思ったよりも少なかったやかんの水を
勢いよく蒸気にかえたものだから
紅茶を煮出すにはとてもとても足りなくて

カンカンのやかんが
今朝の水の冷たさにひび割れないか
ビクビクしながら水を足す ....
冷たい雨に
震えるきみの
肩を抱いたのは
それもまた
雨でした

時に言葉は行き過ぎて
途方に暮れる長い夜
抗うこと諦めることを重ね
いくつの哀しみを覚えたの
その身を預け
降り ....
溶けた視線で壊れた時計を見つめても
もう動きはしないの
そう教えても君は時間さえ飛び越えようとするのだね


虚ろな世界観
そして空気
君が放つ波紋は
不必要な現実を緩やかに押し戻す
 ....
立ち止まったところに
誰かの{ルビ欠片=かけら}が落ちていたので
拾い上げてから交番に届けようとしたら
持ち主らしき人が
不安を抱えたてこちらへ歩いてきたので
「捜し物はこれですか?」
と ....
例えば其処に男が居たとする
男の瞳にはいったい何が見えて居るのか
穏やかに寄せては帰す静かな凪の海が映っている
澄み切った空の青さが際立つ緑濃い山が映っている
男の顔を見つめる男の目線 ....
(http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=168092の冒頭に転載)


映画は時間とともにヨコに流れる「時間芸術」である。しかし、それはときに、一瞬にして強 ....
虫のいどころでも悪いのか
いつまでも押し黙ったままで
あなたはテレビの画面を眺めるでもなく
そっと箸を置く

テレビのなかには
つまらないギャグに笑い転げる顔があり
テレビのそとには
 ....
 
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
縮む親
氷鏡に
歓喜の子
席を取り
悦は束の間
狸寝入り
おととい日はあちらから昇りました
きのう日はあちらから昇りました
きょう日はあちらから昇りました
きっと
あしたもあちらから朝は訪れるでしょう

この銀杏の葉は枯れ落ちました
 ....
探していた
おだやかな光を
逢いたかった
カンヴァスを破って

手を、そっと
輪郭のない夜だから
影もなくて
震えを数えていないと
ここがサヨナラになる気がした

風の硝子越しに ....
もう疲れたよ、終わらない迷路
ずっとおんなじことばっかり考えてる
毎日なんにも進歩がない

『もう忘れた?』『やめよう』『でもやっぱり』『ごめんなさい』『でもやっぱり』『好き?』『本当は』『い ....
塔のてっぺんにある
暗い部屋の
すみっこで泣いてる

よくわからない機械の
リモコンを握り締めて
ずっと泣いてる

何かが壊れるときの音を
上手に真似できる
それがぼくの特技

 ....
冬枯れの
枝の指より
こぼれ見る

白い半月
心 温め
黄昏時
電信柱の影に蹲る夜を見つけた
勇気や希望 妬みや嫉み 不安や絶望
そんな物達
を飲み過ぎて気分が悪いらしい
大丈夫?
そう言いながら
背中を擦ってやると
出るわ出るわ 夜が ....
かっちぃが積み木を積んでいます
黄色のしかくいのを二つ並べ
赤い円柱を二個
青い円柱を二個
と 上に上に積み重ねていきます
最後に三角の緑を二個乗せて
かっちぃのお城が完成しま ....
黄金の銀杏の下、落ち葉を掃くより落ちる方が早くって、
もうすぐ暗くなるよって、黄金の絨毯に夢中な少女、ご主人をうかがいつつ、ぴょんぴょん、散歩する嬉しそうな、子犬、恥ずかしそうに、立ち小便するオヤジ ....
何をどこに忘れたのですか?
駅の係員は開いた記録簿に目を落とし尋ねた

普段から乗りなれた通勤電車
それなのに今夜は何かが確かに違っていた
勧められるまま飲んでしまった新年会
赤ら顔の同僚 ....
寂しい気持ちが寄り添って
結局自分の道が見えなくなるね

強く、強く

望んでみたり

幸せ、幸せ

訪ね歩いたり


どちらも
そんなに遠くに
在るわけなくて

 ....
悲しまないでください
たとえ私がひととき
希望を見失ったとしても
それは今年初めて触れた雪が
てのひらで消えるまで
きっとそれほどのときですから


私の瞳に映せる空は
決し ....
「当時」「杜氏」「東寺」「湯治」「答辞」

本日の"NGワード"


そんな設定がされているのにもかかわらず
あなたはNGワードを連射する
しかも「東尋坊」まで重 ....
たとえば鏡を覗きこんでも自分が見えなくなったとき

そこに詩が生まれる




たとえばシャーペンの芯をシャーペンの先から入れようと

凄い顔をしながら必死になっている人 ....
 行く年は

 「あい」で
 締め

 新年は

 「うえお」
 目指して

 夢かなえよう
ほんものだと
ありがたがって食べていたら
とんだ偽物だった

ほんものだと
ありがたがって鑑賞していたら
とんだ贋作だった

う〜ん、良くあるはなしだよね
テレビを付けてみれば
に ....
ああ
そこの
ここからそこの
すみずみまで
感じている生命よ

あなたのそこの
感覚鋭く
ときには鈍い
生命よ

わたしは悲しい
青い鳥
空は命に溢れても
この地上の
 ....
私は平凡ですが
詩人は王族にもなれますし
妖精にだってなれます

けれど
愛されたいからと

あなたの愛する人に
なりすましても
無駄でしょう

あなたの
こよなく愛する
姪 ....
 詩作品がうまれて、詩集という形になるまでには様々な出来事がある。大部分は詩集を手にする読者には分からない。でも時々それらのエピソードの一部が栞やあとがきに書いてあって読者の知るところとなることがある .... 小指の約束

駆け巡る人差し指と

遊ぶ中指の記憶

今宵薬指の輪具はずして

親指咥えて挑発
あたしのなかにあなたが

ひと雫しみて
ふた雫しみて

だんだんと濃度が増してゆく

こうやって蝕まれていくのね
、この世のすべてのものは

細胞が喰われた、あなたの言葉に
血液 ....
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