黄と橙色は
とてもよく似ていて
それはおそらく
同じ季節を生きているからだ、と
ふと思う
遠い山並みを眺めれば
それは混色されて
日び
上書きされていく
油絵のようだ
厚塗りされた ....
みんなちがって
みんないい
みんなちがって
みんなわるい
みんなちがって
みんな
いいもわるいもない
みんなちがっている
み ....
どこのどなたか
ぞんじませんが
どうかぼくを
しかってくれませんか
きれいなひとをすきになって
みにくいひとをかろんじてしまう
そんなぼくをどうか
しかってやってくれませんか
....
振り返って
何も残せていないのは
誰のせいでもなく
ただ自分に何もないから
そう思ったとき
じたばたして
何かを残そうとしても
もう遅いんだ
後はすべて諦めて
ただダラダラと
....
本日はお待ちかねの映画館である
空見上げれば花曇り
いかにも上天気
これぞ絶好のシネマ日和というもの
イッツァビューティフルディ
おなかはペコちゃん、まずは腹ごしらえっと
....
そうね
何も聞かないで
終わりにするわ
だって
ほんの小さな誤解からの
すれ違いだったとしても
もう戻れないし
きっとずっと
恋をして生きていくことに
なりそうだから
....
それは個人的なこと
ごく私的な部類
青い空が
僕の瞳に映る
ひんやりした風が
僕の頬を撫でる
かじかんだ手が
いっこうに温まらない
そう
それは
個人的な話
....
きょう私は 人をひとり殺しました
気の早いクリスマスソングが
街に流れはじめたから
きらびやかなイルミネーションが
とてもとてもキレイで眩しすぎたから
きょう私は 人をひとり殺しまし ....
秋の空は澄んでいて
すすきの穂も揺れて
淡い気持ちがどこまでも
流れていき
ぼんやり眺めていると
空は遠くへ遠くへのびていく
私はだんだんだんだん
小さく小さくなっていき
米粒に描 ....
中国山地のなだらかな山の中にその滝はあった。落差が七十メートルを越える白蛇の滝。白く水の落ちるさまが名前の由来である。秋には紅葉の渓谷を、春には桜並木の堤に抱かれて、その美しさは錦と称えられ、錦 ....
まだ三日月が出ている
朝日が昇る前の暁は
昨夜寝る前より暗い気がした
冷たい風が吹くと
私たちは身を縮めて祈る
朝靄が街をぼかす
雲がべったりしている
今朝を描いた画 ....
朝ごはんを作りたい。
2人分の朝ごはん。
2人分の目玉焼き。
2人分のベーコン。
2人分のミニトマト。
2人分のトースト。
2人分のバター。
2人分のオレンジジュース。
温かいテーブル ....
ささくれた夏を線香花火で終わらせよう
この地球型惑星の海は
一つにつながっているんだって
それならさみしくなんてないはずなのに
単位がワタシになった途端
サミシイになるらしい
雨音がするから今日は
布団から出ないことにして ....
白昼夢
箒の音
机で眠る
チャイムが鳴る
床に油を引いて
学期を終える
染 ....
手を伸ばすのも
掴んだ後に離すのも
全部全部自由だ
声を出すのも
涙を流すのも
あなたの好きな歌を
私はまだ覚えている
もう自分を傷つけないでと
震える ....
グリルの中の
魚のように
何度も
何度も
裏返され
生焼けのまま
今夜も
薄明かりの下を
彷徨う
行けど
行けど
見つからない
百目の案山子が
跳んで追いついてくる
ぬか ....
逆光を浴び他人ごと
陽が沈むころ
コウノトリのコウちゃんは鉄塔に帰ってくる
ねぇ、コウちゃんいてないわ……。
洗濯物を抱えて二階から降りてきた妻がいう
鉄塔のてっぺんで夜をすごすコウちゃんは、まだ三才
個体 ....
木苺に僕が夢中になってたら ずるいよ母さん消えちゃうなんて
どんぐりをバケツ一杯食べた日は 僕の内からひしめく芽吹き
こんばんは独りになって見上げれば月も偉大なひとりぼっち
熊の皮か ....
粉雪が
路地裏で密談をしかけては
欠けてゆき
書物の名前を尋ねる人
でした僕は
あの秋
黒髪の少女と
制服を着飾る術を知って
いつまでも
知りませんでした
「おはよう」で始 ....
数えて
指折り数えて
たどり着く
あなた だなんて
歯ぎしりしないよりは
するごまめでありたいと思う
井戸の底から出られなくても
空を見上げる蛙がいい
賢い猿になれずとも
見て聞いてものを言い
出ないより
出る杭でありたい
....
誰もいない森
上空の星
針葉樹がゆれる
土に沁みた水
雪になって帰ってくる
おかえり
また会えたね
神さまの足に蹴っ飛ばされて
コロコロと顔色を変えるような
サイコロ人間になるよりは
ポーカーフェイスな魚になって
ぴちぴち生きていきたい
どこからともなく聞こえてくるのは
つぶやく ....
目眩のする夜
夜風にあたって溶けてしまいたい
青い閃光
体の周りで光っている
振り払おうとフラフラ
まるでバレエのようね
雨に濡れたアスファルトで
ワルツを踊るの
頭が ....
アゲハに向かって
サナギの頃の
あだなを呼ぶものはおばかです
晴れたり曇ったり
賭けをする空の下
泣いたり笑ったり
旅をする蝶がいて
(幸あれ、と言ってみる)
サヨナラを言 ....
今、空の底にいます
屈折した光に包まれて
案外うまく歩けています
地図を読むことは
相変わらず苦手だけれど
磁石を温めて
風を読むことが出来れば
目的地にはいずれ
たどりつくかもしれま ....
極上の微笑みをあなたにあげる辛くったっ
て悔しくったって髭を剃れないでいるあな
たが眼鏡を外したあなたが大好きなのに変
わりはないから知らぬふりの極上の笑顔を
心が凍えそうな夜
カレーなんだな
みすかしたように、カレーなんだな
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