ひとが生えている
近寄ると体温が匂う
生えたばかりの子株が
かわゆらしく親にしがみついている
泣き顔、笑い顔、憂う顔
みな目を閉じ
しずかに空の下にたち 並ぶ
農夫の姿は見えない ....
待てないの
そこに いられないの
君は 死んでしまうの
目に 見えてるの?
疲れてんの
くたびれてんの
ねえ 君
なんでそこにいるの
くたばれよ
触れなくても
感じるん ....
太陽が沈んでゆく
そこが西の空だ
そして今日は下弦の月
だからすぐには
月を見ることができない
真夜中までじっと待て
そうしたら
太陽が沈んだ反対側を見ろ
今日の理科で習ったばかり ....
他人の所為にもしないし
自分の所為にもしない
じゃあだれのせい?
ううん 誰の所為でもない
じゃあどうするの?
ううん どうしもしない
良い悪いなんてい ....
・
家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた
赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった
舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
夏の終わり
りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵
なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる
セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい
夏のにおい、のような
記憶のか ....
懐かしい歌を聴いた
よみがえってくる
鮮やかな想い出
月日を重ねるごとに
毎日が見えなくなってくる
また想い出だけが鮮やかさを増した
重ねた日々の延長線上
僕らが描いた夢のあ ....
かたちのある世界は
祈りのまえでは
透明人間のようなものだ
祈りは
かたちのない世界にある
かたちのある世界で
かたちのないものに祈る
かたちのある ....
あたまがいたくて われそう
なのに こんなときに あのこたちは
あたまがわるくて イタそう
だから
あたまがいたくて われそう
瞼の向こうはいつも雨…だから「ひとみ」のナミダ誰にも見えない。
別れ際に用意したナミダは嘘っぽくならなくて少しホンキ。
磨りガラスにナミ ....
また、一粒 涙をこぼす
こぼすたびに
わたしの心が汚れてゆく
この涙は
自分のために堕ちてゆき
床をぬらすだけの
水にすぎない
誰かのために
ながした涙は
....
真っ暗な夜空に
月が顔を出した
月のない夜空は
少し怖くて
笑顔のように
ゆっくりと
月が出はじめた
スタジアムへ行こう 野球を観に
ルールなんて知らなくていい
メガホン叩いていればいい
踊り踊っていればいい
僕の好きな野球 君と一緒に楽しめればいい
会えなくて辛い夜は ....
標識は目的地を見失った
曲がり角や道路が増え
地名が変わり
自分の指している方向が
正確な方向なのか
その道が近道なのか
遠回りなのかさえ
わからなくなってしまった
標識の近くには
....
君とならんで泳ぐ
それだけ
ちょっとだけ
幸せ
ただいま月とかくれんぼ中
お星さまの後ろに隠れてるみたいどこかな?
どこにいるのかな?
サハラ砂漠のように
地上をすべてやきつくす
向日葵の葉月
青空にひろがるのは
regretのシャボン玉ばかり
....
わたしの声が
この湖に沈むまで
瞳あわすこともせず
ただ
このまま
ふたり
佇んで いたいのです
あなたに伝えたい言葉はあるけれど
どれひとつとして
当てはまる それを
わたし ....
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳を ....
はじめてラブと出逢ったのは
新宿歌舞伎町にあるペットショップ
狭い檻のなかで怯えるように震えていた
あなたの瞳をみつめた瞬間から
ラブ
わたしたちはあなたの虜になってしまう
思わず ....
あるメロディーを聴いた
けたたましい騒音の中から
あるメロディーを聴いた
さかまく日々の雑音の中から
街に集まった人びとは
メロディーに合わせて歌を歌った
どんなに綺麗 ....
月の色
映すはいつかの
面影か
眠り忘れる愚かさも
思い出させる
刃かな
骨だけになったさかなのように
あいつらはしんでる
疲れちゃって ねえ
なんもないの ねえ
気づいちゃったの?
わかってるの?
細胞が分裂
小刻みに震えるからだ
あたま 割れ ....
「いつも側にいるよ」と 君は言ってくれるけれど
不安は 消えることなくつきまとうんだ
突然 君が 交通事故に巻き込まれたり
細い躰が 大きな風に吹き飛ばされちゃうんじゃないかって
心配 ....
おんなのこ
女の子がやってくると
憂鬱になる
とても疲れてしまうのだ
おんなのこ
女の子がやってくると
不安になる
とても疲れてしまうから
おんなのこ
女の子がやってくる ....
かたいものは冷たい
ノートに走り書き
それから探しはじめる
かたいけれど、
冷たくないものを
かたいってどんくらい?
それを考えるのも
おもしろいかも知れない ....
足音の沈む
その、一瞬のあとに
居眠り運転の波は
名残を
綺麗に拐ってしまった
笑い声が響く
潮風の中に
私が産み落とした何かは
もう、息を潜めている
渇き始めた城 ....
髪を乾かすところは見ないで欲しい
爪を切るところも見ないで欲しい
僕の妹は繊細すぎるか
もしくは魔女だ
古風な恋愛をしたいって
女優さんが言っていたような気がする
三歩下がって師の影踏まず
じゃなくて
それは夫唱婦随ってやつだよね
男尊女卑だと指差されそう
でもね
ちょっと考え ....
窓の外を見ると
宇宙だった
宇宙船に乗った船員が
私の姿をして
窓ガラスに映っていた
どうしようもなく
地球が恋しくなった
この景色を君に見せたくて
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