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小さな巻貝の奥に
灯りがともる
小さな海の人が
書き物をしている
波から聞いた話を
青いインクでしたためる
書き終えると
小さくてごく薄い紙片を
丁寧にたたみ
小さな封筒に入れて
 ....
シャボン玉
悲しい歌とお母さんが教えてくれた
風々吹くな壊れるな
虹色に揺れながら
くるりと回って
弾けて消えた

洗濯のりを入れると壊れないよと
お父さんが教えてくれた
だからね
 ....
まだ春だと言うのに
焼ける万華鏡の景色


溶けていく




まだ碧き獅子の
輪郭が弧を描いているのに


溶けていく






降り続 ....
昔 大きな戦いがあり
そのせいで手首の骨が曲がったままついている
と祖父が言う
痛かった?
そりゃ痛いよ
(おじいちゃん人を殺したの?)
とは聞けない
昔 大きな戦いがあり
みな人を殺 ....
そのひとが指した
暗闇に
また星座ができる
夜空の不確かさに
うなずきながら
長い髪が揺れると
それは五等星ぐらい
小さく笑うと
三等星ぐらい

月影を手に入れるために
なにもか ....
     旅路



ひとはみな
利己的なもの
それでいいのだ
利己的でなくて
何ができる
{ルビ己=おのれ}を大事にできないものに
何を大事にできるというのだ
己を愛せな ....
窓の外の蒼い光は
声なく私を呼んでいた
冷え込む夜に身を投げて
立ち眩むほどに十六夜の月を見上げると
遠くの車道を行く風の足音が耳を抜ける
夢に似たオリオンが瞼の裏にも輝いて
名の知れぬ音 ....
糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる

散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
柔らかな光の筆先で
なぞられた街並は
おぼつかない輪郭から
あどけなくはみ出す
水彩絵具の色合い

目の前を行き交う人々の
心なしか和らいだ眼差しは
古いアルバムの内側で
セピア ....
あかるくひかる空の雲は氷点下である。

なにを恐れているかしらないけど
きみはあかるい空をあおぎおびえる
わきあがる雲をみてふるえる
ゆらぎさる風にふれておののく

きみを
ちょっとだ ....
付けられた足跡から
微かにだけど漂う香り
気のせいだとは分かっている
思い違いだと笑いたくなる
けれども
だとしても

季節が過ぎると共に
溜息を零す度に
桜の花弁を踏む毎に

 ....
 時期遅れの花見
 
 とっくに散った花びらのかわりに
 輝く緑
 若き季節の息吹


 青空には
 果てを知らない鳥たちが舞い 謳う

 みなの真似する花見よりも

 散った ....
聞こえる

時空の闇から
朱色に彩られた土の
古代模様を揺らす
不規則な
太鼓の音
琴の音
風の音
一つ一つ
掌で確かめるように
音の手触りを
拾い上げる
 じいさんが縁側で苺を食べてた
 ばあさんがスーパーで安く買ってきた苺を
 安い苺は酸っぱいよ、って言いながら

 じいさんちの庭は、誰も手入れをしないから
 荒れ放題だ

 じいさ ....
赤い果実を一口下さい。
青色でも褐色でもなく真っ赤な真っ赤なその色を。
甘い蜜を吸わせて下さい。
苦い思いは沢山なのです。
よじ登った林檎の木から見下ろした町並みが、
赤く染まる夕暮れ時、違 ....
魚よりも自由に水の中を泳ぎまわりたくて
馬よりも自由に草原を駆け回りたくて
狂ったように吹き荒れる窓の外を眺めながら
ずっと煙草を吸っているよ

鳥が自由じゃないのは知ってるし
死ぬまで泳 ....
 弄(あそ)ぶ指先
 止まらない髪先のひかり
 止まらないにわか雨
 
 ふるえる唇から
 零れる風の接吻
 
 枯葉のぬくもりが
 みえる窓硝子の彼方

 近づく雲のノイズ
  ....
 
