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車窓を過ぎる町並みを見つめるたび
そこにある暮らしに自分自身を嵌め込んでしまう
そしていつのまにか
胸を騒がせながら幸福について考えている
その書家の作品のまえで
わたしは車窓を過ぎる町並み ....
あかい
甘い
すっぱい
でも耳がある
かわいい
ニャーオ
ゴロゴロ
でも
美味しそう
ねこ
食べちゃった
世の中の 大抵の不幸は知らないことから 始まる。
誰かの携帯の音かと思えたが違うようだ。着信は無い
すずむしの声だったようだ
山深くにある この集落の中心には 無数のシデの木が群生している
....
その女性(ひと)は海をみていた。
海峡のコンクリート階段の端にひとり
白いフードベストの背を伸ばし
身じろぎもせず。
子供たちが何人か
近くで騒ぎはじめたが
ちらりと見たきり関心を示さず
海を見てい ....
屋根のうえで電話した
南の黒い風に吹かれてた
僕はあの頃小説を書いていた
吐き出す言葉はそこだけに注いでいた
僕はそういう道を歩いていた
みんな生きているか
ネットのニュースに人の影
....
月がみえなかった
ぼくは淋しかった
だれか助けてくれ
夜空にはほんとは
星がたくさんいる
新幹線で夜をゆく
月がみえなかった
宇宙はなんのためにあるのか
にんげんのためでないような
....
ゆっくりと目を閉じて 息を吸って 吐いて
イヤホンから流れるバラードに
身を委ねた僕は 背景に溶ける
僕の知る世界の矮小さに それでも潰されそうな僕は
誰もが 指差して嘲笑うんだろう
歪む視界は ....
向日葵の前で大きく背伸びする
吹き渡るのは九月の
上風を食む草いきれの歌
輝きのなかの
沈黙よりもお喋りな
聞き流し
自転車は立ち止まり
カレーパンを頬張り
文庫本を繰って
雨上がりにはきっと
昨日よりも青く
午後をもっと愛 ....