発泡スチロールのトレーに
並んだ雌のシシャモを手に取った
内臓を圧迫するほどに詰まった卵
母魚の中で死んだ卵
網から漏れ生き残った雌のシシャモの
卵はどれだけ成魚に成れるのか ....
ある墓から発掘された
土くさい古文書を
読みといたら
やっと自分に
近付ける気が
するんだ
どこまでが問題で
どこまでが答えなんだろう
きなくさい暗号と
それを
首を傾げ
....
俺、台所で素うどん
このダシがね、またなんとも
粉末なんだが結構乙ですよ
こないだなんかはちょっと濃いめに作ったりしてね
塩分だけで生きてるわけじゃないから辛いのは良くないのよね
蝿に語る俺論
うどん ....
ぼくが包茎だったころ
アフリカはとおく
象の足は八本あった
あのひとのほほは白く
うつむくまつげは長かった
どんな人にも天使のように微笑むので
誰もが自分はあのひとに愛されていると勘違 ....
世界一の美女と言われたから僕の世界で一位のひとを映した
ねえそんなことってあるの嘘だって言っておねがい鏡よ鏡
無垢な目で林檎を齧るきみならばきっと蛇にも好かれる運命
血の ....
砕くのをやめたフォーチュンクッキーと崩れ始めた空の気配と
花束は伏せられていて未だ眠り止まない六月病の花嫁
泥棒も蛇も来ないと知る今もやさしくひびく夜の口笛
耳鳴りの(雨 ....
星々は願いの重さ堪え切れず 儚く散るよ宇宙の果てに
瞬きは啄ばむような口付けを溢しているから口付けをしよう
夜の空寒さが増せば増すほどに輝いている誰かの涙
「東京駅」
そりゃあ、
焦ってしまうこともある。
街は
加速度的に過ぎているし。
東京駅の地下、
動く歩道
ぼんやり
壁面の広告なんかを眺めて
....
花の名前を知らない僕は
きれいな花を見つけても
誰にも教えてあげられない
植物図鑑を一冊買って
花の名前を覚えよう
いつ芽が出て
いつ花が咲くのか覚えよう
小さな庭に種をまい ....
星は祈るように首をつって、空にぶら下がっていた。
面白くもなんともない
幸せなヤツらの
幸せな悩みを
押し付けられて、
「どうにかしてくれ」
と、
必要に迫られる
とりあえず、
大丈夫だよ
大丈夫だよ
って
笑顔を ....
頑強な夜は
積み上げられた階段をくだる
午前4時をまた
告げにきた
居間の大時計がまた
陰鬱な調子で
低くて冴えない
よっつの鐘をついたとき
恋は終わった
燃えさしは浮いた
....
氷は溶けるというのにおめでたいやつらだな
仕方なく神様の善は人間のものではないと自分を擁護し続ける
あなたのことは忘れようにも愛おしいなんてね
パンフレットを破いたりせんべいを食べたりダ ....
必死に押す
相手の目を見ながら
必死に押す
動け
変われ
スイッチ。
スイッチ。
必死に押している
相手の目を見ながら
必死に、押している。
どう?
どう?
どう? ....
(当時のニュースを聞きながら)
昭和天皇! ヒロヒト天皇!
とうとうお亡くなりなのですね
僕はあなたが 笑顔のような
そうでないような顔で
手を振っているお姿しか見たことが無い
....
満天の振り子時計の催眠術 そしてあなたも地球を忘れ
寝る前に目覚まし時計を仕掛けなさい 冬眠なら苗床でしなさい
哲学者と詩人と恋人達のため囀り止まぬプラネタリウム
窓際の ....
シュガール、jin繰るヴェール℃-ナッツのチョコ霊ト
魔ルク淫訛りのQueen/土砂のト音が燦然tのSui-イト
Eat.エアーとル・√のミズたマリーが海岸線のシス-tarデ
チャペル、レースの ....
ここは近代国家
これは憲法
世界は自分
宇宙は自分の部屋
一寸先のドアは壊れぬバリケード
それでも わたしは いまになって ははを かたる しかくを もたない 。 ははが どうあろうとも そのふかくには 信 と 慈悲 がははの なかに おくふかくないざい されて いるのがわかる からで あ ....
心の深さ250m
死者の国まであと50m
ユングの言う老賢者は
いるのだろうか
頭の切れる悪魔や
美しい堕天使の
言葉に耳を
貸すな
希望は打ち ....
ずつうやくを飲んだ
はんぶんだけ
やさしさでないほうを
恋は終わったのではなく
けっきょく始まらなかった
もう春だった
つながれたこいぬが
ねむたそうにあくびしてる
み ....
もう モドレナイ
前にも後ろにも 僕のいたるところを
君が 君が 囲んでいた
二匹の鮭が
内蔵を捨てられ
切れ端をからませていた
私の手はまだ薄いが
母の手は血にまみれている
頸骨ははさみでぶち切り
卵と白子は引きずり出した
その度にあがる、歓声
嬉 ....
大型台風が 故郷を直撃した夜
携帯電話で
十年以上も音信不通の父の処遇について
妹と話をした
その話の途中
突然の昏倒で緊急入院した母親を持つ恋人から
メールがはいった
その日 ....
信ずること無かれ
貴方のその手は{ルビ虚偽=きょぎ}を掴み
その身を{ルビ醜=みにく}く染めるだろう
頼ること無かれ
貴方のその手は{ルビ虚実=きょじつ}を掴み
その身を{ルビ酷 ....
母に似た男と
父に似た男と
子供のような女がいた
母は子を愛し、
父も同じように子を愛した
両親の愛を一手に受けて
幸せだった子供は
ふと、それが成しえないことだと気づき ....
カーマイン、スカーレットにマゼンタの三人の魔女空で焼かれた
瑠璃色の勿忘草はまみどりに染めたの白をあきらめたから
人魚にも羽はあったと焼け跡の肩甲骨をさわった指で
当たり ....
ハワイには四季があるんだぜ
死んでいった
お母さんたちは
特攻する
とつくにの小泉さんちに
生きて往くだけの毎日
新聞は届かなかった
全ては桑田佳祐の仕業である
廃工場 ....
ひとりでいるのは寂しいねと {ルビM=モラル}な男
夫と別れて寂しいのと {ルビS=シングル}な女
どんと ふぉーげっと どんと ふぉーげっと
この世は対でできている
なにかのきっ ....
勇気を出して走ってみた
転んだ
勇気を出して喋ってみた
舌を噛んだ
勇気を出して微笑んでみた
「何にらんでんの?」って言われた
勇気なんて要らないと思った
だ ....
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