マグレの人生相談 僕の感情は必然
ただよう哀愁と 君の優しすぎる輝き
それだけで悲しく どれをとっても美しくて
虎の視線に怯えるように たじろぐという犯行に出た僕は
自意識以上ナルシスト以下の ....
夏の次が秋だったあの頃を探しに
ぼくは今、 油切れの車輪を引き摺ったまま
秋の消息を訪ねて旅に立つ
窓枠の中でそっと にこやかに手を振り
石のような白い空に はぐれてゆく僕の影を
....
今日も何もなく
何もない家の扉を押す 今日も
部屋の鏡に 自分のシルエット
それは不確かだが 何もない自分に
確かに いつものようにある 不確かな家の
風が吹けば 家の中に 確かに
風 ....
喜びはほんの数秒で消え去っていくのに
悩みは何時間でも付き纏う
ビルの屋上から飛び降りてしまおうかしら?
女の背後にその女の声が聞こえる
自分の声なんて いつも自分から聞こえてくる気がしないの ....
神がなかったので
運命もなかった
われわれは 偶然
この世に産み落とされた
ただのうたかた
きのうも明日もない
つかのまの
たわむれ
よるべない この胸
だから
君
むし ....
格別なこともない
特別な日に
ななめに笑い
或いは おもむろに悲しむ
おお 彼女は
ゆるぎない場所で
ゆるぎない愛を成就した
成就した
成就した
成就した
上手にした?
....
今 編
将来の為とは一体何だろうか?
明日死ぬと知らされて、将来の為と言える人はいるだろうか。
僕は明日死ぬと知らされたら、一時間ほど悲しみに暮れるかもしれない。
だけど、いつ ....
わたしは、生まれた時 自分が実体であることに驚いた
おそらく 死ぬ時は 自分が幻であったことを知るだろう
育てた罪を持って市場へ行った
飢えていたから金が
欲しかったのだ
金があれば食える
食えば生きていける動物に
僕はなりたいのだ
老練な仲買人は言った
自分で育てた罪なんか
売り ....
笑顔はわがままだ 苦しみを嫌う 笑顔はせんさいだ 苦しみに勝てない
笑顔はやさしい 苦しい時はちゃんと距離を取ってくれる
中途半端にならないように 側にいながら構わない
風が行方を恐れて動こうとしない
ベテランの風が言った 「行方を考えるな行方は君だ」
動いたら行方になるんじゃない 行方は君で動くしかないんだ
夏にはぐれた神鳴雲がひとつ
ぽつんと漂う空
雲は、雲は、やって来たのに
大きく大きくなって やって来たのに
酷苦の炎天を 猛暑を
掻き消してあげたくて
やっと辿り着いたときには
夏 ....
変わるのは変わらない形だけ
「変わらない」はそのまま何も言わず 変わらないまま変わっていく
その変わりようを僕は 変わらない姿で見つめ続ける
京子は弱くなければ優しくなれないと思った。
逃げ出したいほどのみじめな生活。
この暮らしを憎むのではなく愛おしむには、じぶんが弱くなければそうはなれないと思ったのだ。
体育の授業は校庭をぐるりと ....
ある日のま昼
とある公園で
たがいの母親の 悪口を言っている
一組の
兄弟を視た
天気雨が
降っていなかった
ライトバンが通りすぎてゆく
まるでうまく生きれていない
人生はとれーにんぐ問題集
カンニング以前の吹き溜まり
痛い
胸痛い
蜩よ、鳴いてくれ
安易な自己の正当化
吾の、代わりに鳴いてくれ ....
何となくというセリフなんか吐くな
きちんと表現したまえ
されど私は優しいからそれを吐息と
あえて描いてきたんだろうと思う
書き込んで書き込んで
描き回るあなたの専攻のない ....
なすがママに
きゅうりがパパになった
それはつまり
結婚当初
かれらが毎晩毎晩
いやになるほど毎晩毎晩
はげしくくるおしく まぐわったことを意味する
まくわうりのように
ああい ....
夏らしい夏の日なんて
数日しかないし
秋らしい秋の日なんて
数日しかないし
冬らしい冬の日なんて
数日しかないし
春らしい春の日なんて
数日しかない
時間に正確な体は心を置いて
そ ....
笑顔描かれた靴で蹴られている
―高級な食べものは普段食べなれていない人には、口に合わないのだ
道端に小柄なおばあちゃんが二人坐っている。
一人は覇気がなく、目の前の木を眺め、
もう一人は、風に逆らうように、大またを広げ、 ....
その虫は
どこからともなく現れて
花に潜り込んで喰っている
払い落そうとしても
逃げもせず
しがみついて
貪り喰っているので
憎らしい
しかもとても醜い虫で
気持ちが悪い
その虫の ....
なにを
いいたいのか
よくわからないけれど
なにについて
いっているのかも
はっきりしないけれど
なんだかひどくひきつけられる
なんだかとてもみりょうされる
そんなしが
....
他者に無関心なひとが優しくみえるように
穏やかなひとが人格が高いひとのようにみえることがある
しかしながら穏やかにみえるような奴らの大半は
ただ諦めているだけの薄笑い野郎だ
諦 ....
あなたは 年老いた家の姿を見たことがあるか
台所からは 骨と皮だけになった皮膚の隙間から
食器と血が 毎日滑り落ちて死ぬ音
骸骨のような運転手になった父が
赤信号のまま 車を通 ....
2014年、30歳の夏に
彼女は
こころの半分を、お空にもっていかれてしまった
未婚のまま
卵巣がんと子宮体がんのため、子宮と
卵巣全摘出手術をうけたのだ
生きることに必死だった
....
きれいなものは とおくにあるから きれいと
ちかくになったら いやなところが みえてくると
ごちゅうこく してくれた ひとがいたけれど
あなたは ちかくになっても きれいでした
あなたはつ ....
ししゅんきに
少年たち、少女たち
秘密をはぐくむ
親友にも打ちあけない
まして 親なんか話さない
大事な秘密をそだてる
それは
生きてゆくために必要な秘密
けっして
解か ....
とめ、はね、はらい、が
美しく表現できる ペンで
誰にでも 恋文みたいなことを
描いたりする 頭の中は
だいたい
とめ、はね、はらい、だらけの
行動を 起こしたがる
....
ビッグバンの
それ以前には何が在ったの?
宇宙が膨張している
その先には何が在るの?
それは
時間と空間に対する無知による
愚問である
と 彼は言った
別にどうでもいいけど
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