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毎度のことながら、
女にふられたので、
ラブホへ行って死のうと思った。
どうしてラブホかといえば、
情死かと思われるかもしれないからだ。
死んだ後のことなどどうでもよいかと思えば、
にんげ ....
ある晩
月の灯りをあびて
一匹のカエルが
言論の自由を主張した
そしてほんとうのことを言った
それはほんとうに
ほんとうのことだったのに
ほんとうに
ほんとうのことだったので
....
さびしがりやだけど
ひとりがすきなの
そんなのはうそだ
さびしがりやは
ひとりがすきじゃないし、
ひとりがすきなら
さびしがりやじゃない。
ぼくはひとりでいても
さ ....
見るたびにラストシーンが違うという映画が、
場末の名画座で上映されている。
だけれどそれは感傷で、
いま街のどこにも場末などなく、
洒落た銀巴里の名画座などもない。
女は赤いパラソルをさして ....
女にふられたので、
川へ行って死のうと思った。
留守番電話に就職試験の結果が入っていた。
今日が面接だった。
洗濯物がたまっていたのでコインランドリーに行った。
着ていた服も汚れていたので、 ....
葉っぱのジョニーは
うそつきジョニー
さよならジョニー
枯れ葉のジョニー
空き地に捨てられた
冷蔵庫にもたれて
ぬるいコーラを飲んでいた
おれたちは明日
銀行強盗にゆくんだって
....
靴底が 素足を
さらさらと さらう
通行道路が
分離して 霞む
代わりのいない
名を呼ぶ声
引っ掻いただけでも
抵抗と 呼ぶのならば
青に射す 一赤の線
木漏れ日の ....
誰もいない電車の中
話し声が聞こえる
複雑に絡みあう心電図のリズムがぶつかっては弾け
私を切り刻む
邪な水位が胸の辺りまで
満たしはじめ
私は錯乱の消火器の底で
いつ ....
ぽっかりと開いてる気がした
おっかしいな、風水ではこの間取りはよかったはずなのに
なにかこの部屋は寂しい
やる気の感じられない洗濯物に渇を入れながら取り込む
あの時苦し紛れに出した手のひらは
....
緑の川面で
すっぱり足を切った あの夏
鳥の声も流れる川も赤い血も
シャツを濡らすしぶきも 眼を焼くキラキラも
子供の歓声も もうすべてすべて手をすりぬけて
あっちへ行ってしまったよ
....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
ちかごろは豚肉を買ってもその豚の生前の顔写真がついてくる。
顔の整ったものの方がよく売れるのだというウソのような話が新聞に載っていた。
お世辞にもハンサムだとはいえない豚をほおばりながら
こんな ....
我ら、お節介し隊!
勝手に棚を整理する。お節介し隊!
他人の部屋でも勝手に掃除する。お節介し隊!
他人の家にコロコロローラー持参でお邪魔する。お節介し隊!
トイレットペーパーは三角に折らなきゃ ....
絡まりあう指と指は
あなたと私の存在において
要は他人、というレッテルを
にわかに隠そうとする
今朝は天気予報が大嘘をついた
晩春の小雨は
しっとりと彩づくつつじを湿らせ
新緑のにほいを
みずみずしい大気に
浸透させるのであった。
もう水無月がそこにある。
みきすけは さかなの話し をしている。
みきすけは わにの話し をしている。
みきすけは 涙の話し をしている。
みきすけの流した涙は 終らず
川になり 山になり うみをさかのぼり
ご ....
自ら右の頬を撲(ブ)って
自ら左の頬を抓る(ツネル)
これまでだってずっとそうして来たし これからだってきっとずっとそうさ
目には目を 歯には歯を って
肩をいからして歩いた白い廊下
痛 ....
?.
誰も傷つけないように
貝殻を拾いにゆこう
まだ潮が高いから
ゆっくり 遠回りをして
(神様の邪魔をしないようにはできないのよ)
踏みしめる靴 ....
恋というものにすがる
わたしたちは最大のかなしみだと思い込む
あなたが私を救ってくれるとおもっている
さようならをしよう
すきということばをのみこんで
むねのいちばんおくにたくさんつきさ ....
商品棚から 落ちている商品を 元に戻し
「良い事をした。これで1つ天国に近づいた。」
この口癖は 誰のものだったか。
当たり前のように口にする 台詞。
そんな事あり得ないって 知ってる ....
箱の中にうさぎがいた
箱の中は窮屈じゃない?
なんでさ箱の中にいるのは君の方だよ
うさぎはにやりと笑って言った
なんてことだ僕は箱の中にいた
うさぎはどこかへ逃げ去った
....
目を瞑ると
瞼の裏に
水色の花が
ゆっくりとひらく
そんな魔法
かけてあげよう
散った花弁を掻き集めて、
うまく切り貼りしたつもり。
溢れた想いはそのままにして、
鏡にでも使うつもり。
今日はすこし眩しいから、
光合成に挑戦するつもり。
八時、駅に
そういえば昨日はずいぶん言葉を素粒子に引き渡したな、
そう思った後、紛れてゆく私の煙
冷蔵庫の開く重低音
ただいま、
ソーリー、と軽やかにマルキューを見上げる外人さん ....
発泡スチロールのトレーに
並んだ雌のシシャモを手に取った
内臓を圧迫するほどに詰まった卵
母魚の中で死んだ卵
網から漏れ生き残った雌のシシャモの
卵はどれだけ成魚に成れるのか ....
ある墓から発掘された
土くさい古文書を
読みといたら
やっと自分に
近付ける気が
するんだ
どこまでが問題で
どこまでが答えなんだろう
きなくさい暗号と
それを
首を傾げ
....
俺、台所で素うどん
このダシがね、またなんとも
粉末なんだが結構乙ですよ
こないだなんかはちょっと濃いめに作ったりしてね
塩分だけで生きてるわけじゃないから辛いのは良くないのよね
蝿に語る俺論
うどん ....
ぼくが包茎だったころ
アフリカはとおく
象の足は八本あった
あのひとのほほは白く
うつむくまつげは長かった
どんな人にも天使のように微笑むので
誰もが自分はあのひとに愛されていると勘違 ....
「東京駅」
そりゃあ、
焦ってしまうこともある。
街は
加速度的に過ぎているし。
東京駅の地下、
動く歩道
ぼんやり
壁面の広告なんかを眺めて
....
花の名前を知らない僕は
きれいな花を見つけても
誰にも教えてあげられない
植物図鑑を一冊買って
花の名前を覚えよう
いつ芽が出て
いつ花が咲くのか覚えよう
小さな庭に種をまい ....
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