ドアが開いていますよ
声がしたので一応
部屋中のドアを見てみたのだが
すべて閉まっていたので私は困惑した
あの
ドアは閉まってますが
いいえ
ドアが開いていますよ
部屋を出 ....
嫌なことを沢山経験して
大人になっていくんだよ
って、あの人が言った。
自分の弱いとことか
ダメなとことか
そういうのって悪くない
って、あの人が言った。
そうか、そうか
と私 ....
朝をはじめる太陽は
まるで線香花火のようで
小さく揺れるその玉は
何も迷わず空へ空へ
紫に寝惚けた水平線を
橙に燃やしながら昇っていく
やがて膨らみ色を変え
放つ光は僕を丸ご ....
色とりどりの
やわらかな悲しみが
落ちてきて、
なすすべもなく
それは高々と積み上げられてゆく
今にも、
空にとどきそうな
赤や青
黄色や紫、緑色の悲哀
....
本当のことはカチッと停止している、これが本当だとすぐに分かる。
本当っぽくても本当でないことは、たいてい良い条件が揃っている。しかし時計の長い針のように少しずつ輪郭がズレていく。
ズレに対 ....
哀しみが霧のように
降りしきる夜
君はただ呆然と
立ち尽くす
僕の目の前で
その瞳を閉じたまま
君は金色の羽根をひろげる
荘厳な儀式のように
僕はひれ伏して
そして君の手に
くちづ ....
春に桜ほどではないが
君の長い髪に君の白い丸顔が似合いだ
いつか散ってしまう危うさは無いが
熟れてゆく愉しみがある
夏に雲ほどではないが
君の笑う ....
話し声はあちらこちら
ショーウィンドウにぶつかったり
街灯に巻きついたり
屋上から飛び降りたり
車道に降りて轢かれてたり
わたしはこちらですけれど
あなたは ....
地球という天体を覗いてみれば
数多くの星が輝いている
だけど僕が知っているのは
その中のほんの一握りだけ
輝きながら消えた星
輝けないまま消えた星
すべては同じ場所へ還る ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
流れてくる音楽を
つかまえようとして
つかまえられないのは
あなたがそれを
自分ひとりのものに
しようとしているから
かもしれない
つかまえるのではなく
ただ両手を頭 ....
時には散文を書こう。詩ばかり書いて、詩ばかり読んで、詩のことばかり考えているうちに、段々と散文の書き方を忘れてしまった。
すぐに改行したくなる。
すぐに一行開けたくなる。
すぐに展 ....
今日は入浴剤のかわりに
思い出を溶かしてみることにした
みるみるうちに水が染まっていくが
どうもうまく混ざらない
思い出にも種類があったらしい
やわらかなパステルカラーとかたいモノクロ
....
「最後のネジ」
僕のネジがとれかけている。
このネジがとれてしまったら
僕は動けなくなっ ....
月の裏側に座って
フルートを吹いている
あなたがいた
虹の上を歩いて
口笛を吹いている
あなたをみた
海に潜って
魚たち相手に
指揮棒を振っている
あなたをしった
森の ....
遠く地平線と重なる彼方に
ポツンと浮かぶ島影が見える
いつだったかもう覚えていない
遠い昔
スターターが鳴らした合図に
僕らは一斉に飛び込み 泳ぎ始めた
大人達の作る澱みから澱みへ ....
{引用=星の椅子に腰かけ
流れるままの時間の粒子を浴び
誰もいないという
ひびきからはじまる水面の波紋が
夢見るまま紅の空へ続いていくのを
永遠に眺めながら
なつかしいことばは
やさ ....
なんとなく嫌な気持ちで一週間を終えて
なんとかかんとかリフレッシュして
気分直してよし行くぞ、明日も頑張ろう なんて
思ってはいたけど
朝起きてみるとどうしても
どうしてもどうしてもしん ....
月が光っています
机の向こうに窓の向こうに
夜の上のほうに月が
丸い月が光っています
こんな夜に何があれば
CDと焼酎と紙と鉛筆
それ以外と ....
彼女が
砂漠で飢えて水を求めて
手を伸ばす姿を想像する
既婚子供有の友人は言う
このまま一生恋する事も無く
朽ち果てるのか、と。
結婚相手を恋愛時代と同じ様な情 ....
アルルの丘でゴッホとゴーギャンが相撲を取り
圧勝したゴーギャンが呵々大笑する
電車を待つ間、そんな詩を手帖に書いていた老詩人は
だんだんとゴッホが可哀想になってきたので
それまで書いてきた十四 ....
「冬の終わり」
空から一滴の涙が流れる時
貴方は一本の露草を摘み取って優しく微笑んだ
水溜りに映った自分の姿に?
違う 貴方が愛でているのは
命を落とした亡骸だ
蒼白い花弁から一滴の血 ....
一人になって
ふと疲れを感じる昼下がり
もう数えていないのと
ぽつり呟くあなたを
抱きしめたら壊してしまいそうです
指先で宙に描く願い事
それが何だかわかりませ ....
はざくらがきれいだった
るうとのけいさんはいつも
にがてだった
すしやにかくまわれてる
ごうとうのせんたくものにも
すずしいかぜがふいた
+
ははに
るびいをかってあげた
に ....
理由など欲しいとはおもわない
おちてゆく桜の色が、なにいろであってもいいように
いつかきえていく、わたしたちに理由はいらない
別段、理由でもない
あなたへ向けた顔と、あなたとは違う ....
夜中
水道から
ぱたぱたとなみだ
海になんか辿りつかないのに
机の上で
しまい忘れたサラダが
哀しい彩りで居場所をなくしてる
きれいに一人分だけ残して
あたたかみをなくしたイスが
部 ....
わたしは知らないわ
それがどんなに大事なことであっても
忘れてはならないことだったとしても
わたしは知らないわ
うさぎ小屋にはうさぎ
羊小屋には羊
羊の名前は知らない
うさぎには ....
見慣れない、笑った顔が愛しくて、きみを擽る手がとまらない。
キスマーク。消えたら私、思い出の中にさえすら残れないのかな。
幸せなはずの言葉も、あのときのような感動…もうないや。
....
{引用=
かりそめの
さようならに
わたしを
儚い者
と呼ばないでください
宴の余韻に身を任せ
ただこのまま
眠りにつく
しばしの別れ
夢を見る
子供の頃
夢の無かった ....
ハロー
いま、ぼくのそばにいる、コトバ、は
みどりいろをしています。
ハロー
もう、ハル、なんですから
きっとすべてがうまくいきます。
ぼくの、てのひらで、
コトバ、は、硝煙、の匂いに
....
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