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雪のつもった日のバスは 
渋滞でみんな遅刻のはずなのに 
なぜかこころやさしい 

雪化粧の街を窓外に眺める 
人々をぎっしり乗せた
バスのなか 
ネクタイのよれたおじさんが 
あんパ ....
七日前 
自ら世を去った 
友を思う深夜の部屋  

( ふいに見上げた古時計 
( いつのまに止まった秒針は震えながら 
( 永遠の音を刻む      

明日もぼくは 
職場の老 ....
わたしの心の暗闇に 
張り巡らされた蜘蛛の巣は 
寂しい一つの宇宙を広げ
いつも小鳥を待っている 

幾羽ものはばたきは 
見向きもせずに 
薫りだけを残して 
網の目を通り過ぎた 
 ....
一月前に倒産した
詩学の社長の寺西さんが
事務所の布団に横たわったまま 
十日前にこの世を去った 

様態急変による 
脳内出血であったという 

三年前の「青の日」で 
互いの詩を ....
わたしそのものである時 
からだのない(風ノ人)が 
わたしにかさなる 

虫けらだったわたしの尻に 
小さな青い灯はともり 
透けたからだは発光する 
日曜の床屋の順番待ちで
向かいに座る少年が 
ウルトラマンの本を開いて 
手強い怪獣の輪郭を指でなでる 

少年の姿に重なり 
うっすら姿をあらわす 
30年前の幼いわたし 

開い ....
長い間 
部屋の隅に折り畳まれ 
埃を被った 
老人ホームの誕生表 

空色の模造紙を開き 
両端に咲く 
太陽の花 

まっすぐのびる 
2本の茎の間に 
お年寄りの名前と誕生 ....
最近運動不足だったので 
行きも帰りも 
家と駅の間を歩き 
めっきり乗らなくなった自転車が 
ある冬の日の玄関で 
肌寒そうに置かれてた 

( 今日は休みだたまには乗るか ) 

 ....
女を抱きたいと思う 
白いからだに潜む 
うるんだ瞳にすける 
哀しみを抱きたいと思う 

街の隠れ家で 
互いの{ルビ凹凸=おうとつ}をくみあわせ 
闇に吐息の漏れる時 

寂しい ....
小さい頃 
目の前に立ちはだかる 
でっかい親父と向き合い 
パンチの練習をした 

額にあてられた 
ぶあつい手に 
視界を覆われ 
打っても打っても届かない 
小さい拳 

 ....
ほんものは 
かぜになびいた 
いなほになって へりくだる 

わたしはいつも 
ささいなことでいじをはり 
いなほになれず そりあがる 

じょうしきてきな 
じょうしのこごと 
 ....
「 誕生 」という地点から 
「 死 」へと結ばれる 
一本の糸の上を 
わたしは歩いている 

頼りなく両腕をひろげ 
ひとりきりのサーカス小屋の舞台上を 
よろよろつなわたる道化とし ....
江ノ電の窓辺に{ルビ凭=もた}れ 
冷たい緑茶を飲みながら 
ぼうっと海を見ていた 

突然下から小さい手が伸びてきて 
「かんぱ〜い」 
若い母の膝元から 
無邪気な娘がオレンジジュー ....
昨日のゴミ置き場で 
幸せそうに日向ぼっこしていた 
白い便器の蓋が 
今日は無い 

腰を痛めて十日間 
介護の仕事を休んでいたら 

先月の誕生会で 
目尻の皺を下げていた 
 ....
藍色のカーテンを
閉め切った部屋で 
スタンドの灯りに
照らされた机に向かい 
すれ違うこともないだろう 
百年後の誰かに手紙を書いた 

万年筆を机に置いて 
深夜の散歩に出かけると ....
「親父はがんもどきだね」 
「お前は豆だよ」 

「母ちゃんはさといもだね」
「いいやじゃがいもだ」 

「婆ちゃんはもはや梅干」 
「それはそうだな」 

ぱりっとした衣に
じゅ ....
3日前に職場で腰を痛め 
うずくまったまま動けず 
車椅子に乗り
整形外科へ搬送され 
9年目にして初めて 
10日間の秋休み  

今日も午前10時の朝食を終え 
ほがらかな日のそそ ....
うつぶせに寝る 
一週間分疲れたからだを 
ほねつぎの先生は 
大きい手の親指で 

 ぐぃっ ぐぃっ 

とのばしてくれる 

「 マッサージしてもらい 
  すじがのびると 
 ....
昨日は忙しい時間に 
トイレに座らせたお婆ちゃんの 
下ろしきれなかったパンツが 
お尻と便座に挟まって 
無理に脱がせると 

