蝉はもう鳴かない
沸騰猛暑は続くのに
ただ、あるものがある
あるものだけある
あるものあるもの只あるもの
陽が昇ったり落ちたり又昇ったり
いっつも走ってたお姉ちゃん
ひさびさ目にしたら ....
滅びを包み込みつ坂道登り切れば 、
夕焼けに真っ赤に染まる
富士山のシルエット コニーデ模様
朝焼けの終わりに向け燃え盛り、
なんて美しきカタチ
響き放つ色彩の耀き
胸迄浸かるこの ....
角砂糖をひとつ
半ズボンのポケットにしのばせて
もし敵がきたらこれを投げつけてやる
ときみは言った
角砂糖が飛び交う戦場では
だれも死なない
蟻が大発生し
甘いみずたまりを泳ぐことだろう ....
熱をはなつ太陽の勇みつつ
南向きの居室で
網戸から吹きこむ風が
日焼けした畳をなぞっていく
座敷机の榊立てに生けられた榊は
光のかすかな痺れに
微睡みながら
忍 ....
何かが足りない、いつも足り無い
それでも追い求めもっともっといける
平静にして渇望の想い次々沸いて
このまま死に至っても後悔しないと言える迄、
毎夜この肉身離れて聖地に至る 魂の無言。
ひかりのそうる
よるあかりてらし
ひびきはなたれ
きこえくるのならば
あしたまで
まつまでもなく
もうどこまでもいける
不穏な日々乗り越えつつ
混沌と死に向かいつつ 、
自ら ....
まっしろのしかいに
かるまぁあらまぁあ
ゆうひのすたるじぃ
ゆうべのみちなりそい
原因に結果の還る行為のイメージ掴む
迄に自らの意識から感覚享受を()に入れ
私的感情好き嫌 ....
指輪を脱いだ指は
素の自分に戻って
ちょっとほっとしてる
全然きれいじゃなくても
それでいい
それがいい
しわしわの
手の甲の指の
第二関節にある
眠たそうな沼みたいな目が
笑 ....
思考活動の絶えることなく
たてまわりよこまわり
鈴の音鳴らし続けて
脳髄に絶えず足音残し
次第に頭の周りを廻りいき
浜辺に打ち寄せる波の周期か
私の覚醒意識に感じ取れるもの
くるくる ....
ぎっくり腰は正式には
急性腰痛症という
背中に杭を打ち込まれたか
どうやって立つのか分からなくなった
東司へ行く恐怖
行かねばならぬのに
近くて果てしなく遠い ....
目覚める 朝に
内から外へ
巨大な陽の昇る
銀のジャングルジム、
登り棒をするする上へ
雲梯の二段飛ばし
遡る記憶の奔流 頂きへ、
沢登りの源頭へ 忘却の壁突き破り
朝に ....
染め抜かれ
右にも左にも
一度ならず
ずっとずっと
その都度それが正しいと
そう想い込みながら、
しばらくすれば誤りだったと
自らが自らを騙し騙されていたと
ハッと気付く
瞬 ....
鞄の紐が千切れた
それは長財布と数珠を入れたら
もう手一杯になるくらいの
小さな黒い鞄
仕方ないので
それを胸に抱えて歩く
ごめんね
ごめんね
人波に逆らって
死んだ仔猫を胸に抱 ....
心の跳ねとぶような白に
目を見張る
おおよそ神秘な所で
香り咲いた月下美人
一夜、月の輝きのなかへ
身をなげだし
実もつけない花の
湧きあがる純白は何故
そんな ....
内へ内へと向かううち
時間が流れ始める、
留まりながら疾走する
疾走しながら留まる
時の瞬間の
その人その人
それぞれ独自の
それでいて普き時流の
あゝ何れも同じ頂き目指しながらも ....
新横浜駅を降りてから
どうやって そこに辿り着いたやら
彼が教えてくれた家の間取りは
手紙に描かれた図の通り
他愛も無い話は ビールを飲みながら
お互い 何を考えているか ....
私の脳髄に
鈴の音鳴らし
響き続けるもの
今に私の意志に従い
思考の言葉を形づくり
改めて私なるもの
この肉体に
担われ保っていること
蚊帳へ入るが如きすれば、
にほふ蚊取り ....
黄金の虫が炎に包まれ
檻の中から飛び立った
見学していた子供達の間から
歓声が上がった
黄金の虫はドーム状の硬い天井近く迄
舞い上がりふらふら堪え揺れ
すっと力尽きコンクリートの床に
....
かくしたってだめ
ものいわぬもの
ものいいはじめ
消えていく
図書館の温もり
大好きなお母さんら
とっくに去ったし
しったふりしたって
だめ
ほらもう
あるものあるもの
....
昨日産まれたばかりの吾子は
わたしの横で寝ている
なんてかわいいのだろう
産毛のような髪の毛
耳も口も鼻も小さいけれど
とても精巧に作られていて魅入ってしまう
閉じられたまぶたの中でどんな ....
築年数四十年を過ぎた中古マンションで
今夏暫くの間、我が家でも玄関ドアの脇に
宅配弁当業社の貸出しボックスが
配置されるようになった
すると挨拶を交わすご近所さんから
「 ....
恋愛ものムービーを見せて
観たアッフリカ部族の人に
感想聞いてみたならば、
あの人たちの食ってたランチが美味しそうだった
と一言 、
何だか理由も分からず可笑しくて
僕も彼女も互い ....
雪の三千メートル稜線を
登って降りてまた登り
やっと槍の穂先
ピークに至り
青息吐息、霞む視界
ふっと明け拡がり
地に着く宙空に鮮やかに
青い青いテントの現れた
板張り浮き出た掘っ ....
一瞬にして 、
光の回廊の現れ出て
頭くらくら意識の鮮やか
飛び散る血飛沫に染め抜かれ
自らの終わり観える瞬き、
警告のベルの鳴り渡り
光景の涯てなど掻き消し潰され
美しき夜明けも深 ....
公園通りを抜けたところで
突然、大粒の雨が落ちてきて
石畳を駆けぬけ
アーケードに避難した
濡れた前髪から
昨晩のヘアトリートメントのにおいが
密かにたちのぼる
フローラルウッディの ....
風を誘い夜を酔わせて
瞬く余韻に溶けるもの
溶けて蕩けて目醒めては
熱気の空から降り頻る
雨 、
むっと時を淀ませ刻み込み
あの御巣鷹の空からすら
ひとひと哀しみ只々麻痺させ
....
世界が動いている
私も動いている
くるくるぐるぐる
脳髄廻りを思考の蠢き
月明かりの
雲間からさっと射す、
肉身の苦痛 始まる最中
ベランダに出れば 、
私の中か世界の中か
....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右に探る
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからずに
からのからっぽ
だったはずの
空間は
次第にそれ自体の
存在を漲らせ
だら ....
或る季節風の朝
街中でコートをひるがえし行く
女の紅よ
結ばれないと解っていて
湧き出る胸の音楽に
自分をすら見失う時
陽光に己が肌をさらすことも出来ず
根なし草の様 ....
今夜は妹とオフ会
二人が愛する小説の
大人になって
妹がいちばんの親友になろうとは
両親に溺愛され
嫉妬するより前に
その可憐で愛らしい姿に
私も彼女を愛 ....
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