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台風の朝の駅前広場
誰もいないので
雨が寂しがっている
せっかくの
パフォーマンスも
これじゃあ
張り合いが無いだろう
通勤通学の
寝ぼけた行列に
ざあざあと罵声を
ぱらっぱらっと ....
花は瓦礫の間に咲いていた
茎は折れ、砂のこぼれるところで
私の意識が眠っている

だれもいない夕べに
密かに私は名を呼ぶ
忘れてしまった誰かの慰めのために


それから一輪の孤独はや ....
ぼくの 内側には
ふたつのいろをした 
無数のコトバが はりついていて
ぼくは それを通して 
世界を みている
 
 ぼくのお弁当のスウプをみんなわらった
 カバンをぬらし ....
ふあんふあん。ふあん。
重力よりも
風力を強く感じていそうな。
ふあん。ふあんふあん。

糸みたいに細い八本の脚は
這っているのか飛んでいるのか。
脚のまんなか吊り下げた胴は
浮いてい ....
学校の坂を
手をつないで駆け降りると
二人は、体ごと海になった。


作務衣のまま飛び込んで重く
泳ぎ疲れた僧侶は
制服を脱いで藍色の水着になった少女を
波打ち際に横たえる

少女 ....
目尻のシワなんか気にしなくていい
それは君がよく笑う証拠
僕はそれを見るだけで嬉しい

鼻のあたまにソバカスができたって
それは僕と行った海の思い出
君の鼻を見るだけで気分はハワイ

 ....
この世のなかは

言ってはイケナイ音

聞いてはイケナイ音

知ってはイケナイ音

があるんだ

耳が聞こえなくってよかぁったね
紫陽花の花弁を撫でて しっとりさらり
カタツムリの渦をつまみ カチリつるり

部屋の網戸を閉めて カラカラぴしゃり
夕飯のそうめんは つるつるぱくり

風呂の湯気はもうもう
月明かりは煌 ....
男の子
女の子

ころぶところ
ちがうところ
きづつくこと
砂の山みたい

それぞれ
スコップで
積み上げる日々

泣くのをこらえて
たまじゃり踏んで

数珠を下げるお ....
空は
誰のものでもない美しさを携えているから
弾幕に汚れた視界の先に
ここには希望があるよ、と照らしてくれるけれど

僕の
指先が触れられる距離にあるのは銃口くらい
羽ばたく鳥を何度も握 ....
遠い国で鳥があの娘を
拾って育てる
鳥はあの娘に名前をつける
あの娘は鳥に名前をつけることを考えている

鳥はあの娘に
おいしいお粥を作らせる
あの娘は庭のいちじくを
鳥にもいで来させ ....
何も無い道を歩いているのに
さっきからカサカサと音がする

ああ
俺の心がカサカサなのだよ

そうつぶやいてうつむき歩く男
の背中を見つめる妖怪カサカサ

*

妖怪カサカサは
 ....
世界が僕の知る人によって創られたとき、
この両手はシンプルを求めて
雑誌をめくったり、
チャンネルを変えていったり、
最後にはあなたの髪をかきあげたのだよ。
そこに見つけた
完全なタッ ....
38億年分を10ヶ月の間で
駆けぬける赤ん坊は
腹の中 ある時期になると
両腕に生えている立派な羽根を
一本一本抜いてゆきます

その間に
両足はするすると伸びてゆき
指先に爪が生え
 ....
痛みの庭にしゃがみこむ
すべては照らされ
すべてはまぶしい

誰かが
「」と言っている
私は見られない

うつむくまま
光が透過する
うつろな体の殻

(ここはどこか
という ....
まだ柔らかいオブジェ
蠕動しているくちひげ
最後の作品はみずからの死体だった
さけられない悪夢にも青空があるように
はてしない無の領域にも鼓動をうつ宝飾がある?
いいえ
いまでもすべての見 ....
身体という身体に付着した夜の気配の中には一羽小鳥が棲み付いていて一鳴きしては夏の
音を待っている。鈍色の血の替わりに巻かれた絹のガーゼはこの冬の半ばに来て擦り切れ
ていたが。
机上に在る{注水中 ....
頭がしゅうしゅうする
曇り空に
赤い点
落下傘が流されていく
ごまつぶのような黒い人かげ
大きな指が
垂れこめた雲に
文字を描く
地上にひしめいている
誰もが
しゅうしゅうしている ....
冬の初めのバスターミナル 風がとおる
ねえ、どうかしら
風に たくさんたくさんの紐をかけて
両手に持ったら わたしの夢にたどりつけるかしら
自らが 選ばなくとも 時は流れる
冬に向かう日々の ....
あらすじどおり進めない
「自分」を脱いで 窓から{ルビ棄=す}てて
惑いなき心の原石のみを
この部屋に残したい

汚れの落ちない
「自分」を脱いで
洗濯機に放り込みたい

{ルビ筒状 ....
アンモナイトを食べたら
夜目が利くものだと思っていた
嵐が近くなればなるほど
私は理科室が怖くなって
階段をスロープした
スロープした

スロープした



手順を間違えて私は嵐 ....
その黒ずんだ石塀より
実は君のほうが長く生きている
みにくさのまま立っていよ


朝一台も居ないパーキングは晴れやか


力尽きるまで
ひとりで立っていよ



2003/0 ....
小熊はときどき囓る
わたしの腕や足や首や耳を
するどい牙で無惨に裂いてしまう
真っ白なわたしの肌の裂け目から
きたならしい液体がドロリとあふれでてしまうから
床にしみつかないように必死でかき ....
ニワトリのたまご
白いネリケシで
土台を作って 10個
窓辺においた

今日は 曇りのち晴れ
少しずつ輪郭が浮き彫りになる

黄色い光が浮いてきた
午後

ジリジリ
なのに冷た ....
ある初老の男性が言った


「恋は山登りのようなもの」


「頂上に来たら

 あとは下るより仕方ない」


わかっているさ

何度も聞いたような例え


 ....
ヒコーキは飛ばない

ヒコーキは飛ばない



君が飛ばさないから


僕も飛ばせない
つらいと言わない君が
ベッドの中
一人泣いてる

淋しがり屋の私は
そんな君のこと
ぎゅっと抱きしめる

二人でいれば
何よりも心強い
例え夜の悲しみに
のみこまれそうになっても
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