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ひとつまみで
一生を切られてしまう虫けらは
気の毒だがね
わたしら人間の縄張りに
勝手に入り込んでしまったのが
運のつき
虫けらと
わたしらの共通点は
命のあること
早い ....
一本の木がいくつもあるから
枝はかぞえられなくて
そこにしがみつく葉も
かぞえられなくて
一陣の風がいくつも吹くから
音はかぞえられなくて
ただでさえ見通せない夜ならば
音は ....
差し伸べられた手の
ひとつひとつを
丁寧に断って
きた
そうしなければ
いつかの謀反が挫かれる
いつかの糾弾が挫かれる
差し伸べられた手の
ひとつひとつを
丁寧に ....
冬に生まれても
春に生まれても
愛される子に違いない
星座が好きでも
闇夜が怖くても
夢を見る子に違いない
走るのが得意でも
描くのが得意でも
頑張れる子に違いない
....
多いので、
声高らかに
わたくし万歳、と
うたえるひとが多いので
練習中です。
眠りの床で
だれもきいていないところで
ありったけの小声で
練習中です
わたく ....
大人の期待を裏切らぬよう
寡黙な少年を演じきりました
大人のあいだに流れる噂と
その発信源である
個々の大人の評判を傷つけぬよう
物言わぬ少年を守り抜きました
こころを開け、と ....
夢、を
にぎり締めたつもりで
ひたすら走った
走るしかなかった
懸命に汗をかいたら
報われるのだ、と信じた
吹く風は
流れる汗を連れ去って
清々しい ....
銀河のほとりには
ため息たちが花開いて
湖面は
ゆらめく
つかの間の風のなかに
つかの間の風のそとに
言葉の実る予感、が
色づいて
瞳の奥を波が走る
....
花にはなんの罪もない
それは
その身が
花ではないから放れる言葉
わたしが
花であったなら
だれの命に咲き誇りましょう