すべてのおすすめ
花は花で
咲き競い
至福の種子を枝に結ぶ
鳥は鳥で
鳴き集い
矢印となって季節を指し示す
川は川で
せめぎ合い
未だ見ぬ海へと殺到する
雲は雲で
逃げ惑い
苦し紛れに ....
朝は晴れ晴れと
色とりどりのアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
朝は晴れ晴れと
君を見てアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
言葉を交わす余裕なく
六月晴れ渡る梅雨入り前
紫 ....
ひとつの季節に産まれる光と
ひとつの時間に死にゆく魂
脆い光の骨組みは
腕のなかで息づく命
消えゆくぬくもりへの道筋を辿る
いつかの日
煌く頬のあたたかさを守るため
いくつもの灯りを燈 ....
かげろうみたいに揺れていた
道端に咲く花の名前を知らなかった
うつむきながら歩くのは
暑いからではなくて
探しものをしているから
交差点で泣いている少女を見かけた
優しい言葉をかけ ....
魂ヶ崎
たましいがさきで会いましょう
希望の岬で会いましょう
あなたが飲んだ、その泥までも
あなたが裂いた、その腹までも
すべてを洗い流した場所へ
....
君のみどり色のところを
ぜんぶ
静かにしてしまおう
僕たちのゆびさきは
それはきれいな舵だ
このすこしの世界では
なくこどもと
あくたの色はもう見えない
ただ
朽ち ....
一枚の葉がふくむ記憶は
みどりにそまり
やさしく香る
かぜは
ときおり険しいけれど
その手をのぞみ
樹木はそよぐ
世のなかに
なごみの満ちた
晴れ間がつ ....
蜂の巣が近いらしい
家の裏山の方へ行くと
飛んでいる蜂と ぶつかりそうになり
私も蜂もあわててよける
洗濯棒の近くの花の中で
仕事中の蜂も時折いるけれど
そっと ぱたぱた 洗濯物をかけ ....
揺れる大空を
手のひらで掬ってみた
零れていくのは
昨日までの涙
真夏の炎天下の昼間に
涼しくて気持ちいい
この飛んでみたくなる水色を
ごっくん
自分が何者なのか
まだ分からなかった頃
なだらかな猫背の丘の上の
手のひらの形をした大木によりかかって
毎日のように雲を眺めていた
飽きもせずに眺めていた
いわしはうろこが剥がれた ....
はす向かいの男の咳で
目をさましてしまった
となりの年寄りはまだ目をとじているので
きっと とおくに行くのだろうと思う
このまちに大きな交差点はなくて
行き交う なんていう ....
指のはざまの双つの水
そら抄い空すくい
小さな渦に満ちる水
音がほつれ ほどけゆく
こぼれ たどり
道になる
毛羽だつ古い衣の袖を
水や鏡にそよがせて ....
枯れた葉っぱと
緑の葉っぱ
白い蝶が
おぼつかなげに
境界線をひいていく
ゆれる
ねんだいがゆれてる
かこたちが
こおるこおり
ぐらすにひとつ
とけてゆらゆら
しずむまで
ひみつ
わすれたふりして
レディオから
あの日もたしか
げつようび
....
僕らを乗せたバスは空を飛んでいく
さまよいながら
それでもなお
高く
低く
僕らのバスには運転手がいない
僕らがはしゃげば高く
僕らが眠れば低く
波音を奏でる
そうして時折、思い ....
1/4
あしのした と うなじ と あばら に
くものすがはっているので うごけません
女の子だから くものすを
やぶるようなおいたは いかんのです
1/5
....
あなたをここへ連れて来たら
音の消えたような顔をして
この景色を見るのでしょう
冷たい色の澄んだ眼で
じっと見つめているのでしょう
そのうちに私は
あなたの瞳とこの場所が
どちらがど ....
柔らかな世界を
忘れたくなったので
アスファルトと
同化する夢を見ました
たくさんの人に踏みつけられて
なんだか悲しくなったので
あの青い空に
飛んでいってみました
....
虫の息で、僕は一杯の水をねだる
動物たちは再び化石になって燃料にされる
土に埋まった僕らの祖先の骨から、 マヨネーズの成分が検出される
僕らの笑顔は、教室の後ろに貼られたできそこ ....
温泉に行った
ほっかほかにあったまったあとは
冷たい麦茶がいい
自動販売機のまんなかに 麦茶があったっけ
からん
と
コインを入れた
熱をもった ほっぺたに
瓶をくっつ ....
埃をかぶった口紅を手に少女は、鏡のなかに翼を描いた。
それはぱくぱくとうごいて、風について多くのことを
語ろうとした。その時、うしろで誰かが口笛を吹かなければ、
まあたらしい風が吹かなければ―そ ....
明るい電灯
空の屋根
ここの支柱は
いくつも伸びる電話線さ
こんなことをそのとき書き付ければいいのに
今になって思い出してる
電灯に照らされた様々な顔を持つ銀杏の木
その落葉が生まれ ....
飯田橋の歩道橋を歩いていた。
風が乾いている。透き通るように冷たかった。
車の音や、人の声が雑多な音となって歩道橋を揺らした。
青い空が遠くまで続いていた。
冬は晴れているのか、と思う ....
どういうわけか
暑さにとんと弱く
夏の多くは廂の内で過ごす
生きにくい季節なのだな
私はそう解釈している
極々私的な話がある
と友達から連絡があったので
私は誰にも秘密が ....
赤くなった紅葉を
散歩のお土産にくれたのは
あまりにも小さな手に思えたからなのでしょうか
わたしはそれを栞にしました
いつかわたしを未来へ繋いでくれる{ルビ娘=こ}へ
贈ろうとした名です ....
美しが丘5丁目の
Y中学校脇の坂道の頂上で
朝日を、夕焼けを、月を、
もう10何年も眺め続けた
朝日は時に足取りを重くし
夕焼けは時に涙を流させ
月は時に孤独を連れてきた
それでも今日も ....
雨の名残は道の脇だけ
夏の名残は枯れた茎だけ
出した手紙の返信気にして
閉じたまぶたに弱気が群れる
携帯電話をいじくっていると
未整理のアドレスで肩が凝る
慣れた名前を ....
寂しいのです。
一人だから寂しいのです。
寂しいのです。
一人だから寂しいのです。
海を 小高い砂丘から 座って見下ろすような
そんな寂しさ。
私の海には何も浮かん ....
小さな旅をした
友人の見舞いに
体の力が入らない休日の午後の旅
特別快速で2時間
刈り取られた田畑が続くぼんやりとした旅程
痩せた友人が微笑んだ
もう大丈夫だと
目 ....
しっばれる 初冬の朝
まだ寝ている良人の顔を 覗き込む
ねこちゃんみたいな目をして
まだ根室の夢みてる
わたしは えい と起きあがり
つめたい水で顔をあらう
と ....
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