毎日が戦場で
しっかりと目を開いて
現実ばかり見ていると
ひとみが乾燥して疲れてしまう
だから そのたびに
まばたきをしてみるのだけれど
そんなとき一瞬
電車の車窓を見ているようで
何 ....
彼女はまだ温かい
フランスパンを
冷えた腕に抱えながら
川沿いの坂道を
一気に駆け上がる
街路樹は春に芽吹き
風は冬のまま
もうすぐ朝が来る
空は濃紺から薄い青へ
雲が暗く影を残す
 ....
0時過ぎの残業を終えた 
更衣室のロッカーに 
凭れて座る栄養士 

青白い顔と体をつらぬいて 
うっすらと立つ 
ひとすじの葱 
誰かにおやすみと言って欲しいのですね

そうじゃないと

また眠れないのですか

せっかく作ったゆりかごから

落ちてしまうでしょう

1本だけ寂しげに咲く

赤い椿

は ....
 
使い古された祈りのように
どこまでも机が並んでいます
その先には針葉樹林があって
仲の良い母と子が
なくした傘を探しています
木洩れ日が揺れて
ときどき音なども聞こえてきます
 
草の葉が
風にゆれて
風景と対峙する
その葉のさきに
とまる爬虫類の眼に
やどるのは人だ

さようなら

葬列のむこうへ
風はゆくが
寂寥とした気配に
残されたものは
石積み ....
わかるわけがないと思う
あの頃
みんな
もう何をしてもつまらないって知っていた
この先何も
いいことなんかないって知っていた
生き残るため
そう、大していいこともないのに
ただ生き残る ....
信号待ちをするときは
雨のアスファルトを
濡らす夜の光を
滑るように踏み締める車の連続の
車、車、車の
融合しているかのようなスピードに
巻き込まれないだけの重さの、足 ....
地球のてっぺんから
百万発のロケット花火を飛ばして
高原でバーベキューなんかやってるような
さわやかな連中を追っ払ってやりたい
乱暴な音楽が流れ始めたら
ちぎれるほどめちゃくちゃに頭を振って ....
 
消防署の隣に
積木で家を造りました

小さな家でしたが
お祝いにひとつ
ほおずきを添えました

出会ったときには
もう家族でした
 
                  080422


共通の
共時性の意識が腹の皮膚に触れて
張り付いてコバンザメになった
食いつかれて痛がる子供らは
悲鳴を揚げながら陸に上がるのが
 ....
風が光っている
それを
瞼の裏で感じて


われに五月を


犯罪的なほどに
短いスカートをはいた
女子高生の耳元で
一編の詩を
ささやいてみたい

気が合えば
ふたりで ....
観葉植物に電子レンジのアース突っ込むエレキテル彼女。


ベッドの下からイノキの銅像!謎は深まるイノキテル彼女。


シルクのドレスはインド製でフェアトレー ....
渇いた瞼に浮かび上がる人影
昇り損ねた月が沈む辺りで

ひと滴の涙も見当たらない

ノックの響かない扉の向こう
風の通らない廊下で

お皿に並べた低音のハミング

半透明が重なる花 ....
そろそろかなと思い始める十月の終わり
会社が休みの日には 生家の林檎畑へ行く
林檎の収穫は九月から始まっているが
十一月にもなれば 雪が降り始めるので
積もって身動きがとれなくなる ....
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです

光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
 ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ


一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒


整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように

きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ

あるばんにだれにも
はなせないことがあったら

ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
歯ブラシを持って
弟がどこまでも走っていく
小さいころから助走をつけないと
歯磨きのできない子だった
誰よりも美しい
世界で一番の助走だと思った
最近人の目を見て話ができるようになった ....
寒い
寒いぞ


暖冬はいとよろしうない
冬なら寒けくこそあらめ


俺の関節はブリキのギアで出来ているから
油が冷気で固まり落ちて
ギィギィと音を鳴らす

おまえが ....
16年経って動かなくなった壁の
パチンコ屋の景品の
時計の匂いがする

雪が屋根を揺する日に
凍えた足を挟んでくれた
シワシワの両脚の
安心の匂いがする

肝臓をやられ
病室で孫の ....
ひらり、と
スカートがひるがえる
木枯らしだろうが
春一番だろうが
関係なく
吹く風にあわせ
ひらひらと、揺れる

その頼りなさが苦手だった
ひらひらと、揺れる
その頼りなさでは
 ....
正十二面の肉軆

横たわる
ゆるやかな黄土色の地形
その中心にいるのは誰?
ぼくら背後から目視した
逆さ吊りの蝸牛を埋葬する
その遠称風景
それは何であったか

ぼくは昨日の夢の ....
   パキスタンで夜を抱くとき
   アメリカオヴサザンでは冬がくる
   レモンライスは固くなり
   シーデリアカットではコナンがはじまる
   ドゴリオールのメルヘンの音は
 ....
静かな水面を犯す
色あせた小船
風に運ばれ
流れ

中ほどで止まり
つっと少女が生え

東雲の空を仰ぎ
湖に
か細い背を預け
ざばん


透明なほのお飛び散り
幾多の波紋 ....
                 2007/12/15




白々と初夏の短い夜が明けて
東の空にも
シロナガスクジラを思わす雲が
ゆっくりと背中を持ち上げる
美しく光ったりして ....
黒い道がのびている
静かな{ルビ轍=わだち}が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて


灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
 ....
ずどん
と降ってくる

忘れていた
昨日 投函する約束だった
あの手紙のこと

鼓膜を破るほどの 響き
もし 頭蓋骨の中が空洞ならば
きっと 永久に反響し続ける
そんな感じの 響き ....
かなしいふちに降る雪が、
しろくしろいねむりにつき
冷気をはりつめて
その肺にひびいている。
しぃん、とした熱が、
深淵から徐々にひろがり
焼けた声となって吐き出され
冬の空 ....
おれはきっと
あんたが死んでも
泣いたりなんかしないし
この先二度と
あんたに会えないとしても
たぶん平気だ





たぶん ね





実際のところ
ほと ....
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