すべてのおすすめ
 
景色を
琥珀色に染めながら
涙のように零れてしまう
煙が風に揺れてる

力いっぱい泣く
汽笛はいつも
理由も知らずに
旅立ってしまった僕らのように
涙をこらえてる

繋がり ....
 
なぜだろう
ただそれだけのことなのに
いらないものが
少しもない

テレビで見たものを買うよりも
増えていく
たくさんのあなたやあなた
そしてあなたも

それでいて
どこか ....
 
雑音が聞こえる
鞄の中から
聞こえる声を聞きながら
母は呆けた

雑音が聞こえなければ
昔のような
声で母は話した

鞄の中から
雑音が聞こえると
途端に母は
声を濁らせ ....
 
こころが風邪をひくと
遠いどこかへ行きたくなる
誰かとバスを
待ちたい気持ちになる

まだ幼かった
あの日の僕と母のように
むかえに来たのが
バスではなかったとしても

見知 ....
 
駅のホームで
乗り換えの汽車を待つ
少し味の濃い
月見そばを食べながら

かけそばにしようと思って
左ポケットを探したら
小銭が思ったより入ってたので

長い線路を
そばのよ ....
 
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった

お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった

お ....
 
父さんと
楽天の試合を見にいった
けれども本当は
野球よりも球場を一周する
小さな汽車に乗りたかったから
父さんは入場券をポケットにしまって
試合が終わるまで
何度も何度も汽車に乗 ....
 
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる

えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う

目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....
 
とても幸せそうな家庭だった
それなのに
僕が帰ると言うと
君は泣きそうな顔をして
つまらなそうにうつむくのだった

いつか君も
僕の家に遊びに来た
垢にまみれた泥の顔をして
即 ....
 
子供の頃
日曜日になると
隣町まで習字の塾へ行った

習字よりも
塾をさぼって
町の本屋で立ち読みしたり
ゲームセンターでゲームしたり
そんな思い出ばかりが残ってる

ある日 ....
 
夕焼けに
親指を立てて
田舎町のバイパスで
ヒッチハイクした

止まる車はなく
僕も止まることはなく
黄金色に染まる
雲に乗って
太陽は
旧道の町を
去って行った

あ ....
 
孤独の森に迷いこんだなら
出口を見つけることは
容易ではなかった

孤独の森を
歩き続けることは
苦痛でも
それは森のせいではなかった

森は伐採され
孤独は終わりのない
 ....
 
秋田にいた頃は
大曲の花火
毎年見ていたんでしょうね
と聞かれて
いやそれほどでもありません
と正直に答えると
信じられないような顔をされた

一人取り残されたように
NHKの ....
 
やわらかいものが
やわらかいものに抱かれ
育むものが
育まれたことをよろこびとした
この命の果てにある
未来がまだ懐かしかった頃

時は懐かしく
時はまた経験として
かつて見た ....
 
演じることでしか
存在をゆるされない
かなしみは
命に及ぶ

遠いよろこびの
記憶のはてで
幻想たちが死に絶える

たそがれる
朝日を見るように
地平線に背をむけて
くっ ....
 
鏡にうつる
自分を見てる
ありもしない
本を読んで

ふすまが
開く音がして
慌てて
本を閉じる

それでも
気づくことなく
人は次の
ふすまから出ていく

少し
 ....
 
この雨の
景色を覚えてる

父に手をひかれ
玄関の
扉をあけた

その時
降りはじめた雨を
あれから僕は
ずっと
見てる気がする


僕の手の中にある
小さな手
 ....
 
友だちの
りんご畑から
りんごを盗んでしまった

十数年後
街でばったり
友だちに会った

一緒にお酒を飲んだ
ふところには
あの日のりんごが
ひとつあった

りんごは ....
 
せまい部屋の
小さな飯台をかこむ
家族がいる
いつもの朝だった

祖父はよく
僕のおかずを間違えて
食べた

だれも
気づかない
静かに人が食べる
音だけの
朝がつづい ....
 
