月を見ていた狼男
なにも悪さをしないのに
石もて追われ町はずれ
川面に浮かぶ月の影
泪落とした橋のうえ
その靴は私の足にあわないので
履くたびに痛みが増しました
1日その靴を履かなかったら
少し痛みがやわらぎました
どうしても
その靴をはきたかったので
翌日は我慢して履きました
....
ちっぽけな石ころ
川底に沈んで
誰かを傷付ける
尖った部分を失くし
長い時間に失くし
自分を確かめる
でこぼこを失くし
ずっと底に
ずっと沈んでいる
誰か見つけてください
此処にい ....
またゆうぐれがきて
ぼくらはてんざいする
そしてへんざいする
そこここにともる
いえいえの まどのあかりも
よるになればきえる
ひとびとはねむる
こいびとたちもねむる
と
....
空き缶が転がっています
運命に転がされ
気紛れに蹴飛ばされ
道ゆく車に轢かれています
元の色は剥げてしまい
誰だかわからないことでしょう
何処にいきたいとか
....
空はいつも
過去も
未来も
いつのときも
空はここに
傍に
遠くに
あたまの上に
変わりゆくのは
君であって
僕であって
僕ら ....
するどい雨の散弾が
あやしい空から降りそそぎ
はげしく
冷え切った地面を打つ
おどろいて
まっ黒い弾丸になって
失踪する
男の背中をもはげしく打つ
残された女は
無為の傘をさ ....
痛みにふりまわされて
器がいっぱいになる
壊してしまうか
爆発するまでふたし続けるか
ぼくら大人はそんなことを
ばれないように静かにやるのだ
他人からおかしいと ....
かれ
あるいはかのじょは
かんじゅせいが
せんさいすぎた
だからしょうらいは
くびをくくるか
きがふれるか
どちらかしかなかった
じっせいかつとどくしょで
きたえられた
か ....
アレを好きかと訊かれた場合
「キライだ」と答えたら明らかに嘘になる
では「スキだ」と答えたらホントかというと
ほんの少しホントからズレている
ホントのことは その中間のどこか
ななめ上の ....
大人の期待を裏切らぬよう
寡黙な少年を演じきりました
大人のあいだに流れる噂と
その発信源である
個々の大人の評判を傷つけぬよう
物言わぬ少年を守り抜きました
こころを開け、と ....
千円くださいと言ったら殴られるだろう
百円くださいと言ったら無視されるだろう
でも十円くださいと言ったら ひょっとして
ニコリともしないでくれる人があるかも知れない
もちろん百万円ください ....
隠喩の練習
をしようと思って
とにかくなんか書いて
みようとしたら
「きみのおへそのしたの
かわいらしい縦割れえくぼ
うっすらおヒゲまでそえて」
という語句が
まっさきに浮 ....
ビデオレンタル店の前で
男と女の高校生が立ち話をしていてね
お互いに意識してるんだろう
話すたびに笑顔がぎこちないのさ
背の高い男の子は自転車に寄りかかり
女の子は
カバンかなにかを持 ....
もうすでに決断したことを
髪をすいては決断するように
女はその長い髪をなんどもなんどもすいていた
宇宙の青白い光を見つめながら
宇宙の青白い光に見つめられながら
長まわし ....
いつも東京の片隅にいるの
誰にも気付かれず音楽を聴いてる
今日話した
たわいも無い話に
なんだか愛を感じちゃったりして
日が暮れて
やっぱり東京の片隅にいるの
みんな知らない人だけど ....
画家がキャンバスに向かい、あらゆる影を創り出す時、
私は白昼の都会で私の影を創造した。
人並みを避けながら、あらゆる方角へ歩みを進め、
変幻自在に形を変える自分の影を創造した。
発見と ....
食べたものがお腹に溜まってくると気持ちわるい
出そうか出すまいかと迷ってるのはボクと腹の虫
これは無理に捻り出せば後ろに残るし
といって出すのを止めればまた虫たちが布団の中で暴れだす ....
どうしようもなく人間だ
どうしようもなく今だ
どうしようもなく型通り
生きてるなんて型通り
気に入らなければ去ってゆく
それがほんとに悪いことかは
だれにもわからない
見知らぬ地平のよ ....
世界平和を祈っている
定義は足並みを揃えたくても個性が並ぶ 此処は館
個々の定規で懸命に幅をとってゆく
両腕を反りながら翼に相成る
愛を祈っている
人間のDNAに余分につ ....
ことしも彼岸花がきっちりと合わせてきた
さすがだ
車窓にゆきすぎる田んぼの風景
田のまわりを彼岸花が赤く彩っている
防虫効果でもあるのだろうか
彩りだろうか
刈り入 ....
若いってたぶん弁当をふたつ食べれることだと思う
いろんないやなことを無視できることだと思う
酔い方に遠い孤独がにじまないことだと思う
背中に秋の陽を受ける
地獄も天国もない街道 ....
ぼくの優しい友人は
お前の考え方にはバイアスがかかっている!
と言って突然怒った
バイアスのかかってない奴なんていやしない!
と言い返してぼくも怒った
多かれ少なかれみんなそうなんだ!
....
やるやる詐欺にならないように
やるというのをやめたのさ
本当は
やると言ったならやればいいんだ
分かってるけどね
そうしていたら最近どうも
むりむり詐欺になっている
俺にはむりだよー ....
わかっていたの
頼らないことも
傷つけることだと
ごめんなさい
だからずっと
いつか言おう
いつか言おうって
思ってたよ
でももっと確かに
わかっていたの
私の啜り泣きがあ ....
夢、を
にぎり締めたつもりで
ひたすら走った
走るしかなかった
懸命に汗をかいたら
報われるのだ、と信じた
吹く風は
流れる汗を連れ去って
清々しい ....
何だ結局嘘っぱちじゃねえか
十年前もお前言ったよな
「俺たちうまくやれると思うぜ」
俺は結構不安だったんだ
不安は見事に的中した
いつものように別れたが
お前の顔がどうも歪んで見え ....
華が喋り出しそうで
まだ聴き慣れていない 違和感と魔訶過不思議
曼珠沙華が現れる 斜め左上の目先に
そんな時期を迎える 耳に凛とぶら下がる涼しげな季
岸に立ち臨み映える意気込みもほどほ ....
だーれも知らない
あるところに
いつも大真面目なんだが
ちょっと空気が読めなくて
頑固でお節介で口うるさくて
嫌われ者の爺さんがいた
村人たちは集まっては
ひそひそと爺さんのことを噂 ....
1982年、1982メートルの山を登った
自由参加の学校行事だった
ひどく孤独を感じる行事だった
ともだちが参加するということで参加したのだが
まったくだれからも相手にされなか ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12