  びりり 

両手で持ったパンツには 
小銭の穴が ....
早朝、床に坐り 
瞳を閉じるマザーは 
今日の路上で出逢う飢えた人と 
お互いの間にうまれる 
あの光で 
幸福につつまれるように 
無数の皺が刻まれた 
両手を合わせる 

身を包 ....
先週皮がめくれてた 
お爺さんのお尻の傷を 
トイレの時に確認したら 
するりときれいになっていた 

看護婦さんもやってきて 
「先週塗ったわぜりんが効いたのね 
 わぜりんは、いい奴 ....
家族による暴力で 
老人ホームに来るごとに 
体中の傷がどす黒くなってゆく老婆 

国も 
市も 
施設も 
ケアマネージャーも 
ヘルパーも 
一介護職員の自分自身も 
手を差し ....
水は 
どんな器でも 
形のままに入る 

わたしはいつも 
誰かの器に合わせず 
濁った水を 
入れすぎたり 
足りなかったり 

もしもわたしが透明ならば 
誰かの器にぴった ....
目の前にいる誰かを 
幸せにできぬ自分など 
無くなってしまえばいい 

わたしの消えたところに 
もっと優れた人が現れて 
そこは{ルビ日向=ひなた}になるだろう 
緑の山の真中に 
{ルビ白鷺=しらさぎ}が一羽枝にとまり 
{ルビ毛繕=けづくろ}いをしている 

曇り空に浮かぶ 
青い空中ブランコに腰掛けた 
わたしの眼下に敷かれた道を
無数の車は ....
銀座の路地裏に入ると 
色褪せた赤い{ルビ暖簾=のれん}に 
四文字の 
「 中 華 食 堂 」 
がビル風にゆれていた 

( がらら ) 

曇りガラスの戸を開くと 
「 イラッ ....
明るく前を向いて 
「365歩のマーチ」を皆と歌い 
両手を振って明日へと歩む 
「あるべき姿のわたし」 
の下を 
「ふぬけたわたし」の亡骸が 
独りうつむいたまま 
低空飛行している ....
少し前まで 
座っていた席の下に 
置き忘れた
飲みかけのペットボトルを 
扉を閉めた電車は 
線路のかなたへ運んでいった 

きっと 
作業着姿の誰かが 
忘れたゴミを 
無表情 ....
日々の砂漠に 
埋没された 
わたしは一本の指 

墓標のように立ちながら 
指の腹にひろがる指紋は 
いつからか 
一つの瞳となり 
遠くから荷物を背負い 
こちらに向かって歩いて ....
お香の煙が立ち昇る 
傾き揺れる炎の指さき 
すうっとのびて 
天をさす 


  * 


{ルビ蝋燭=ろうそく}は 
人と似ている 

明かりを灯し 
身を溶かし 
や ....
銀猫さんの服部 剛さんおすすめリスト(276)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雪の日のバス_- 服部 剛自由詩508-2-4
あいさつ_- 服部 剛自由詩5*08-2-3
紅ノ羽__- 服部 剛自由詩208-1-21
密葬の夜_〜青の日〜- 服部 剛自由詩607-12-9
蛍_- 服部 剛自由詩4*07-12-4
いつかの少年- 服部 剛自由詩6*07-12-2
誕生表_〜太陽の花〜_- 服部 剛自由詩4*07-12-2
自転車の唄__- 服部 剛自由詩7*07-11-29
夜ノ糸__- 服部 剛未詩・独白6*07-11-29
シャドウボクサー- 服部 剛自由詩607-11-26
ふぃぎゅあまん_9.99_- 服部 剛自由詩6*07-11-20
彫刻の顔_- 服部 剛自由詩6*07-11-14
ウルトラマンの人形_ー江ノ電にてー_- 服部 剛自由詩7*07-11-8
「_無_」- 服部 剛自由詩32*07-11-6
宛名の無い手紙_- 服部 剛自由詩6*07-11-5
串かつの夜_- 服部 剛自由詩7*07-10-24
秋休み- 服部 剛自由詩8*07-10-23
「_ほねつぎ_」にて_- 服部 剛自由詩7*07-10-11
三つ編みの手- 服部 剛自由詩8*07-10-2
足裏の顔_- 服部 剛自由詩6*07-9-23
わぜりん君_- 服部 剛自由詩7*07-9-19
老婆の心臓_- 服部 剛自由詩3+07-9-14
水のこころ_- 服部 剛自由詩307-9-12
(_無題_)_- 服部 剛自由詩5*07-9-11
空の椅子- 服部 剛自由詩7*07-9-9
中華食堂- 服部 剛自由詩1007-8-31
幕の向こう_- 服部 剛自由詩307-8-31
誰かの手- 服部 剛自由詩607-8-26
雲の船_- 服部 剛自由詩607-8-12
蝋燭の灯_- 服部 剛自由詩607-8-6

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