すべてのおすすめ
さらさらと、ワルツを集めてる
頭を垂れたワルツを
集めている
真冬を凝縮して
少し熱っぽい朧な
器官の彼岸に
赤や紫を
粉々にして
昨日の電話口から溢れ出した ....
雪に覆われた心の中のバス停の小屋の中
僕はバスを待っている
しかしバスは来ることはない
雪は静かに降り続いている
思い出の人達は記憶として僕の脳裏に現れる
僕はその記憶をなくすつ ....
しっかり掴まっていろ
サンダーバードの
エンジン唸る
1/4開度のグリップで
ゆうゆうと国道を突っ走る
トラボンの後を追っかける
追っかける足跡が
草臥れる足跡が
怖い音が ....
テキストファイルには何を書いてもいい
だがワードパットドキュメントには真実以外書いてはならない
ゲーテ
IDカードを首からぶら ....
言葉がやたらと出せなくなったので
修理工場へ行ってみた
そこではたくさんの農夫が
カレンダーに数字をでたらめに書いていた
故障の診断はどこですかと尋ねると
奥の池の中に入れと言われた
よく ....
魚の小骨が咽に刺さった
僕はあんぐり口を開ける
人差し指と親指で小骨を取ろうとする
その姿はまったく滑稽で
君を十分に笑わせる
僕は解剖学を学ぶべきだったと考える
....
今日はアカデミックに
ビタミンの世界を解説したいと思います。
さて、
ビタミンAのAは
明日からビタミン飲もうのAであります。
これは学会での通説であります。
ゆるぎなき通説です。
....
泥になって歩く
海の方から風が吹くと
私じしんである 泥
がかわいてしまいそうになる
おまけに潮のにおいまで
はりついてしまいそうになる
この湾岸沿いの道は 淋しさ
そのものが細長く伸び ....
仕様が無い
そうやって誤魔化していれば
納得してもらえるなんて
思っているわけじゃない
作り上げた構造に
己の意思が介在する要素が
1パーセントに満たなくったって
目の前にある現 ....
5526℃の太陽熱は
約1億5000kmかけて地表に届き
夏にはいやというほど
冬にはものたりないくらい
ぼくらにその存在を感じさせる
ヒトの体温は
魚類には熱すぎて
触れる ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
妻が子を産んだ。
女の子である。
わたしの子ではない。
山神さまの子だと妻は言う。
山神さまの子は妻に似て、
肌が白い。
むずかると、
白い肌を紅くして泣 ....
真綿で体中を縛られて
それで私たちは生きている
あえいで あえいで
そう酸素だって 私たちにとって毒になりうるのだ
それが無ければ無いで
私たちは絶えてしまう
世界と私たちの境界は常に ....
君の自我は哲学的な概念と心理学的な概念と精神分析学的な概念から完成された
アンドロイドを創造する技術は既にあった しかし?自我?のシステムはまだ開発されていなかった
ドイツ観念論哲学の祖であ ....
闇が町を包む
一番目の朝だ
どう見ても夜だ
二番目の朝だ
晴れている朝だ
どう見ても星が輝く朝だ
握り締めた拳を開いてしまえば夜になる
だから拳は握り締めたままで
瞬きを拒否する眼球が ....
ぼくたちは客車のなかで汗だくで存在する
ぼくたちは時に自分たちの水分によりとろけてしまいそうになることがある
木々のようにつり革の手前で僕たちはたたずむ
そうしてなるべくスマートに中央口の改札を ....
ぼくたちは静かにシンナーを吸引する
ボンドやパテやガソリンはやらない
誤ってガソリンを飲んだロッテは恋人のアパートで死んだ
その恋人の名前をぼくたちは知らない
ぼくたちは常に純 ....
心の中に一つの頑健で豪奢な台座をこしらえてある
それはいつ頃造ったものか忘れてしまったが
確かなことはその台座は心の中のどこよりも高くに設置したもので
僕という人間は多聞に洩れずあま ....
ペニーロイヤルティーに
ネガティブクリープを入れて
混ぜて混ぜて飲んでみれば
十代の魂の香り
ごめんね
色々と
全部ごめんね
ハート型の箱を置いていくから
遠くに行くから ....
幼子が堅く握った手を
僅かにゆるませるように
朝の光を浴びた梅の木が
真白い花を孵化させている
豪華さはないが
身の丈に咲く、その慎ましき花に
頬を寄せれば
まだ淡い春が香る
....
家に帰ると門が壊れていた
妻と娘が代わりに立っていた
家の中では妻の短大時代の
同級生だった山本さんがいて
食事の準備をしていた
十年ぶりですね、と言って笑った
煮物の味見をしてあげた
....
うなだれた湯船に乗って対岸へと渡ると
おもむろに湯を三度かぶり
最初はシャンプーと決めてある
目をいつまで開けていられるかという挑戦をいまだ続けつつ
怒られた記憶を引き出そうとして ....
ぐらりと揺れたのは
景色じゃなくて私だった
見知らぬ若者に少し体重を預けバランスをとる
助けてはくれないが積極的に拒みもしない
そんな時代だ
電車を降りて足早に地下道を歩く
私の前には ....
今、発車前の夜行列車のなかで
この手紙を書いています。上野駅
は昔から無数の人々が様々な想い
を抱いて上京する駅なので、昔と
変わらぬ空気が今も残っている気
がします。
先程、少 ....
血、が、
腹の上にこぼれてとどまる
暗い おまえの血 月がこぼした おまえの血
おまえは笑っている
自分からこぼれ出た色の美しさに
おまえは目を見張る
血、は、
....
鼻毛出てるよと言われた。
まあいずれにしろ出ていたので善しとした。
体調の悪そうな亀みたいと言われた。
まあいずれにしろ亀は好きなので善しとした。
あなたっていつも煙草吸ってるねと言わ ....
?.
ヒヨドリたちが庭に現れる
鳥は歌うものだと思っていた
あれは
叫びだ
桜木町から横浜に向かう道で
君は叫んで
何度も叫んで
アスファルトの上に寝転がって
....
笑い
2001/05/20
(現代詩フォーラム既出)
一人遊びの友は静かにほほえむ
彼の目にも明るい影が白く光り
....
火を付けて、
風で煽って燃えだして、
手に負えなくなりましたか。
静かに見守り心を痛め涙を流しているのですか。
涙で火は消えますか。
ほら。
....
二人で作りあげた数式の右辺を
ある日失ってしまった
左辺とイコールだけで
成り立っている数式を見て
きみは笑う
だから
真夜中に起きた僕は
左辺を消しゴムで
消しておい ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21