風が金管の旋律になって
とうとうと胸を揺さぶり
東の空を見あげると
青白く輝く一番星
電線の陰が夕闇に消える
鈍色の舗道
星になれない
タワーマンションの窓灯りは
....
今宵、
満月の直ぐ傍に木星輝き
向かい家にも
灯る明かり二つ
身を委ねること
宙と地をいき交い
立ち上がる哀しみ 、もう響き止まず
ランチタイムを
だいぶ過ぎたお店
無性に
食べたくなった パスタ
語り合う
二人の女性のほか
誰もいない
海老と
ブロッコリー入りの
トマトクリームパスタ
だ ....
布団ごしに
差し出された 夫の手
腕ずもうするみたいに
握ってみたら
涙が 溢れてきた
体の中で
飽和していたものが
やっと
機を捉えて
流れだした
そんな ....
わかい母の呼びかけに首を振り
父の実家のお座敷で小走る
ニワトリの様な女の子
おむつが外れてから
便意を我慢してしまうクセのついた子の
浣腸でひとそうどう
陽のあたる縁側 ....
風穴あけろ
土手っ腹に大砲撃ち込み
鬱屈/閉塞した時代を導く道標
突き抜けて {ルビ宙=ソラ}
沸点上昇
オポチュニストの血が騒ぐ
夢や希望を臨界まで濃縮し
核融合を引き起こせ
や ....
幾日も 焦燥感に さいなまれて
ある日 ハヤの泳ぐ川の水が
ありありと 心の中に流れる
澄んだ 水の感触 腹黒さも胸の焼けたような虚しさも
済んだ
棲んでいると からだの内側 ....
後悔しているも嘘ならば
後悔していないも嘘だ
後悔していない寄りの少しの後悔
愛しているも違うし
愛してないも違う
愛している時々曇り
正解も不正解も欲しくない
割り切れなさ ....
やや横向きの
その顔と 相対した時
いつだったか
どこかで見た気がした
気づいたのは
ついさっき
このまえ夢に見た
亡き祖父の顔
私に
助けて ....
その辺に落っこちている恋じゃ嫌なの
いつだって“とっておき”が欲しい
これが必然とでも言うような
運命の出逢い
出逢うべくして出逢い
触れ合えば稲妻が迸り
このひとに出逢うために産まれ ....
地下駐車場を上がると
青空の下
広大な うずまく雲
──紛れもなく 雪雲だ
冷えた頭と
落ち着かない心臓
ただ
そう認識したと
ひとりごちる
突然の別れと
止ま ....
ふわん ふわん
つい手を伸ばしたら
雪をつかまえた
すぐに
手のなかでほどけて
水になった
死んだら雪になって会いに行く
そんな人を
うっかり
水にしてしまった
半ズボンを ....
首がやたら凝って
ぐるりと回す
絶好調の日など
そういえば
そんなにない
夜中は必ず目覚める
本は読みづらい
夏に痛めた腰は不完全
不調が普通
なにかしら
携えながら ....
冬花の奏でる音楽を
観入り聴き入れば
さくさくと
凍結ノ地にて
繋縛され剥奪され
断念した自由を
真紅に潤ませ
内なる森の奥処から
溢れ流れ出させ輝かせ
お日様の匂いに染めて
一瞬 ....
夫は
思っているより
優しい人かもしれない
今朝
お椀をひっくり返し
自分のお味噌汁が
ぜんぶ無くなった
しかたない、と
食パンを齧る
不意に夫が
「ほい」
自分 ....
白に近いけれど
白になにかを足した色
冬のかなしみ
それはとても重くて
或いは軽くて
ふうわり
もう何年着ただろう
これから何年着るだろう
冬の終わりの儀式
洗面器のあわぶく
....
死地も生地も
同じ地球の地と
別に決意した訳でもなく
流れ着いた此処だから
此処を最期の住処とすれば
亡き父親も嘗て結核療養した
縁ある場所だと気付く謎、
色んな人が色んな謎を抱え
そ ....
皆んな笑ってる
笑わなければならない
場面で
君はきょとんと
大きな眼を見開き
陰を抱えた相貌曝し 、
自らの魂を浮き彫りにさせ
決して弾き出されることなく
自分の足でしっ ....
まだあどけなさにいた季節
愛の意味も解らずに
ただ笑って頷いていた
与えることなしに
与えられることばかり求めては
欲求不満の子供みたいに
手に入らないものを欲しがっていた
満ちて足りる ....
言葉少なに語り出す
小春日和のこの一時、
ぱたぱたぱたぱた
歩みを止めず
今、ひとり在る充実
味わいながら
両眼しっかり見開き
軽々足を運び進む
ひんやり風の
両頬を撫ぜ包み ....
灰。亡骸。哀しいことば。
全部、焼いて後に残った熾が弾け
音符みたいに列なって
どうしても
意味を成そうとするから
抗うことにも疲れてしまった
そうして
私の躰の養分を吸い上げ
新鮮な ....
冷え冷えとした山脈の連なり
声の木霊のもう限りなく
痛み苦しみすら青い鳥とし
笑い飛ばしながら自由へ
自らの内なる必然見出し
飛び立っていく 、
見れば見るほど聞けば聞くほど
何もか ....
花が咲いているのを
シンプルに綺麗だと思う
一汁一菜
ささやかな食事を丁寧に味わう
今なら丸々とした大根を
安い豚こまか鶏ももで煮る
手間は惜しまない
豚こまならば
一枚一枚広げて ....
ベートーベン
交響曲第七番第二楽章
聴きながら
浮かび上がるもの
祖父の若かりし頃の姿
昔 見た
たくさんの写真
目を瞑れば
南の白き砂浜
機銃掃射の雨
隣の ....
月が行方不明になったから
月を捜して彷徨った
夜の海では夜光虫が瞬たき
青く発火していたけれど
月はいなかった
枯れ野で風に訪ねても
実態のない躯をうねらせて
けたたましく笑いながら ....
神在月の街の空
どんよりと重く
昼でも昏い出雲の空模様が
一転して晴れて
雲間から金色の光が差しこみ
世界は開かれ
まぶしい力を浴びる
海へと下っていくカーヴの続く道の途中に
目的 ....
夜の底で櫻が燃えてる
触れなば散るらむ風情で
ほとほと と
このままいっせいに散ってしまえば
黄泉比良坂の道のりも
仄かな明かりに照らされて
淋しい騒めきを鎮めてしまう
櫻の散り際 ....
静かな達成感を味わう朝
日頃
後ろ髪を引かれることに
着目できる朝
棚やマットの下も
掃除機をかける
玄関を拭いて
盛り塩も新しくする
日頃
どかさないところも
丁 ....
冬に一歩ずつ近づいて
通りの桜並木の葉も
完全に散って
僕と君との思い出は
遠い過去のものになろうとしている
大丈夫かな?
大丈夫だよな?
繰り返し呟いていた
確かなものは何一 ....
君が一瞬見せた
微笑みの意味を
10年経った今
どうしても確かめたくて
君の去った
集合住宅をたずねる
あのとき
君の静かな
やさしさに
気づくことが出来たなら・・・
あの ....
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