固いじゃがいも
根の味のする人参
煮え足りなかったのは
何も肉じゃがだけじゃなかった
甘さと辛さ
頬張りながら知る母の大きさ
忘れた、ということを
忘れている道草の
風色はそよそよと
帰れないでいる
ほのぐらい影
(さようなら)さようなら
ずっと
うすぼんやりとともるこみち
ぽつり、ぽつり遠くまで
....
雨は校庭にアマゾン川をつくる
午後の授業は眠たい
窓越しに校庭を見下ろす
あれはきっとアフリカ大陸
あれはきっとオーストラリア
あの川にはピラニアが泳いでいる
友達がいないから
わざ ....
バイクの後ろに乗せられて バイバイと
母の実家に行った 四歳の頃
家族と離れて 初めて一人
そんな自覚もないままに
しーんとして広く感じる居間や台所
少し高い所にある黒電話をみつめた
しば ....
水たまりに浮かべた
葉っぱの
軽さ
しゃぼん玉を泳がせる
そよ風の
軽さ
羽毛の軽さ
まつ毛の軽さ
この世でいちばん軽いものはなに?
飛んでいく風船
手放し ....
じめじめと湿った梅雨をはさんで
僕が夏に近づいているのか
夏が僕に近づいているのか
ふたりの距離が縮まるほど
僕たちははだかに近づいていく
高まる気温に 僕はシャツを脱いで
高気圧 ....
夕方 ボート池のほとりで
すずらんが 風に撫でられていた
父さんにほめられた子どもみたいに
よしよしされて 満足げに揺れていた
空気は甘く 池はしずかだ
ああこれでいいんだ ....
小さな家のベランダに
くつしたが干してある
大きなくつしたはお父さん
中くらいのはお母さん
ちっちゃいのは赤ちゃん
足の家族
川の字に並んで
風に吹かれてる
歩くのに疲れて
たどりついたところに
バスの停留場があった
時刻表に記された時間は
呆れるほどのまばらさだった
古めかしく
ところどころ錆びに侵食されて
そもそもちゃんと
機能して ....
ほどいた
宝石のような言葉
苦笑いを含んだ
丸く
にじんだ
原点
私がなりたかったのは
あなたの一生
夜の電車が語る灯りが
微かな息遣いを照らし
....
あめのひは
みずたまりを
とびこえる
結わえる
眠り
と
花を待つ
夢
ふれているのが
すべるような
くろであって
電車がトンネルを抜けるスピードでかたちづくる息
すいこまれるひかり
に ....
汚すことを恐れて、
変えてしまうことを恐れて、
引っこめた寒い指を、
ため息であたためる。
好きで好きで仕方ないものには、
まなざしで触れるしかないのか。
言葉より目配 ....
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです
午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い ....
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