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松本さんは
おはよう。こんにちは。こんばんは。
精一杯振り絞るように挨拶をする
今までそれも無かったと看護師は言った
回廊でぼくの袖を引っ張り
彼は時計を差し出し
何かを聞きたいらしかった ....
空の青がとても悲しくて
黄色い銀杏の葉が飛ぶ時を待っている
中庭に降り注ぐ陽射しは眩しくて
{ルビ眼=まなこ}を閉じて五体を開き暖をとる
ときおり吹く風は透明な北の便りを運んできた

午後 ....
朝の冷たく透明な空気を吸って
土手路を歩き
川面に浮かぶ鴨を数えたら
六羽が静かに泳いでいた
鴨鍋にしたら何人前になるだろうか
などと考えながらコンビニへと向かう

紫と白い小さな菊が寒 ....
夕暮れの中庭のベンチに腰をかけ
{ルビ鋼色=はがねいろ}の空を見上げると
鳥が矢印のような隊列を組み
還るねぐらを目指して
陽の沈む方角に飛び去っていった

病棟に戻り
やがて食事のアナ ....
磨きぬかれた回廊が朝日に照らされピカピカと輝く頃
眠りに就いていた患者たちは目覚めの一服をふかし
何時もと変わらない挨拶を何回もする
そして名前を呼び合うことで互いを認識するのだ
ぼくはブラッ ....
忘れてしまった砂浜の
波打ち際に{ルビ踞=うずくま}り
要らなくなった古地図を
寄せ来る波に流します

月の鏡に照らされて
寒さの夜に肩を抱き
独り寂しく朝を待ち
失くした夢を探します ....
例えば誰にも振り返られなくても
一粒しかない命を投げ出すことは出来ますか
妻子に捧げるのならあり得るでしょう
交差点ですれ違った人に大切な命を差し出すのは
そう簡単にできることではありません
 ....
成層圏を脱出してから
どれほど経ったのだろう
宇宙の果てまで
まだまだ遠く届かない
来世という未来に託すしかないのか

路傍の石ころに生まれ
泥に生まれ
虫に生まれ
魚に生まれ
豚 ....
私は私で

他の誰でもない

通じない言葉に疲れて

スマホを放り投げた朝の散歩道

きみは私を処刑しようと決めた
消えそうで消えない{ルビ数多=あまた}の古傷が

今夜は特に{ルビ疼=うず}いている

闘いに明け暮れた若き日々

今宵はフラッシュバックに襲われて

モノクロ映画のような夢を観るだろ ....
一粒の{ルビ生命=いのち}が生まれ
光年の彼方からやってきた
柔らかく強靭なその現象は久遠を説き
四苦八苦に囚われない法理を示し
煩悩即菩提を表した
苦の中に楽があり
楽の中に苦がある
 ....
眠いのに眠れない
こんな夜は琥珀の水を飲み干せば
血液の流れがさらさら流れ
失くした夢も戻ってくる
だが琥珀の水は此処には無い

右に行こうか
左へいこうか
真っ直ぐに行こうか
夢は ....
いつも午前4時半丁度に目覚める
冷蔵庫で冷やしたブラック珈琲を飲み
冴えた頭で朝日がやって来るのを独り待つ
晴れた日は磨き込まれた廊下の先に
黄金の太陽が{ルビ燦々=さんさん}と昇り
廊下は ....
何処までも続く白い路

きみと二人なら怖いことなど何もない

雨の日も

風の日も

手をつなぎ歩いてゆこう
ほんのり白い{ルビ繭=まゆ}のなか

疲れた夜に横たわり

ゆっくり静かに沈みます

外界のざわめきが届かぬように

繭を編んで眠ります
二両編成の電車を降りて
乾いた白い路を真っ直ぐに進む
いったい何処へ行くのだろう
てくてく歩いてゆくと
荒波寄せる岸壁に{ルビ聳=そび}える
古い灯台が観えてきた
ぼくは左腕に巻かれた包帯 ....
秋空に 

流れる雲を

眺めては

ひとり路ゆき

涙ひまなし
ぼくは斬首刑を執行された
{ルビ亡骸=なきがら}の臓物は白日のもとに晒され
医師はぼくの秘密を探ろうとした
だが 魂の在りかだけは解らなかった
真実は真実で何処にも逃げはしない
ぼくの悪行を ....
白いシーツに午後の陽射しが映る
暖かなベッドに横たわり
刹那に消える夢を観た

