月夜の草 
服部 剛

誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
身を縮めることもなく 
上を眺めず 
下も見ず 
あるがまんまの(私)です 

二本の腕を、ぶら下げて 
二本の足で、立っている 
変哲も無い、人間です。 

静かな部屋の灯りを消して 
暗がりの鏡に観えるのは 
池の畔で頭を垂らし 
夜露に月のひかりを映す 
独りの草の姿です 








自由詩 月夜の草  Copyright 服部 剛 2009-03-27 19:19:55
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