街灯はひとりぼっちで
ぼんやりと俯いている
その下で僕もまた
俯いて本を読んでいる
街灯に寄り掛かって
時々落ちてくる
蛍光灯の燃える音を
悴むこころで捕まえる
白く息をひとつついて
....
倒れてもいい
その代わり
はい上がるから
生きる生き抜く生き抜く生きる
倒れてもいい
その代わり
はい上がるから
見るともなく見て
聞くともなく聞いている
見るつもりも聞くつもりもないが
目と耳が世界を拾ってくる
触れるともなく触れて
嗅ぐともなく嗅いでいる
意思がなくても五感は働いて ....
冬の空の青さを見あげていると
鼻の先まで
まっ青に染まってしまう
流れるのは
涙ではなくて
少ししょっぱい鼻水
丘のうえにたって
ああこのまま
いつか
いろいろかんちがいした ....
余命いくばくもないかのじょが
嫁にいくはずもない
だからかのじょを月につれてって
星のあいだで遊ばせて
どこまでもひろい宇宙で夢中におどらせて
この世の果てまでつれてって
忍苦の悲 ....
つきそこねた手鞠を追う様に
それは穏やかな足取りで
少女は薄闇の向こうへと
消えた
金木犀色の夕暮れは鬼が通るから
はやく帰っておいでなさいと
置き去りにした過去
思い出せば影が伸びてき ....
立ち入り禁止
柵を立て
立ち入り禁止
張り紙し
立ち入り禁止
うずくまる
ひとりっきりのかくれんぼ
もういいかい
まあだだよ
だれかくるのを拒んで ....
おまえは詩人じゃなくて死人だ
と
彼が言うので
じゃあ俳人は灰人じゃなくて廃人なのか
と言うと彼は
そうだおまえらのような人種は社会のために
なんにもならない
と
彼が言うので ....
あるとき
金色の服を着た
金色の不具である
イッパシの
ヤクザきどりのあいつが言った
自己保身と
私利私欲は大切だ
大事にしろよ
ただし使い方には注意しろ
ヘタをうつと
自滅す ....
2014.7.28.
事件を漁ってみると 食い散らかしてる自分が見えた
救いたいのは君の命なんかじゃなくて
救われたいのはきっとこんな僕の心さ
もしも孤独の先には死刑台というものがある ....
そんなに多くではありませんが
本に囲まれていさえすれば
わたしは幸せでした
読む本がそこにあるというだけで
わたしは穏やかな気分になれました
それ以上の何も望むものはないと
わたしは少 ....
雲ひとつない夕闇にこだまする
いくらもないたったひとつの夢なのに
悲しかったのはなぜだったのか
砦になりたいと思ったのはなぜだったのか
相殺されるような気がしたから
....
学校で
話しちゃダメよ
うちでどんな
新聞とってるかなんて
話しちゃダメよ
お父さんとお母さんが
どこの党に投票したかなんて
どうしてお母さん
戦争は人が殺されるから
反対っ ....
君が真っ赤に手を染めていた
僕は君が人殺しには見えなかった
僕は君が太陽を盗んできたのかと思ったよ
だって僕はその時
真っ青にこの両手を染めていたんだもの
冷え切った指を折り数える
何年経ってしまったのだろう
震えてしまうほどあたたかな
思い出は両手からこぼれていく
冬枯れに弱く浮かぶあの星へ
巡り会える所まで
あと幾 ....
あたしはすごく疲れてしまって
家までたどり着けるのかひそかに心配で
空気はきんきんに冷えていて
闇を泳ぐようにふらふら歩けば
月が煌々と夜空を照らしているんだった
なのに街灯の明かりの下で ....
にじがみえると
さみしくなるね
そこにあるのに
そこにないから
にじがみえると
ふあんになるね
きみにもみえるか
たしかめたくなる
どこにもないのに
どこかに ....
誰も彼も
生まれてきたからには
なにはともあれ
生きねばならない
お腹が空いたら
なにかを食べよう
眠気がさしたら
どこかで眠ろう
死ぬまで生きよう
なにがあっても
....
つのる想い
枯れ葉落ちて
積もる舗道
落ち葉踏みて
音は乾き
騒ぐ心
音に紛れ
心隠す
つのる想い
今日も明日も
幾度掃けど
積もる落ち葉
....
夜みたいな朝を
自転車で駆け抜けて
太陽みたいな君に
真っ直ぐ会いに行こう
僕みたいな君が
にっこり笑ったら
地球上のみんなに
朝陽が降り注ぐんだ
やあ、やあ、おはよう!
見上げると丸い空
穴ぼこに落っこちたのは
さていつのことだったか
ちいさな空に太陽が昇り
ちいさな空に雲が流れ
ちいさな空に日が沈む
ちいさな空に月が昇り
ち ....
いつの日も
いつの日も
空しい穴を掘っています
雨ざむざむと降り続き
穴に雨水溜まります
泥も崩れて流れ込み
空しい穴は埋まります
僕のからだも埋もれます
どうしようもなく退屈で
僕 ....
小さな石段をおりて狭い路地を駅へと向かった
男はシンプルな出で立ちで女は濃い化粧をしていた
あのころ働く女たちは皆そんな化粧をしていた
商店街に入ると両際がプラスチックで出来た季節外 ....
子供は三歳で殺される
お母さんも男もいない部屋で
たまねぎの皮
ろうそく
アルミホイル
自ら食べられないはずなのに
未熟な大人に殺される
幸福ではない自分 ....
秋
秋をつくる
ほんとうの色に
もみじ
いろんな絵
木々に
空に
地面に
宇宙に
慣性の法則に
緑がぬけて
ほんとうの色に
色はその色を跳ね返した光
跳ね返す意味?
も ....
恋とは山と海が交わったようなものだ
秋づいた山肌が涼やかなマイナスイオンを発していた
それが文明に轢かれ血を吐いて死んでいた
山肌に海の青が染みていた
山と海とが交わっていた! ....
それは個人的なこと
ごく私的な部類
青い空が
僕の瞳に映る
ひんやりした風が
僕の頬を撫でる
かじかんだ手が
いっこうに温まらない
そう
それは
個人的な話
....
悲しくてしかたなかった
どうしたらいいのか分からなかった
だからひとに電話した
悲しみを伝播させただけだった
この悲しみを詩にしてみようかと思った
でも悲しみの伝播を無責 ....
ぼくらはアリだ
アリより小さいかも知れない
命さえ持たないものなのかも知れない
宇宙から覗いてなにが悪い
ぼくらは命さえ持たないものなのかも知れないのに
アリが儀式をして ....
心が凍えそうな夜
カレーなんだな
みすかしたように、カレーなんだな
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