駅の改札口から外へ出ると
繰り返し打ち上がる花火が
大輪の花を夜空に咲かせては散っていた
仕事を終えた男は
先週バーで隣り合わせた女と
待ち合わせた場所に向かっていた
日常の仮面の ....
煙を出し続ける煙草が
少しロマンチックに見えた夜に
ともだちが恋に落ちた
赤い電車に乗って帰ろう
窓の外は ちょっとだけ曇った
一週間ずっとの 酷い雨降り模様
揺れる 背中
午前零時、手を繋いで光る橋を渡る
窓ガラス全部割ってステンドグラスに再構築
地球に派手に落書き
消えない様に
入ってはいけない 穴 に入ったから
前世の 執行人どもに さび付いた槍で突付かれてしまう
落ちてはいけない 穴 に落ちたから
現世の 追跡者に 必要以上に追われることになってしまった
....
暗闇に咲く白い花は風に散り {ルビ蝶=ちょう}の羽となり
ゆるやかに宙を舞い
残された葉の一枚も一本の細い茎を離れ
ひらひらと
豪雨の過ぎた激しい川の流れに飲み込まれて ....
薄暗い廊下の突き当たり
古い鍵を回せば
きらきらと埃が舞うだけの部屋
東のカーテンは色褪せ
ピアノの音色は床に転がって
ソナチネの楽譜も気付かぬふり
窓の外には
金木犀がほろろ零 ....
苦しいのは
薬のんで
痛みがないこと
痛いの怖い?
でも少しの我慢
長い退屈
痛みだけが
自分のもの
記憶している
すりきれていく
忘れていく
流される
暮らしに押し流され ....
{画像=070222142254.jpg}
{引用=
小さな水たまりは
はしゃぐ子供達の
泥足を受け入れて
玩具である自分が
うれしかった
何台もの車が走りすぎ
....
家を出て
アパートを借りたら、とりあえず
あたしのそれまでの小さな夢は
全部かないました
大きなまぁるいスイカを切って
いくら食べても自由
まるごと全部あたしのもん
大きなケーキ ....
鼻をつまんだ 息ができないよ
そうだ 口で息をすれば良いんだ
鼻と口を塞いだ
そうだ 耳で息をすれば良いんだ
・・・・・・・・・・・・・・。!?
いや、できるわけねぇよ!!
できなかっ ....
線路脇に建つ家に生まれて
ずいぶんと長い間 そこで暮らしたせいか
今でも 5分おきに
からだを揺らしてしまう
そうやって揺れているうちに
いつしか わたしは
窓ガラスの
3メート ....
二人の人間が死ぬと、一匹の猫が生まれる。だから
猫の目は 時々 左右 色が違う。
昔、ある国に「世界一美しい王子」がいました。彼は「世界一幸福
な王子」とも呼ば ....
ぼくがつきをみると
つきもぼくをみる
かみさまつきをおまもりください
かみさまぼくをおまもりください
(谷川俊太郎 訳)
....
僕のお金を知りませんか?行方不明になりました!
煙草に珈琲、飯代と、どんどん消えてゆく。
いますぐ禁煙しないと、さぁ早くやめないと、
何処にも行けなくなっちゃうYO☆
金欠です。いっつもで ....
すらすらペンを走らせれば
紙の上にハトを飛ばすこともできる
あるときは灼熱の雪を降らせ
またあるときは凍りついた心も融かす
僕はマジシャン
人の気持ちも思いのままに
不思議と動かす言葉を使う
....
おやすみの挨拶に
朝目覚めた時に
会社へ出かける前に
君は僕に言って欲しいらしい
機嫌の悪いときもあるし
朝は何かと忙しいから
毎回言うのはめんどいなあ
本気じゃなくても ....
始まりは
木もれ日の色
風の音色を
静かに重ね
深い朱色に
染まる時まで
もう何も信じられない気がしてる天気予報も君の涙も
貼り紙でボーカル以外を募集して出来たバンドが オリコン誌にて
ジャックしたジャンボジェットで東へと最新型の夜明けを買いに
家庭科の美 ....
小学校の、ニ、三年位の頃。どっちだったかすっかり忘れてしまったが、ある時担任の先生から、
「お母さん何の仕事しているの」
と言うような質問をされた。僕は当時から視力が悪く一番前の席順が定位置 ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける
楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
いままで すなおに おやにあまえることが できなかった。それは はずかしいけど親離れできていなかったから。わたしは ちゅうがくのときにこちら 大阪にきて それまでの なにもかもと じんせいが かわって ....
あまり過保護になっては
ひとり立ちできないなどと
父母が 孫の話をする
だんだん 友人との付き合いが
目の届かないところまでいき
不安そうだが
あまり しばりつけても
本人のためにな ....
いつも 足りないと
つぶやくような目で
半透明 だった
校庭も
平たいホームの直線も
影をうばうばかりで
屋上にでるたび
そらに 手をひたして
紅くそまった冷たいゆびを
にぎ ....
改札口にて
お待ち申し上げております
行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を
あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
アースジェットが
秋のはじめになってもまだ半分くらい残っている
しゅーと夏を吐き出してみる
秋はそんなところから始まる
ぼくは割り算を高い空に置く
割り切れないことは繰り上げるのか
繰 ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
「美味しいね、すッごく!」
(ヴエッ・・これ食い物か?)
「えっ、知らなかった」
(今頃その話かよ・・)
「本当に可愛いくなったよね」
(もはや原形をとど ....
夏の緑は儚く
落ちて土に還っていく
なぜかそれが愛しく
ずっと見つめていた
空しくも散り逝くそれら
ぼくを映している
果てしなくあなたは遠い
思いだけを風に乗せて
ゆら ....
太古の火をみて
胸おどらされ森の闇に恐れをいだく
流れ長引く雲の線
谷間に見える星たちの目
狂いたいけど狂えない
空腹に似た興奮で
水面に映る影は
東から西へ走りだす
指と指の間に湿る ....
携帯電話機が振るえている
携帯の裏にはラジオが住んで
テレビを又貸している
テレビ局の小父さんは
金貸しを副業にして
海老や蟹を釣るんだ
来たから釣られたんだと
海老と蟹は信じてる
....
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