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皐月の若葉が茂る
木漏れ陽のベンチの下
隣のベンチには文庫本を読みふける少年がいた
たぶん少年が連れて来たのだろう
6㎏は越えている太ったブチ猫がいる
ぼくは遠慮がちに隣のベンチに座 ....
退屈な
陽射しのなかで
本を読む
凛とした
桔梗の花を
黒髪に
一輪さした
花のかんざし
透明な味のレタスが大好きで
ぼくは時々共喰いをする
今日のお昼は喫茶店でレタスベーコンタマゴサンドを食べた
レタスこんもりのライ麦サンドにアイス珈琲
絶妙な組み合わせだ
シャキシャキ バ ....
恋は一滴の純水から始まり
甘く
酸っぱく
ほろ苦く
谷をくだり
激しく澄んだ渓流となる
やがて世間の汚れを抱き込み
滔々とした大河の流れとなり
不動の愛に変わる
命終 ....
今朝ぼくはひとつの世界を貰った
透明な水流と
優しさと
悲しみと
花の頬笑みと
負けない魂と
この汚れた世界を清浄にする{ルビ詩=うた}を歌い
ぼくの胸を打ち続けた
空 ....
騒めきの通りから
暗く曲がりくねった路地に誘われて
踵を返した
ランプが点いたドアの前
コツコツとノックして把手を回した
鍵はかかっていなくて
乾いたほのかな風がぼくを包んだ
ド ....
今夜また琥珀をあおり夢をみる
雪渓を登りつめ
一息を吐いた
其処は花々のサンクチュアリ
ぼくを燦々と迎えてくれた
写真に撮ろうとするけれど
その美しさはレンズを透しても再現できない
山に登る者だけにその秘密を明 ....
きみとふたり
丘のうえ
夕景色
山なみの果て
我は彼方を
さし示し
きみは頬笑み
頷いた
{ルビ蘇芳=すおう}の衣は
{ルビ飄々=ひょうひょう}と
明日を求めて
彷徨 ....
甘く
酸っぱく
苦く
切なく
悲しい
草原は霧が立ち込め
まわりはよく見えないけれど
足元の花があまりにも綺麗だから
花冠をきみに捧げよう
ぼくはとても不器用だから
上手く編めるだろうか
十五年の歳月は満月のように重くて
一 ....
天気予報を観ながら
トーストをサクリと齧り
珈琲を飲みほしたら
履きなれたスニーカーの紐を締めて
ドアの鍵を放り投げ
今日が始まる
白い自転車のぴょん吉に乗って
何処まで行こうか
....
日々の暮らしを続けて十五年
首の傷は裏切りの証
それでも
あたり前の顔をしながら
鉄の仮面を被り過ごして来た
今朝の日輪はすべてを明かし
赤い溶鉱炉の焔に焼かれた醜い顔を見て
白日の ....
君は何色なのかぼくは知らない
けれど 君の言霊が心地よくて
逢えるのが楽しみだ
ぼくはその優しさを抱きしめて生きている
西の空を眺めては
日々の約束を頼りに
君の名を呼んでいる ....
ぼくの言葉は少し狂っていて
何時も周りをひらひら飛んでいる
何を押し付けられてもなんのその
みんなそれぞれ自由な言葉で
明日を夢みているのだから
うちのたまは五百円玉が大好きで
お腹いっぱいになるのは十五万円
過日お腹が痛いというので
たま専用の銀行ATMでうんちをさせた
もうそろそろ
またお腹が痛いというだろう
たまは食いしん坊で ....
グラスを傾けながら
あの頃を想う
何も持っていなくて
三本立てのリバイバル映画を観ては
涙ぐみ
午前零時閉店のクラッシック喫茶が終わるまで
バッハとチャイコフスキーをリクエスト ....
黄昏に
カレーの匂う
帰り道
この世界
半熟玉子
潰しあい
子供らの夢
奪う愚かさ
漂泊の路は白く乾き
振り返ってみれば
足跡は曲がりくねり
彼方に霞み 消えてゆく
あれから{ルビ幾年=いくとせ}経ったのだろう
春は桜の花びらに埋もれ
夏の陽はヒマワリを照らし
....
....
天竺の哲学者は言った
零は無であり有でもある
零は円周率の計算が果てしないのと同じなのですか
彼は言った
零は起点ではない無量大数と同じこと
メビウスの輪と同じものですか
....
たおやかな月のきみよ
今宵はその光のもとで
美酒を酌み交わそう
夜の{ルビ静寂=しじま}はまだ浅く
誰に遠慮をすることもない
さあ! 飲もう
暁は遠くに在り
時計の針はとても遅い ....
黄昏の空に雷鳴が轟いた
光と闇の螺旋が宙を舞いながら昇天してゆく
それは二匹の龍だった
恐ろしく
美しく
渦巻いている
ぼくは背中の翼を開き
龍を追いかけた
銀河を越え ....
月の輝く夜は
星々も遠慮深くため息をつく
彼女はとても気まぐれで
若葉の季節を待つ人々も祈りを捧ぐ
豊穣と子宝を授かるように
失くした封筒は開封しないままに
いったい何処へいったのだろう
鞄の中も
机の引き出しを探っても
書架のページをめくっても
探したけれど見付からないので
誰か心覚えがある人はいませんか
枯れた公園の人は疎らで
みな肩を狭めている
5月には香る薔薇が咲き誇り
恋人たちは手を握り
至福を味わっていた
月の光に照らされて
レタスが芽生える5月
いまは寂しい季節だけど
....
真夜中にたった独りで酒を飲む
たまには屋根の上で
おもいっきり叫びたいときが在る
誰にも解らない言葉で
おもいっきり歌いたい時が在る
らぁ~! らぁ~! と
いくら叫んでも
罪は消えない
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