アイス珈琲を飲みほして
虚ろな時をやり過ごそうとしても
うつら うつらと首を振る

至福はすぐそばにいっ ....
木枯らしの渦巻く中庭で本を読んでいた
まだ蒼い銀杏の葉がページに挟まり{ルビ栞=しおり}となって
ぼくはそのまま本を閉じた
階段を昇りきると
磨かれた長い廊下は光り輝き
影を失くした透明な人 ....
わかっていたつもりが
何もわかっていなかった
わからないことが多すぎる

本をどれだけ読んだとしても
まいにち新聞とにらめっこしても
あまりにも知らないことが多すぎる
ならばひとつの事象 ....
きみはもう成層圏の彼方に飛び去った
手旗信号も届かない
ぼくは今日 言葉を失った
涙の果ては無言電話のノイズになって
闇へと散った
そう きみと二人
菜の花畑の向こうに碧い海を眺めたね
遠く水平線には洋紅色の貨物船が浮かんでいた
固く手を握りしめ
明日の行方を占った

きみの{ルビ華奢=きゃしゃ}な肩を抱きしめながら
 ....
磨かれた廊下に深海魚たちがゆらり
ゆらゆらとゆっくり泳ぐ
深い眠りに就いているのか
夢をみているのかわからない
天気予報では明日は雷雨
深海魚には予報も関係なくて
廊下をゆらゆらと泳いでる ....
この街の住人は
みな個性の固まりを持っていて
手のひらをこじ開ければ
様々な結晶が握られている

世間では狂気に満ちた街だという
ただ 
それを人に見られるのが恥ずかしいのか
面倒なの ....
柔らかな陽射しの中庭で
ぽつりとベンチに座っていた
ぼんやりとした記憶の狭間に
きみの面影が通り過ぎてゆく

あれから何回秋を繰返しただろう
水溜まりに突っ伏して夜明けを待ったあの日
ぼ ....
鳥になれ
輝く太陽をめざして
大空に羽ばたけ
自由な翼で何処までも
青い空に染まりながら
悲しみの地平をあとにして
やすらぎの風を受けて
成層圏の彼方まで飛んでゆけ
さあ 鳥になれ
 ....
こんな冷たい雨降る夜は
夢を見ないことがある

こんな冷たい雨降る夜は
とても寂しく人恋しい

濡れたアスファルトに街灯が映り
水溜まりのありかを教えてくれる
傘をさしては手のひら擦り ....
私という現象は何処から来て

何処に往くのでしょうか

月の女神に聞いても微笑むばかり

いま私は銀河を超えて

星巡りの歌をうたいます
彼女はゆらゆらと深海魚のように
磨かれた廊下を歩く
手のひらに握られたピースがあまやかに香った
休日の病棟はとても静かで
耳を澄ましてみても無音の廊下は揺るがない
空気は澄みわたり
光の廊 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
【病棟日誌】_凸凹- レタス自由詩6*24-12-3
【病棟日誌】_冬のはじまり- レタス自由詩10*24-12-2
散歩道- レタス自由詩4*24-12-1
【病棟日誌】_寒空- レタス自由詩5*24-11-30
病棟の朝- レタス自由詩5*24-11-29
朝の歌- レタス自由詩6*24-11-26
殉愛- レタス自由詩6*24-11-25
孤独- レタス自由詩9*24-11-22
五行歌__冤罪- レタス自由詩7*24-11-22
五行歌__還らざる日々- レタス自由詩9*24-11-19
仏教哲学考- レタス自由詩5*24-11-17
眠れぬ夜- レタス自由詩7*24-11-16
朝日を待って爽やかに- レタス自由詩5*24-11-15
五行歌_彼方へ- レタス自由詩5*24-11-13
五行歌_沈黙の夜- レタス自由詩5*24-11-12
- レタス自由詩4*24-11-11
五行歌__旅路- レタス自由詩6*24-11-10
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病棟- レタス自由詩11*24-11-7
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- レタス自由詩14*24-11-1
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病棟日誌- レタス自由詩5*24-10-27

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