ユウレイグモ(百蟲譜39)
佐々宝砂

ふあんふあん。ふあん。
重力よりも
風力を強く感じていそうな。
ふあん。ふあんふあん。

糸みたいに細い八本の脚は
這っているのか飛んでいるのか。
脚のまんなか吊り下げた胴は
浮いているのか飛んでいるのか。

いつでも所在なげにみえる。
神社の苔のうえでも。
庭木の陰でも。

だけどそれがきみなんだよね。
その揺れはきみなりの威嚇なんだよね。
ふあん。ふあんふあんふあん。



(未完詩集『百蟲譜』より)


自由詩 ユウレイグモ(百蟲譜39) Copyright 佐々宝砂 2004-08-07 04:07:58
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