梅田川
小川 葉

 
川の向こうに
黒猫がいる
こちらをじっと見てたのに
いつのまにか
居なくなってる

遊歩道でひろった
小さなノートをひらく
知らないことばかり書かれてある
わたしは石に
名前をつけていく

知ってる名前も知らない名前も
わけへだてなく
ただそこに名前が
あるように

魚がたくさん跳ねている
カゲロウがたくさん飛んでいる
電車の音が聞こえる
しずかに夕日がくれていく

ここにはたくさん
名前がある
 


自由詩 梅田川 Copyright 小川 葉 2008-08-09 18:23:23
notebook Home 戻る