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からっぽになった私が
書きあらわせられることなど
なにもないのだった
誰もいなくなった私が
これ以上はなすことなど
なにもないのだった
静謐な図書室の
窓辺に寄り添った椅子は
....
831 手に手を取って 夏と逃げ
学校を抜け出して
坂道を下ると
線路のあたりから
かすかな潮の匂い
遠い浜辺へと
心を急かせても
水面を見る前に
五時間目の鐘が呼ぶ
走れ走れ
さよならのために
さっぱりわから ....
引汐を 追って沖まで 春の海
{ルビ石鹸=しゃぼん}玉 私の知らない 窓のそと