浄化する現実路線

聖なる賄賂

信じて舞う

瞳を閉じて ひらひら 揺れて 恋


きらめく滴 雪は溶け 水

誰にも知られない部屋に

内側から閂を掛ける

時計の針 ....
終わりたくない昼と
始まりたくない夜が
西の空で見つめ合っているような
そんな色だった

手放したくない光と
受け入れたくない闇が
西の空でせめぎ合っているような
そんな色だった

思いがけない桃色 ....
蛍光灯をふたつ
そっと消し
薄明かりの部屋 ひとりホットティー


天井の照明器具に
小さな電球のある{ルビ所以=ゆえん}を知る


化粧鏡に反射するオレンジ色した豆電球
その鏡が ....
なごやかな席で
「あのときは大変だったねえ」 と
しみじみと 目を細めて振り返る くるしみは
あなたがあなたゆえに 与えられたものであって
それは言い換えれば権利に等しいものだ
故 ....
きみのすがたのミニチュアみたい

さきぼそりの指

ちいさな肩?おおきな頭?

さきぼそりの洋梨

指もお尻もクリトリスも

世の中のひかり

すべてめぐりめぐって

きみ ....
昇った月
真円の月
紅に染まった木々
紅に染まった頬…

淡い月の光が
雲と絡んで微かに
陰影を浮かび上がらせる
空にそっと手を伸ばす

体を預けて
微かに感じる冷気を誤魔化す
 ....
自分、行きとるか
真面目に働いとるか
まあ、僕の事やから
きっと転職してるんやろう
今の仕事はどないや
こっちは毎晩残業やで
残業代もらえん会社で残業や
奥さんと子供、大事してるか
今 ....
親友だと思っていた友人に
押し付けだと散々な言葉で
床に投げられた

当たっているのか

おもいやりとおせっかい
相手の気持ちに無知で
ひび割れたおせっかい

本気で話すことをため ....
高校生のころお気に入りの詩集があった
人に優しく、という詩集だった
わたしはその詩集をずっと持っていたかったけれど
あいにく制服のポケットにはその詩集ははいらなかった
わたしにはあんまり優しく ....
声帯の下から胃の入り口まで癌が拡がっていると
入院して一週間目の兄が一本目の点滴を受けながら
病室で静かに語る

声帯が大丈夫だったことに安堵した様子で
芸大の声楽科に入って声楽家として
 ....
過去など何処にもありはしない
ちょうど幼い私が失禁して
呆然と佇んだ道端の
あの豆腐屋が
とうに消えて無くなっていたように

私はいつ、大人になり
いつから老い始めたのだろう
私はいつ ....
埼玉から都内の西に越して
一部屋減った

3LDKの都民住宅

なにも家具が入ってない
下見のときは
とても とても
広く見えた

が!!!

おとな5人と成猫2匹には
狭い ....
あり合わせの野菜と特売の豚ばら肉で作った野菜炒め
ちょっと辛めなのは彼の好みで
できたての熱々をふたりのお皿に取り分ける

彼はと言えば相変わらずのパソコンに熱中していて

彼のお皿にはお ....
人間が
虹色に生きる
イメージ


とりどりの
色を重ねて
生きてゆく


強いひと
人礫すれば
弱い者


動物も
人も草木も
柔らかな身


嫌われる
雨 ....
久しぶりに母に電話した

聞くと 家で転倒したいう
もう1ヶ月だと
結局 インドメタシン入りの
塗り薬と痛み止めでしのいで
整形外科には行かなかったと

あぁ 医者嫌いの母らしいな
 ....
ふたりぼっちのさくらんぼ

みんなのはなしをきいている

そばであなたにみまもられ

やわらかこころをまもってる


きいろやあかやみどりの、ね

まあるいかわいいこころで、ね
 ....
優しくない
人を妬む気持ちが
ドロドロと溶けだす夜
私はまた罪をおかしそう

もっているものをあわてて確かめる
人並みに揃っていればいい
多少足りないぐらいなら
コンビニにいって買おう ....
いのちを軽く人生を軽く

かんがえていた訳じゃない

十代のころ

自殺と未来がいまよりも

そばにあった

ただ

いまよりもずっとそばにあったんだ

そんな生死の

 ....
ふと 横を見ると
あのひとがいた

1年前 
恋こがれて
夜の渋谷の坂を
走って追った ひと

横顔 今もすてきだ
30センチも離れていない
ところにいる

あっ

彼は  ....
青き薄手の衣に馳せる
真の美への想いと
寒空の下で肌に感じる暖かさ
柔らかな美の面影の眼差し

冬陽に祝福されし
この寒空の下で
ただ…この子を愛している…
ただ…精一杯愛している…
もっと触りたい
ふわふわの領域を
もっと抱きしめたい
ふわふわの範疇を

手のひらから沁み込んだ
もふもふは一気に
視床下部まで駆け上ると
セロトニンの波に乗って
第3肋骨の裏側に潜んだ
「不」のつ ....
月が好きだということは

ひかりが好きだということです

太陽みたいにどぎつくなくて

月にあたってやわらかく

はねかえってくるひかり

そんなひかりが好きなのです


緑 ....
                大きなまつぼっくり
                拾い集めて
                クリスマスツリーを作るの
                おもむろ ....
黒い虫

ばかだな それは

毛玉だよ
自転車で 頭上を流れる
   
   白緑の葉桜が

  
天井をすべるように
 
        すり抜けてゆく
支えとしての音を失って
私は迷うと思ったが
踏み出す足の先は
同じなんだとわかった

空間を歩く
私は心細いけど
それは なにかがないせいでなく
だれかが いないせいでもない

ど ....
絡み合う2匹の軟体動物さながら愛し合う
舌と舌とが唾液を攪拌しながら弾かせる
無声子音の破裂音
こうやってお前を吸い込み食べちゃいたいよと
賞味し合う前菜じみた聖餐の
静かな咀嚼音

そ ....
何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか

下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな

女のひとだとしたら
無性に巣篭もり ....
あたしは
妊娠がわかると すぐ
あかちゃんのことを
愛称で呼ぶクセがある

あーちゃん

息子の病状が安定した頃
2番目の子供を授かった

今度はきっと
女の子だ

そう決め ....
詩を読んだ日、
見上げると満月だった。

詩を聞いてもらって,
「いいね」と言われる。

詩を読んだ日、
見上げると満月だった。
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