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旅の終わりに訪れた 
夕暮れの善光寺 
{ルビ巨=おお}きい本堂脇の砂利道に音をたて 
紫のマフラーを垂らした 
小さい背中の君が歩いてた 

「 あの・・・○○さん・・・? 」 

 ....
夜行列車「能登号」車内 
すでに電気が消えた
午前二時十五分 

数えるほどの乗客は
皆 {ルビ頭=こうべ}を垂らし
それぞれの夢を見ている 

一人旅に出た僕は眠れずに 
開い ....
疲れた顔したあなたの前に 
一杯のお茶を置く 

( そこにいてほしい 
( くつろいでほしい

長い間 
心に固く閉じていた 
{ルビ蓋=ふた}を開いて 
今までそっとしまっておい ....
( ピエロは独りよたついて
( {ルビ歪=ゆが}んだ後ろ姿で
( 深夜のネオン街を横切ってゆく 


早朝 夢から覚めると 
そこはネットカフェの個室だった 
昨晩は酔いどれたまま
揺 ....
うたた寝をしていた 
週末の終電を降りると 
駐輪場に一台 
自転車は倒されていた 

それを黙って立て直し 
冷えたサドルに{ルビ跨=またが}って 
軋んだペダルを今日も漕ぐ

人 ....
机に置かれた一枚の写真

若い母が嬉しそうに
「 たかいたかい 」と
幼い彼を抱き上げている

年老いた母は安らかな寝顔のままに 
「 たかいところ 」へ昇ったので
彼はひとりぼっちに ....
歩き続けることに疲れた旅人 
巨木の木陰に腰を下ろす 

見上げた冬空の青に 
突き刺さろうと伸びる枝々 

北風の唄に散る 
枯葉の舞 

その{ルビ一片=ひとひら}は 
旅人が ....
遅刻すれすれの電車に駆け込み 
腰を下ろしてほっと一息 

気がつくと 
握りしめた手のひらにささる 
いつの間に伸びた爪 

ふいに
携帯電話を取り出し 
日付を見る 

( ....
細長い緑の廊下 
暗い足音を響かせ 
連れられてゆく黒い囚人 

彼の手から発する不思議な力 
病の男の腫瘍を吸い取り
哀しむ女の涙を拭い 
踏み潰された{ルビ鼠=ねずみ}を再び走らせた ....


 今、僕の手元には、「{ルビ思推=しゆう}」 落合朱美 という{ルビ凛=りん}とした縦書きの
文字が記された一冊の詩集が置かれている。朱色一色の表紙には、
白い輪郭で描かれた一輪の薔薇の ....
 僕が現代詩フォーラムという詩のサイトと出逢い、自作の詩を載
せ始め様々な人の詩を読むようになってから三年の月日が過ぎた。 
自分の詩作について言えばまだ課題はあるが、只、間違いなく言え
ること ....
夜寝る前に読書していると 
開いた本のなかから 
うっすらと光を帯びた手があらわれ 
わたしに差し出されていた 

その手を握ると 
不思議な想いが心に流れ 
明日に怯えるわたしの影は  ....
仕事帰りに寄ったファーストフード店 
一人座って夕食代わりのマロンパイを食べながら 
カウンター越しに君の姿を探す 

パイの中から舌先に広がる 
マロンクリームの甘さとうらはらに  ....
 今、時計の針は、午前二時半を回っている。この深夜に、何故か
僕はあなたに手紙が書きたくなった。(あなた)というのは、特定
の誰かを指しているのではなく、今、この手紙を読んでくださって
いる(あ ....
夜遅く 
街灯の淡い光に照らされ 
家へと続く道に伸びる 
老夫婦の影 

互いの腕を組み 
びっこをひいて 
揺れている 

( 街路樹の枝に結ばれた、赤い風船 ) 

老夫婦 ....
ピエロは
いつも装っていた 
彼のまわりには 
いつも明るい{ルビ日向=ひなた}があるように  

ピエロは 
どうでもよかった 
彼のことを 
まわりの人々がどう言おう ....
○さん △さん □さん ×さん
ぶつかりあって 
スクラムを組めない 
日常の僕らの職場 

