に
思い出が
霞む
やむことのない
雨音の隙間で
ひっそりと
時が無言でいる
今が幻のようだ。
....
地上に足を着けたことのない鳥が羽おおぴらげて
大空を自由に飛び回ろうと羨ましくないんだ
どんだけ自由だ関係ねえって泣いても
食うもん食うために生きるそんだけのためにも
閉じなきゃならないも ....
鏡は知っている、として
おまえはどうなんだ?
生きているのか?
魂を病んでいるのか?
つるりとした風の肌触りに身を震わせているのか?
無闇に齢ばかり食っていないで
答えを 落として ....
唇を湿らせて
湿らせるからまた
乾いていく
いつかひび割れて
また舐められる
口の上に鼻があるのは
どうしてなのか
口で味わうときに
鼻も恩恵を受けるためか
初めての口紅 ....
その色
スカンジナビアの薔薇より
もっと赤い
沈み込むように
夜な夜な世界の果てまで
私のつま先から髪の毛の先まで
何も残さず
燃やしつくす
夢の砂漠は
いつか辿り着くと ....
石につまづき、転んで、
ひざ小僧を。 すりむいた
のど仏
般若心経など 唱えていますが
赤と白の組み合わせ、
猛スピードで通り過ぎて行く
ひざ小僧は。 ....
ある雪の日に手紙を出しに外へ出て
すべって転んで骨を折ったヨシ子さん
ケアマネージャーが入院先へ
見舞いに行ったら泣きべそで
「アタシ馬鹿よね、おほほほほ・・・」
折れた骨がく ....
スナフキン
買い置きのチョコレートが切れてしまって
買い足しに行かなければいけない
コンビニで立ち読みをしているスナフキンに会う
やあ、いい天気だね
一通り天気の話をすると
彼はまた手 ....
春の女 桜の古木にもたれて
ぬめる 初々しい 肌 寄り添う
産毛が細く 金色に光っていて
毛穴は深く 呼吸をしていて
絹の触れあい
暖かな風は 透ける布の裾に戯れ
頬の紅が ....
茹でたての素麺をつかって
ひとりSMに興じていたら
突然 お巡りさんがやってきて
僕は逮捕されたのです
罪名は ひとり素麺SM罪
薄暗い取調室のなかで
強面の刑事さんに取り囲まれ
何 ....
今ココロの 形が見える
暖かい春の陽に まもられながら
ぼんやりしていた 僕の所にまもなく
届け ....
日曜日の朝なら
町内会で
いい天気になる予感よ
白くて洗いたてのかっぽうぎを着て
三丁目の公園で
おにぎりをにぎろう
おばちゃんたちは
生きることそのまんまのように
ぱわふるよ
....
そこは、海だったかもしれない
砂漠だったかもしれない
眩む赤に息をしたとき
空っぽに鳴いた
ざわめきを愛ととらえて
神様から定数を与えられる
わたしは、魚だったかも ....
井戸水を拾って
足音をしのばせて
どうか誰にも
誰にも気づかれませんように 想いを、想いを、想いを
つるべを握って しのばせて
雨よ、雨 降るのは花 ....
サヨナラバード
冬の月をのりこえて
きみは、きみの場所へ帰る
たくさんたくさん手を振った
またねと云うのが本当はさみしかった
たぶんぼくは忘れるだろう
毎日の雑多におわれて
そして空 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17