誰もいない掌に
ひとり
立っていた気がする

地平線を探して
生命線に沿いながら
ひとり
歩いていた気がする

それはわたし
ではなかったかと思う

陽が落ちて

重 ....
ほぐれていく組織
空間の中で一人の身体は
たゆたい
しずくになる

ほころんでいく意識
小さな月と太陽が
ベッドの脇で遊んでいる
影のない蒼い部屋
追憶は、雪のようにそっとほどけていった。

    舞うように迷うようにさ迷うように

夜明けまで踊っていられる?
「お安い御用よ」。

静寂の泉に息を流し込みながら
雪のように
沈 ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから

僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。


草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。



 波の青さにあらわれて
 透きとおってゆく、 ....
氷の川を
停められるのは
時の流れにせせらぐ命


 つめたさを
 うたう刹那が底にあり、

 静けさを
 砕く車輪が
 渡りゆくから、

 氷の川は
 停まらない
 ....
新しい季節へと
かわっていくなにか
さがすように風を嗅ぐ
子犬になれそう

  正しいとかまちがい
  とかはしらない
  模造できないほんとうを
  さがすように風を嗅ぐ
  そん ....
酒、呑んで
詩を書いて
恋をして
見えなくなって
また見えて
傷つけて
傷ついて
泣いて
泣きやんで
目がさめて
……何ひとつ変わっちゃいない
昔のやり方、そのまんま
俺はバカ ....
青い光を照射された 水晶の底
眼下の夜景には 星屑が撒き散らされ

脳細胞にまたたく 神経電流のさざめき
か細くも ひとつひとつの瞬きとノイズに 
担えきれぬ意味がこめられ

静けさと硬 ....
木魅 (こだま)


「好きだ」
溢れ出した想いを返せないまま
あなたは土に還り
わたしは朽ちることもできずに
「好きよ」
抱えすぎた言の葉をざわめかせながら
夜毎 すすり泣 ....
  鳥取の冬を包み
  かくすもの
  街の音まで凍らせて
  夜を沈黙で満たし
  立ち尽くした
  遠くで、雪おこしの稲妻が
  夜を呼びさます

暗闇に置かれた水晶の透明が
今 ....
あの空は
ぼくたちにとってのどんな色で
何かを忘れないための色になったりするんだろうか?

つきぬける青に白い雲ひとつ

思いかえせば、
この変わらない空の下を
ながい間、 ....
オリオンが
その名前を残して隠れ
朝は針のような空気で
小鳥の声を迎えうつ
わたしは
昨日と今日の境目にいるらしく
まだ影が無い

太古より繰り返す冬の日
あたたかい巣箱から
掴み ....
見崎 光さんの自由詩おすすめリスト(335)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海の人- ふるる自由詩19*09-5-5
春の陽気に小春日和の日を思い出す- ルナ自由詩1209-5-3
万華鏡の景色- 北星三天自由詩3*09-5-2
足は大地を踏む- ふるる自由詩6*09-5-2
なもなきほしと- たりぽん ...自由詩1009-4-29
旅路- ふくだわ ...自由詩109-4-23
まだ眠る街- 中原 那 ...自由詩109-4-23
ぷかり- 恋月 ぴ ...自由詩33*09-4-20
風薫る- nonya自由詩13*09-4-18
天使の肌は冷たい- 佐々宝砂自由詩109-4-18
足跡- 松本 卓 ...自由詩109-4-17
散り花見- 山崎 風 ...自由詩609-4-16
響(キョウ)- フクスケ自由詩109-4-10
じいさん- Ohatu自由詩809-3-29
[リンゴ]- 東雲 李 ...自由詩1*09-3-21
鳥よりも自由の空を飛びまわりたくて- 虹村 凌自由詩8*09-3-9
『琥珀の刹那』- あおい満 ...自由詩4*09-3-1
掌に、影法師- 小川 葉自由詩409-3-1
切り取られた空間- かのこ自由詩109-2-28
朧雪- 水島芳野自由詩309-2-27
僕は切符を買うよ- たりぽん ...自由詩16*09-2-26
ふしぎ- 千波 一 ...自由詩11*09-2-20
氷の川- 千波 一 ...自由詩5*09-2-16
ライカ・シンドローム- たりぽん ...自由詩14*09-2-16
月面- ふくだわ ...自由詩209-1-31
拡散する- いねむり ...自由詩109-1-17
百鬼夜行詩_<4>- nonya自由詩17*09-1-12
夜雪- たりぽん ...自由詩6*09-1-11
ぼくら- わら自由詩21*09-1-8
ふゆの背中- 銀猫自由詩21*09-1-4

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