鳥が飛んでいる
だれに教わったわけでもないのに
魚が泳いでいる
だれに頼まれたわけでもないのに
花が咲いている
だれに急かされたわけでもないのに
....
ずいぶん遠くまで来たものだと思う
そうは言ってもどこから来たやら
はじまりなんて分からないけど
それでもここは遠くなんだと
風のにおいがささやいている
ずいぶ ....
どっちにしたって
大罪
嫉妬だなんて笑わされる
ああ
小さい 小さい!
コカ・コーラの缶とペプシ・コーラの缶が
深夜
ゴミ箱の底で睦言を交わしている
互いの肌の色を褒めそやし
互いのバーコードの形を讃え
標準化されることのない個別の愛 ....
水平線にハサミをいれる
入道雲との境に沿って丁寧に
ヨットの帆まで巻き込まないように気をつけながら
チョキチョキと切り進めるけど
水平線はどこまでも続いているから
ど ....
恋して
愛して
愛していても
恋もして
哀しみや情けなさや悔しさに
地団駄踏んでいる
前回、女の子が元気な映画をご紹介させていただきましたので、今回は私情に残る男の子が暴れまわる映画を、ご紹介。最初はそういう意図はなかったのですが、結果的にそうなってしまったわけで。
高倉健さん、 ....
ひとつひとつの キスに
その時々の 思いを込めて
少しずつ 贈ってゆけば
届くかしら
とん とん
はいってますか
とん とん
はいってますよ
とん とん
そこにいますか
とん とん
ここにいますよ
とん とん ....
鏡よ鏡
おぬしに聞きたいことがある
この世で一番美しいのは誰じゃ
それは愚問です姫様
あえて申しあげれば
姫様ではないことは確かです
鏡よ鏡
それは承知の上
我はただこの世 ....
まどろみのように
射し入る西日
木立を抜ける風
ざわめきと静けさの
煮こごり
枝葉のこすれる音は
まるですすり泣きのようだ
悲しいことでもあったのかい
こんななにもない夕暮れに ....
にじがみえると
さみしくなるね
そこにあるのに
そこにないから
にじがみえると
ふあんになるね
きみにもみえるか
たしかめたくなる
どこにもないのに
どこかに ....
ジャケットを開いて閉じて流行歌
帰省する鞄に詰めた古ジャンパー
車窓を過ぎる町並みを見つめるたび
そこにある暮らしに自分自身を嵌め込んでしまう
そしていつのまにか
胸を騒がせながら幸福について考えている
その書家の作品のまえで
わたしは車窓を過ぎる町並み ....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口
ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
....
息が白いのか煙草の煙なのか
想いを遂げて夜が短くなる
{引用=
鳴らなかった、管楽器の空洞に、落葉や、
発語されなかった言葉をつめている最中に、
妻はかえってきた、わたしはなんだか、
気まずい気持ちになって、ベランダへ煙草を吸いに ....
道の真ん中に
消しゴムが落ちていた
試しに道をこすってみたら
道がそっくり消えてしまった
ついでに空もこすってみたら
空もやっぱり消えてしまった
おかげで雲は行き場をなくして
おろおろし ....
あかい
甘い
すっぱい
でも耳がある
かわいい
ニャーオ
ゴロゴロ
でも
美味しそう
ねこ
食べちゃった
【見えない力】
桜の葉が
秋の雨に打たれて
石畳や道は艶めいている
やがて すべての葉は落ちてしまうのだろう
しんやりとした風に心を寄せると
桜の匂いがした
たとえ花はなくとも桜 ....
Lonely
二つの水晶体を通して世界を見る
受刑者がアクアリウムの板を挟んで面会人と向き合う気分になる
おでこを付き合わせて熱心に話し込んでみても
どこも触れていない
頭に固定された ....
無から生まれた訳ではない
原因があって生を得て
所在もない風来坊だが
ひなたぼっこの猫とあそんで暮らす
世界が仏頂面の上司だけで
構成されている訳でもないので
とりあえず仕事は好きだ
....
そのむかし貴婦人が揺られたような
そんな優雅な馬車じゃない
年季の入った歪んだ車輪で
牛馬の糞を踏み散らしながら
凹凸しかない悪路を行く
軽やかな蹄の音の悠長な響き
バナナ農園で働 ....
乳母車を押して
雪道を祖母が
駅まで迎えにきてくれた
ずっと昔
汽車は忘れるほど駅に止まってたもんや
毛糸玉がだんだん大きくなっていく
古い服が生まれかわって
新しい冬を越す
ぼくの記 ....
シンプルな化学反応
AとBをまぜて加熱すれば、詩ができる
Aはあなた Bはわたし
つながる
つなげる
心のイヤリング
果てなき ネックレス
ちゅんちゅん
ちゅん・ちゅく・ちゅん
いつまでも 続く
おしゃべり
独り言が
つづいているの?
....
時々家に帰ってくる君に
野菜を食べさせなくちゃと料理する私
君は
張り切らなくていいからと言う
じゃあね、また来るからと
出て行くときには
うん、またね
あっさり見送る
君が初 ....
ライオンはついに浮気がばれたらしいね
バッファローは闘牛士の夢を捨てて
先月の見合い相手とついに身を固めるそうだ
キリンは未だに国の補償をあてにしていて
役人が来たときすぐに取り出せるように
....
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