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夕暮れに浮かぶ
大きなお月さま
きっと
あのお月さまは
夜中になれば
やさしい灯で
この街を
包んでくれる
やさしい灯が
病室にも
射し込むだろう
たぶん
私の眠りを
見守るように
精神科病棟に
閉じ込められた私に
夜景が美しすぎて
これは
天使の迎えを
失敗した罰
神さまは
私を
見捨てたんだろう
神さまが
もう いいよ
って
言ってくれるまで
わたし
待ってる
天使の迎えを
何十年も
他人の話を
盗み聞きしてきたソファに
座ってみた
革はただ
つやつやして
知らん顔して
深く深く
うけいれてくれた
でも
今日は
盗み聞きできないよ
だってわたし
独りで座ってる ....
すっくと立った
一本の大木
何十年も
独りきりで
淋しくても
動くことさえ
できないんだ
あとどれくらい
独りでいなきゃ
ならないんだろ
諦めと
手をつないだ
諦めはやさしく
とても甘美で
でも
まだ
溺れきれないわたしは
悪あがき
こころに
貼るものが欲しい
まだ
瘡蓋さえ
できてないから
雨粒が
なみだみたいだなんて
陳腐ね
とても
雨滴も
落ちてしまえば
ただの雨水
なみだだって
たぶん
ひつじ雲見上げて
ずしん、ときた
そっか
会えないって
こういうことなんだ
一緒にこの空を
見上げることさえ
できないんだ
この空の下で
あのひとは
わたしの知らない
....
秋祭りの
準備が始まる
まだ
夏は終わったばかりなのに
まだ
夏の名残が
消えないのに
季節は
私たちを追い越し
先へ先へと
すすんでいく
秋に拾う貝殻は
なぜか哀しい
貝たちも
その海底で
小さな泡をながめたことも
あるだろう
射し込む光を感じたことも
いまは
生命も抜け落ちて
拾った貝殻を
わたしは持て ....
明日は皆既月食
もしも
ほんとに地球が
月を食べちゃったら
悲しいね
月のうさぎも
いなくなっちゃう
夜空に光も
なくなっちゃう
願い事も
できなくなっちゃう
....
堂々と
真夏を誇った
向日葵が過ぎ
いつの間にか
ひそやかなやさしい
秋桜の花が咲きはじめた
季節が
かわっていく
止めることは
出来ない
誰にも
松ぼっくりも
気づかないうちに
こんなに大きくなっていた
ほんとに秋がくるんだ
黄金色の秋が
色づく秋が
こんなにも
青い青い空。
雲も空も
もうすぐ秋に変わる。
それまでのひととき、
一瞬の夏が終わろうとしている。
「暑いよぅ」
…だから
お家に入りなさいってば
たくさんの
言葉を交わしたはずなのに
覚えているのは
「さよなら」
の四文字だけ
もう
顔も思い出せない
その仕草も
でも
まだ
あなたが好きです
ミンミン、シャララと
朝からセミの声
思いきり
深呼吸して
空を見上げて
ぽかりと浮かんだ
雲に手を振って
よし。
夏を迎える
準備ができた。
天気がいいから
あのひととふたり
散歩に出かけた
珈琲を飲もうよ、と
あのひとがいう
わたしも頷いて
ふたり喫茶店に入った
向かいあって
お茶するだけでもしあわせ
一 ....
さよならを
いうまでもなく あのひとの
背中が これで 終わりといってる
なにもすることのない月曜日だから
なにもしなくてもいい月曜日だから
木陰のベンチでまどろんだ
静まり返った林は
小鳥たちの鳴き声しか聞こえず
風はそっとわたしを通り過ぎていき
こんなのは間違ってる ....
夜の暗闇の中
街の灯は瞬いて
あのひとは
何をしているだろう
その疲れた身体を横たえて
それとも
誰かと笑いあって
好きです、
とも
慕っています、
とも
言えなかったひ ....
今宵
月はぬくぬくと満ち足りて
らすらぎの中で
空に身を横たえる
ひとは
その光に
祈りを捧げる
世界の平和?
明日の試験?
それとも
恋の願い?
月に祈りをかけて
人びとはそれぞれの夜を越える
あの頃
夏は飛沫だった
太陽の光も
プールの水しぶきも
弾けるサイダーも
無意味に思えるほど眩しく輝く飛沫だった
バスに乗って
あの頃に帰ろう
せめて
記憶を辿っ ....
遠く虹が見えた
それは
儚く夢のように
あのひととそれを見た
わたしのなかに
さざ波のような
何かが広がって
虹のたもとには
幸せがあるという
探しに行かなくても
ささやかな幸せは
たぶんこ ....
夜があけて
朝が来る
まるで
果てしのない
悪夢のように
けれど
赤い太陽が顔を出して
おはようと呟いて
1日が動き出す
例え
今夜の夢で
また辛い思いをしても
....
夕闇のなか
あのひとを恋しく想う気持ちまで
まぎれてしまった
夜のなかに
わたしのなかに
空っぽがあるの
小さな空っぽがたくさんあって
どうやっても埋まらないの
まるでガラスの中の泡みたいに
でも
その泡が
わたしを彩ってるのかもしれない
こ ....
過去の記憶が
感情が
腐食されていく
それは今日の恩寵なのか
それとも
明日への道標なのか
わたしの上には
初夏の青空が広がっている
悲しみを抱えて
苦しみを抱えて
それでも
わたしたちは
旅を続けなければいけない
何処へ?
風がふいた
もう7月
新しい夏が来る
そこは
静寂の世界だった
すべては枯れ果て
耳を澄ましても
何の音もしなかった
かすかな暖かさも失せ冷え切り
それでも寒ささえ感じないような
視界が遮られる
見渡す何もかもが
....
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