赤くなった紅葉を
散歩のお土産にくれたのは
あまりにも小さな手に思えたからなのでしょうか
わたしはそれを栞にしました
いつかわたしを未来へ繋いでくれる{ルビ娘=こ}へ
贈ろうとした名です ....
美しが丘5丁目の
Y中学校脇の坂道の頂上で
朝日を、夕焼けを、月を、
もう10何年も眺め続けた
朝日は時に足取りを重くし
夕焼けは時に涙を流させ
月は時に孤独を連れてきた
それでも今日も ....
左目を飛ぶ小さな蝶は、私を影だと呼んだ。光は誰か。
漂いを続ける街灯の欠片は、いつもの空にただ沈んでる。
波打つのは私の足か ....
雨の名残は道の脇だけ
夏の名残は枯れた茎だけ
出した手紙の返信気にして
閉じたまぶたに弱気が群れる
携帯電話をいじくっていると
未整理のアドレスで肩が凝る
慣れた名前を ....
寂しいのです。
一人だから寂しいのです。
寂しいのです。
一人だから寂しいのです。
海を 小高い砂丘から 座って見下ろすような
そんな寂しさ。
私の海には何も浮かん ....
小さな旅をした
友人の見舞いに
体の力が入らない休日の午後の旅
特別快速で2時間
刈り取られた田畑が続くぼんやりとした旅程
痩せた友人が微笑んだ
もう大丈夫だと
目 ....
しっばれる 初冬の朝
まだ寝ている良人の顔を 覗き込む
ねこちゃんみたいな目をして
まだ根室の夢みてる
わたしは えい と起きあがり
つめたい水で顔をあらう
と ....
夜空を見たら
牛車が空を飛んでいた
月に吸い込まれるよう
かぐや姫が帰るのだろう
生まれたことはきっと幸福で
この地球もきっと美しい
そこに苦しみがあったとしても
街並みの家を見 ....
乾いてゆく風があった
薄れてゆく光もあった
綺麗にされた夏だった
目の前に拡がる
どこか懐かしい景色に
なぜかふるい歌を思い出し
海に腕をさし入れる
かなしみが群れているのは
きっ ....
初めて見たのは
乳の泣いてる姿
今見てるのは
父の泣いてる姿
時の流れに
流されて
スパイクないのに
悪あがき
かっこいい父が鳴くのは
明日 ....
僕の
頭の上で
機嫌を損ねた
灰色の空が
意地悪そうに
雨を降らせる瞬間を
見計らっている
僕は
被った帽子を
顔の半分まで引き下ろして
小さく
舌打ちをしたけれど
....
書けない言葉の奥の
足りない夕日の中に
今も聞こえている風景がある
諦めたその視線に映る手のひらと
日々表情を変えていく ベランダの空
懐かしむかわりに そっと靴を履く
今の僕らな ....
崩れた積み木を放り投げた
夢の設計図は白紙に戻った
諦めるという選択肢もあるけど
イメージは次々と溢れてくる
限られた制作期間の中で
何か一つでも形に出来るかな?
明日 ....
風の船
己の全てを
一息に
膨らみゆく様
夢と似ていて
煙あげ無情に焦げるアタリメの曲線に似た情けない意志
「ザル通り越してお前はもう底の抜けた筒抜けの樽か何かだ」
鶏なんこつ ねぎま 鶏もも 豚カシラ つくね 手羽先 タレより塩で
....
たいしたメッセージを持って僕が言葉を綴れば
誰かの心に響くかもしれない。でも
僕が1番知りたいのは
むしろ、何が届いたのか。
電話で寂しいと伝えたら、きっと
とんでもなく ....
おりがみの花は 指先で生まれ
おりがみの花は 手のひらで育つ
思うようには動かない きみの指先から
空の色をした 花が生まれて
思うようにはならなかった 私の手のひらを
四月の色で満たし ....
確かなる音して机上にベコニヤの
花ガラ落つる物読むときに
賀茂川の段差の水も春めきて
吾が影長く 流れに写す
草伸びて 足にまとえる散歩路に
踏み行く処 つつじ咲きつぐ
雨 ....
さよなら
気泡みたいなことばを
無造作に夕暮れに飛ばしてみると
橙にすっと溶けていったのは
声が震えていたせいかもしれなかった
車輪の音、渇いた
ペダルを思い切り踏みしめて
陽炎 ....
しかけ時計の
音に捕らえられ
あなたは変わらない
からだつきのまま
水槽の底に沈む要領で
とても上手に
さかなになる
ごはんよと
声がすると
浮上して
返事をする
水槽をしまう
....
鳥カゴに串を一本入れときたいな
小鳥がいないことの理由を
誰が見ても分かるように
飛び散った羽もきれいに片づけて
「青い鳥」って書かれた
プレートだけを張りつけて
鳥カゴに串を一本 ....
シャンプーのにおいがぷかぷか踊る
ぴしゃりという音
バイクが通る
ぶいぶいいわせてんだ
眠りに落ちる前の呼吸
すでにどこかへいっている
寝返りをうつ
汗はべたりと肌につく
....
シロとクロは
相反する色をして
だけど、寄り添い
補っているようで
二匹はいつも
空き地の隅に
重なるように眠っている
実際は交ざることなく
無造作に生えた緑から
シ ....
何十年も
他人の話を
盗み聞きしてきたソファに
座ってみた
革はただ
つやつやして
知らん顔して
深く深く
うけいれてくれた
でも
今日は
盗み聞きできないよ
だってわたし
独りで座ってる ....
僕らはいつまでこうして悩み、
こうして苦しまなければいけないのか
朝日が昇る時、
それは本当に変わるのか
僕らはいつまでここにいなければいけないのか
僕らはいつまで繰り返すのか
....
心を正方形に切って
飛行機を作った
前を歩くあの人の背中に飛ばす
飛行機は心臓の裏側に
ピンポイントで突き刺さった
彼は気付かない様子で前を歩く
突然立ち止まり
背中 ....
日向葵が ずっしりとこうべを垂れ
その種は またいつか
踏むであろう 土へ と
眠る
夏が終わる
夏が終わる
嵐のように 吹き抜ける
夏が ....
たまごが転んだ
起き上がれない
それ、これ、うつむきながら
あれはうつむくのかしら
コーヒー飲むのかしら
お茶碗は棺桶かしら
たまごが震えた ....
ぼくには声はないよ
さけんで さけんで
声はきこえなくなってしまったよ
ぼくは、うたえないよ
ただ、卑屈な笑みしかつくれないよ
正直、今日も死にたいと思っているよ
病気と言って ....
星島 〜タカラジマ〜
銀の帆の船は拒まぬ「可能性」ムゲンのココロ映せるものは
指で作る望遠鏡に反転のスカイオーシャンさよなら地球
広すぎる世界 ....
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