海岸線に寝ころんで
国の皮膚が破れたところを見ている
ざぶざぶと水が侵入しては
さらさらと砂を溶きほぐして
ありきたりに
去って行ってはまた侵す
起き上がり
波打ち際に立って
まだふれ ....
ふわふわと大人になって
ざくざくと大人ぶる日々
涙こぼれそうな時も笑って
どん底に落ちたってエネルギー充電
それでこそ大人だ
僕は一人ぼっち、胸を張る
春の風を背中に受けな ....
食事を邪魔された黒猫は
あんぐり口を開け、あらぬ方向を眺めた。
何かが見えるようだが、
飼主に頭を撫でられ、首を大きく伸ばした。
彼女は飼主が好きなのだ
視線を合わせたままにゃーとなく。 ....
それらをぼくは追いやって新しく息をしよう
それらをぼくは追いやって古くからの息をしよう
新しくて古いぼくは息をしよう
東大阪の公園で中国人のこどもたちが日本人のこどもたちを追いや ....
はあとのつもりで
はあとをつけた
いたがった
はあとのつもりで
あとをつけた
いやがった
はあとのつもりで
はとをつけた
とんでいった
はあとのつもりで
と ....
40歳になったので
煙草を覚えることにした
からだにわるいことをなにもしてこなかったから
何だか申し訳ないような気がして
ベランダで星をみた
あおい煙が目にしみた
すこしもおいしくはな ....
塞ぎの虫が騒ぐ
中空さらに燃える皮膚
林檎のアップリケにより
枯草ズボンは繋がっていた
くちびるを切ったわけは
大きい風と擦れたから
{ルビ暈=ハロー}に粘糸下がり
七夕の短冊が揺れ ....
りんごをむいてゆくと
白のりんごになって
赤のりんごはぺらぺらの
シートにかわった
僕は白いりんごに驚いてしまって
赤のシートに名残惜しそうに
名前をかいた
りんご ....
灼熱の片隅で
擦れ合う声とこえ
喧噪が
水のように
ふたりを追いかけてくる
ことばが
喧噪に濡れながら
絡みつく薄い皮膜
喧噪が証明する
わたしたちは一人という事実
けれど ....
朝、食卓の上に
動物園があった
雨が降っていた
動物たちは雨に濡れて
毛が硬そうに固まっていた
わたしは雨に濡れないように傘を差し
立ったままトーストを食べた
動物たちはわた ....
俺は就職する
なくなってしまった 朝日を流れる
街に 追いかけていた夢を
売りそこねた石ころだった
空中を見つめていたのかもしれない
宇宙に 汚されることすらなく
夜の雑音として死んだ ....
世界の果てに
ベッドがひとつ
ぽつんとある
父が横になっている
わがままばかり言って困る、と
母から連絡を受けた僕が
その隣に立って
父を怒鳴りつけている
親に向かって ....
日常を打破すべし
化粧品の広告がさけぶ
職場までの16分間を、
毎日同じ車両と場所で
わたしは、雨の気配を
見なかったことにする
日常を打破すべし
ここは戦場ではないが
戦いは ....
冷やし飴
蕨もち
小さな漁船と
おじいちゃん
ゴツゴツした
大ぶりの自転車に
おじいちゃんは
僕をちょこんと乗せて
潮のかおり
おじいちゃんの
仁丹のかおり
引き潮の ....
瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ
飛ぶ鳥がいなくなっても
空 ....
その
せんじょうを
ゆるやかにたどる
双葉にゆるりと
人さし指をひとつた ....
線をひく
二本の
それはノートからはみだして
線路のように
のびてゆく
そこからさきは
やめなさいとだけいわれるところ
だが二本の線は
平行をつづけてしまう
だれかが ....
父はサボテンでした
とげはありませんでしたが
サボテンでした
水を蓄える仕組みがあるわけもなく
少しの水では生きていくこともできませんでした
ましてや荒野に一人
じっと立っ ....
自転車で手をつないで
ビーチのバイクレーンを
飛行機みたいに走った
昨日の雨でまだ濡れてる木のベンチに
ハンカチを敷いておにぎりを食べた
水筒にはそば茶が入っていて
すごいでしょう?
....
嵐のまんなかで
ページがくられるように
きみは離れていった
永遠なんて言葉で
さよならしたふりをするのなら
ふってくれたらいいのにね
もう二度と会えないひとなんて
ほんとうにいるのだ ....
君がすっかり冷ましてくれた空は
ベルベットのように濃紺
余映がまだ少しオレンジがかっているけど
その独りよがりだった熱も
直に消えてしまうでしょう
どうかしていた、
どうかしていたんだ ....
待合い室で座っていると隣に「過去」が座っていた
反対側を見るとそこでは「未来」が新聞を読んでいた
「過去」はそわそわと落ち着かず何度も鏡を見ている
「未来」は老眼鏡をずらして ....
遠くの空は晴れているのに
郵便局から出ると
黄金の針を束ねたような
冷たい雨に打たれる
明日の天気は確認したくせに
家を出るときに傘を持ってこなかった
思えばぼくのこれまではこういうこ ....
お月さま取ってきてよ
些細なことでボタンを掛け違えて
へそを曲げてしまった私に
ちょっと待ってろよ
今、長いハシゴ作っているから
そんな我儘を言ったことも
すっか ....
ぺペロンチーノに自動車を和えて
たくさんの生野菜と一緒に食べる
まったく新しいスタイルのサラダ
パンまたはライスにメイン料理と
コーヒーもしくは紅茶がセットで
通常価格250万円のところを
....
彼女はいつも小さなベランダから
校舎裏の駐車場で
憂鬱に潰されてかかっている俺を見つけては
静かに螺旋階段を下り
情熱も慰めも含まれていないキスをくれた
唇が触れた跡には淡い火傷のような感触 ....
そんなことはない、が
結局は開かれることなかった口の内側で吠えている
不便のないところでは
それがどんな狂犬だろうと
誰かしらがいい薬を処方してくれるでしょう
それで利口に生きていける
....
ときには素直に
夜の空の暗さをみる
ただ光がないだけの話で
じつは日中となにも変わらないように
ぼくの思うことも同じだ
々という文字を子供の頃
不思議に思った
それをつなぐだけで ....
*
凭れたなら
鳥のように
木の欄干は鳴いて
帯のゆるんだゆかたのむねと
あのうみは
つながっているよ ....
さびしいなぁ
冷えた布団が
温くなっても
オレの心は
さびしいなぁ
寒空の下
きみは
木枯らしを抱いて
眠るのだろう
さびしいなぁ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21