机に置かれた
ちいさな消しゴム一個
それで
僕の文字と一緒に
僕のこころも消してほしい
B5サイズの
白い印画紙になって
誰かが言葉をいれてくれたら
僕のこころにしよう
誰かが絵をい ....
かなしいくらいに
空は青かった
夜は、
かなしいくらいに
星は綺麗だった
あぁ、 あぁ、
この一歩先へ
この一歩先へ
ゆけたなら
....
雨雲に覆われた街を
切り取る車窓を眺めれば
まるで僕らは
ネガの中を走っているよう
降り出しそうで
{ルビ堪=こら}えるあの空には
あとどれだけの
時間があるのだろう
始まれば ....
わたしはかつて
子供でした
あなたはどうですか
助け合うことが
正しいことだと知っていました
よろこびを
分けあうことができました
愛の意味を
知りませんでした
....
いま
あなたが話しかけているのは
だれですか
透きとおったまなざしが
つかもうとした
青い空はくろく汚れてしまって
はいいろのかなしみが
あなたを見つめています
それでも
だれかに知 ....
ミンククジラのパンプスの中で
小さな金魚が揺らめいている
落雷があった駅からは
洪水が始まっていて
横断歩道の境界は灰に変わる
賭けに出る前に
豪雨の隙間ですれ違った少年は
折れ ....
クラリネットをバックサウンドに 哀しい合唱歌
約束が欲しいのです。
ひとりで居ると。
ふらふら、ふらふら。
どこかにイってしまいそうで。
誰か、約束をしてくれませんか。
どんな些細なことでも良いのです。
縛 ....
最近、アナタとの思い出が。
蘇るのです。
最初の出逢いから、ちょこちょこと。
幸せ、だと誤解してしまうほどに。
現実が、すぐに目を醒ましてくれるのですが。
また、次の記憶 ....
我、汝の姿を映す者なり。
残酷なまでに偽り無きその姿、
{ルビ粧=よそお}いは夜に生きる{ルビ月魂=げっぱく}の如し。
覗けば混沌、砕けば虚空。
覆えば真実、晒せば嘘。
爪を立てれば軋み ....
雫が落ちるのは
空が綺麗に晴れていたから
鳥が歌うのは
雲の合間から光がこぼれたから
夢が踊るのは
カンバスに色彩が溢れたから
波が止まるのは
白い部屋から見える木の葉が落ちて、空に還っ ....
「もういいかい。」
「まあだだよ。」
少しずつ小さくなる声と
少しずつ変わる風向きと
押しつぶされそうな恐怖。
全てが消える、その一瞬まで、
「まあだだよ。」
明るくまっすぐ楽しそうに咲いているタンポポが
きみにそっくりだったので
会いたく会いたくなりました
切り裂かれた
空を
縫い合わせていく
細い枝
儚げなものほど
案外強いよ
一輪の花を手折った
その花は美しく咲いていた
大事に包まれたその花は
いつの間にか
鞄の中で萎れていた
空が鳴いている。
夜にひっそりと。
切り裂かれてる。
啜り泣いている。
涙を流している。
慰めるために、
何が出来るだろうか。
大好きなんだけどな。
無 ....
私は生まれる前は0だった
私は生まれて1になった
私は死んで0に戻る
0が0 0が1 0が100
0が0 0が−1 0が−100
木曜日の朝の雫が絶叫をあげている。
尖った街頭の佇まい。
通勤の熱気をはおったDNAのひかる螺旋の群は、
わたしの散漫な視覚のなかに、
同じ足音、同じ顔を描いていく。
振子のようなまなざ ....
ちいさな定規で世界を測る
一ミリよりも
さらにミクロな世界があることに
普段ほったらかしていた
ものがあることに
僕をみていたものが
あることに
ちいさな定規は
うなずいて
そっと教 ....
{引用=
***
}
ashley's ashes
黙々と浜辺で流木をひろい、こわきに抱える
あるく
波打ちぎわが
日没の汀が
潮騒のざざわざわ
降るまえにあれを灰にせね ....
まっ白いクリームの上で引き立てあう
イチゴとミントみたいになりたいのに
ああ、今日も雲が浮んでいる。
青青と吟する空の重さに酷く狼狽し、暮れへ連ねてあるく。
おまえは「きょうもええ天気やったね」と暢気に
両手をうえに、背を反らせて伸びをする。
....
僕の足跡に小さな花が咲いた
靴の裏に花の種があったのだろう
その花は音もなくあっという間に散った
そうして気がつくと小さな実が成っていた
次の春が待ち遠しいものである
空は青く赤い実がきらき ....
なにも愛さない
なにも愛せない
夏の木の緑の葉だって
冬になれば枯れて消えてしまうなら
青く輝き広がる海だって
冷たく僕を拒むのなら
愛さない方が良い
町を歩く猫や犬 ....
声聞くと安心して眠くなって
電話の向こうとこっちでお互いあくび
なんかα波でてるんだよなぁって
しばし沈黙を共有
貴方が其処に生きていることを
知ることが出来るから電話が好きにな ....
夢の様に髪を撫で
抱きしめてあげる
空には小さく
月があるから
こっちへおいでよ
僕の影は見えるだろう
おいで
あの時みたいに
おいで
両手を伸ばして
僕は眠い
月がとて ....
3.1415926535 8979323846 2643383279 5028841971 6939937510
5820974944 5923078164 0628620899 8628034 ....
夕焼け空の中だった
買い物から帰る途中の道で
少年は子猫に向かって
石を投げていた
少年はすでに泣いていた
ぼくの家では猫は飼えないんだ
小さな声だった
ぼくが悪いんだ
お腹を ....
もうどうせ間に合わないと知って
少年はランドセルを鳴らすのを止めた
土手に咲く花々の名を
どれひとつとして知らない
草笛はこんな風に鳴らせるけれども
言葉の中に
小さな石を見つけた
それはとても赤く
とても美しい色で
鳥を打ち落とした
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