馬にまたがって
本を閉じる
栞をはさむのを忘れたまま

目の前が揺れてる
馬とともに
風とともに
新しい物語がはじまる

馬をおりると
手料理の皿を持ってる
あなたが
あ ....
 
川の向こうに
黒猫がいる
こちらをじっと見てたのに
いつのまにか
居なくなってる

遊歩道でひろった
小さなノートをひらく
知らないことばかり書かれてある
わたしは石に
名 ....
 
焼け落ちた
羽がまた羽のように
はばたいてる

焼く前よりも羽らしく
空気をとらえ
空気におぼれながら
屋根の上に
鳥がいる

まだ飛べない
幼い鳥の声がする
途方にくれ ....
 
水のために
夜は流れるので
その最下流
海が見えるあたりにはきっと
朝がある

朝のために
水は流れるので
その最上流
泉が湧くあたりにはきっと
命がある

そうして
 ....
 
こうえんから
おばけのこえが
きこえました

おばけじゃなくて
ぼくのこえだよ
おばけはいいました

やっぱりおばけだ
みんなは
わらっていいました

そういうみんなも
 ....
 
新聞脳の父と
テレビ脳の母と
YOUTUBE脳の子供が
小さな家に住んでる

すべて借り物
いらなくなれば捨てられてしまう
情報のはかなさ
メディアのくるしさ
家族の双方向性
 ....
 
そのむこうには
休日がある
わたしたちのための

いったい何を休めばいいのだ
と男が言い
いったい何から開放されるの
と女が言う

お墓の土から生まれた蝉の幼虫が
羽化するの ....
 
 
 
部屋のしくみ


部屋の壁に
エレベーターがある

時々音をたてて
上がったり下がったりしてる

今日は僕の階で
ドアが開いた

まだ誰も乗ってなかった

 ....
 
蝋燭が
消えそうになると
まだ燃えている
知らない蝋燭がやってきて
消えてしまう前に
やさしく火を貸してくれる

白く溶ける
蝋を流しながら
傷跡のように
それは残る

 ....
 
夏が
色をうしなって
いきます

羽衣を着た
あの人が
人であった頃

眩しく
消えていきました
白く輝く
光のまま

焼き尽くされて
まだ
ここにいます
 
 
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す

ここは海が近いから
命の
匂いがする

書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった

もう
言葉などいらな ....
beebeeさんの小川 葉さんおすすめリスト(70)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
蒸気機関車- 小川 葉自由詩4*08-10-4
キャベツ畑- 小川 葉自由詩308-10-1
- 小川 葉自由詩17+*08-9-29
バス停- 小川 葉自由詩4*08-9-29
左ポケット- 小川 葉自由詩708-9-26
毛を舐める猫- 小川 葉自由詩7*08-9-23
僕らの休日- 小川 葉自由詩16*08-9-17
微炭酸- 小川 葉自由詩11*08-9-14
青魚- 小川 葉自由詩408-9-13
兄さんの背中- 小川 葉自由詩508-9-7
夕焼けヒッチハイク- 小川 葉自由詩308-9-4
孤独の森- 小川 葉自由詩3*08-9-1
秋田の男- 小川 葉自由詩2*08-8-29
未来がまだ懐かしかった頃- 小川 葉自由詩708-8-28
改版- 小川 葉自由詩308-8-25
部屋- 小川 葉自由詩208-8-23
雨の景色- 小川 葉自由詩308-8-19
りんご- 小川 葉自由詩708-8-15
暮らすように歌う- 小川 葉自由詩13*08-8-13
- 小川 葉自由詩208-8-10
梅田川- 小川 葉自由詩2*08-8-9
屋根の鳥- 小川 葉自由詩208-8-6
水のための夜- 小川 葉自由詩4*08-8-4
みんなおばけ- 小川 葉自由詩7*08-8-3
Beyond- 小川 葉自由詩4*08-8-1
ビヨンド- 小川 葉自由詩5*08-8-1
孤独のしくみ- 小川 葉自由詩308-8-1
蝋燭- 小川 葉自由詩508-7-28
白い夏- 小川 葉自由詩108-7-26
言葉などいらない- 小川 葉自由詩908-7-26

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する