たくさんの言葉で 
自分の正しさを伝えるほど 
はぐれてゆく 
○さん △さん □さん  ....
一日の疲れを 
シャワーで洗い流していた 

湯舟には 
二本の髪の毛が組み合わされ 
「人」という字で浮いていた 

水面でゆっくり回って逆さになり 
二本の毛の両端がくっついて 
 ....
今日も仲良くけんかする 
何の変哲もない 
親父と母ちゃん 

日々
腹を抱えて笑ったり
頭に{ルビ角=つの}を立ててしまったり 
からかいあったり
愉快な職場の仲間達 

両親や ....
{ルビ滑稽=こっけい}な自分の姿を{ルビ罵=ののし}られ 
哀しい気持で歩いてた 

帰って来た家の門の 
足元に置かれた 
ハロウィンの{ルビ南瓜=かぼちゃ} 

皮をくりぬいて 
 ....
秋風に揺られ 
無数に実りゆく 
夜の小さい太陽達 
 
今にも落ちそうな実に 
枝はしなる 

自分らしく熟れるのを待つ
世界中の人々のように
ぶら下がる無数の実が
枝から離れる ....
体のまあるい婆ちゃんが 
ぜいぜいと団地の階段を上っていた 

通りがかりの少年は 
後ろから両手で腰を抱えて 
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた 

( 振り返ると 
( 団地の ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは 
姉・婿・孫娘のいる富山に行き 
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった 

仕事を終えた帰り道 
夜空を見上げ 
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し 
 ....
日曜の午後 
立川のカレー屋で行われる結婚式で 
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに 
大船駅から乗った東海道線に揺られている 

向かいの席に座った空色の服の女は 
携帯電話を鞄の上に持っ ....
昨日の仕事を終えた帰りのバスで 
( 毎日々々同じことの繰り返しだなぁ・・・ 
と心に{ルビ呟=つぶや}きながら疲れてうたた寝していた 

今は亡き・好きな作家のE先生が 
ぼんやり現れ 
 ....
プラスティックケースの上に 
並んでる、ふたつのせっけん 

小さいほうが、お婆さん 
大きいほうが、息子さん 


「 生まれた時は逆だったのに 
  わたしに向かってハイハイしてた ....
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々 
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし 
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている 

{ルビ些細=ささい}なこと ....
久しぶりに訪れた{ルビ報國寺=ほうこくじ}は 
雨が降っていた 

壁の無い 
木造りの茶屋の中 
長椅子に腰かけ 
柱の上から照らす明かりの下 
竹筒に生けた{ルビ秋明菊=しゅうめいぎ ....
気がつくとその{ルビ女=ひと}は 
明け方の無人列車に乗り 
車窓に広がる桃色の朝焼けを 
眠りゆく瞳で見ていた 

列車がトンネルに入ると 
全ての車窓は真黒の墨に塗られ 
闇の空間を ....
夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達 
仕事帰りの疲れた男に 

 わさ わさ わさ わさ 

大きい緑の手のひらを振る 

日々の職場では 
密かな善意を誤解され 

  ....
銀猫さんの服部 剛さんおすすめリスト(276)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
旅の終わりに〜善光寺にて〜(仮)- 服部 剛未詩・独白9*06-12-12
夜行列車_〜夢の手紙〜- 服部 剛自由詩19*06-12-12
お茶の時間_- 服部 剛自由詩19*06-12-5
白い手_- 服部 剛自由詩13*06-12-4
夜道の信号_- 服部 剛自由詩15*06-12-3
母のお守り_〜ある母子〜_- 服部 剛自由詩20*06-11-26
落葉の栞_- 服部 剛自由詩1406-11-26
冬の手紙_- 服部 剛自由詩14*06-11-25
贖いの囚人_- 服部 剛自由詩12*06-11-22
詩人・一期一会_〜其の一・落合朱美詩集「思推」を読んで(上) ...- 服部 剛散文(批評 ...11*06-11-22
詩人・一期一会_〜序章・誰も知らない一本の大樹について_〜_- 服部 剛散文(批評 ...19*06-11-22
「__手__」_- 服部 剛自由詩21*06-11-20
向かいの席- 服部 剛自由詩5*06-11-16
詩友への手紙_〜僕とあなたの間に一篇の_詩_を〜___’06 ...- 服部 剛散文(批評 ...15*06-11-12
夜道のふたり_- 服部 剛自由詩9*06-11-12
ピエロのハンカチ_- 服部 剛自由詩15*06-11-7
「_千手観音_」_- 服部 剛自由詩10*06-11-4
「人」- 服部 剛自由詩11*06-10-29
瞳の内に_- 服部 剛自由詩5*06-10-27
ハロウィンの南瓜_- 服部 剛自由詩15*06-10-20
柿の実- 服部 剛自由詩13*06-10-19
少年と老婆- 服部 剛自由詩13*06-10-13
もらいもの_- 服部 剛自由詩12*06-10-10
「幸せの花束」〜奥主榮・白糸雅樹さん結婚の日に〜- 服部 剛自由詩7*06-10-9
「悪い夢」_- 服部 剛自由詩8*06-10-4
せっけん_- 服部 剛自由詩16*06-10-2
秋明菊- 服部 剛自由詩16*06-10-1
鎌倉・報國寺_〜初秋〜_- 服部 剛自由詩10*06-10-1
朝焼けの声_- 服部 剛自由詩12*06-9-23
ひまわり仏_- 服部 剛自由詩17*06-9-19

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