終わりなき、グラデーション
望月 ゆき

昨日の空と、今日のわたしと、明日の凪と、そこに存在しない隙間、





窓際のプリズム きみと共有し 虹のない冬に射しこむキセキ



近づいてなお遠ざかる逃げ水にかざす指先伝う体温



サルビアの紅いくちびる幾重もの酸性の朝に沈殿する声



ぼくの足元に横たわる地球儀で石化していく記憶の夏よ



約束のことばを乗せて沖へゆく海賊船の旗に祈りを



きみの背中に人知れず転がった 蜜柑色のゼリービーンズ





吸い上げる、それと同じはやさで、放出できたらいいのに、






うつりゆく季節の輪郭、その曖昧 永遠に終わりなきグラデーション







短歌 終わりなき、グラデーション Copyright 望月 ゆき 2009-07-21 21:24:49
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